19/21
19
クローゼが呻いた。
「俺のこの苦しみが…俺のものじゃないなんて…俺がクローゼ・ハイマンじゃないなんて…嘘だ…お前は俺を騙そうとしている…」
クローゼが憎しみに満ちた瞳で、私をにらみつける。
私は動けない彼に近づいた。
クローゼの落としたハンドガンを拾う。
銃口を彼に向ける。
「くそ…」
クローゼが呟く。
私は引き金を引いた。
銃声が轟く。
「ああ…」
クローゼが、そう言ったきり絶句した。
私が撃った、彼の左手の指が3本ふき飛び。
本来なら大怪我で血が流れるべきところから。
いくつかの配線と機械部品が覗いていた。
「私は、あなたを助けたいと思ってる。私がオリジナルのリンダによって苦しめられたように、あなたもクローゼに苦しめられてるから…」
「………」
「私が『リンダ・セカンド』から『ニナ・コールマン』になれたように、あなたも『クローゼ・ハイマン』から違う人間に…アンドロイドに…あなた自身が、きっと見つけられるわ」




