学園に嵐来る~そして平穏は~
私はこの状況をじっと見守っているだけであった。
今もまだあの子が暴れているのがわかる。
今私がいるのは、自分の教室である。
少し前まで、ここで居眠りしていたのが幸いしたようだ。
いきなり首筋に氷をつけられるという最悪の寝起きだったものの。
まあ人生塞翁がナンチャラということでよしとしよう。
しばらくして、校舎の中にいた標的たちが沈黙したことがわかった。
残りは半分ほど、全員が実技場にいるのだろう。
人質も既に意味をなしていないし、他の校舎に残った者たちも既に信頼のおける人たちの保護下に置かれている、つまるところこのクーデターは既に終わりを迎えているのだ。
なのでとどめを刺しに行くことにしよう。
ほかでもない、私自身のために、この国に生まれこの国に殺され、今生きているこの国に対しての私の感謝の気持ちとして。
この馬鹿げたお遊戯に終止符を打とう。
立ち上がって歩き出す、ゆくべきは実技場。
終わりは今終わりへ向かう。
彼らは、何を思い、この馬鹿げたお遊戯に参加したのだろうか。
後の世で名誉や金のためだということがわかったものの、今この時点においては皆口を揃えてこういったことだろう。
英雄になるために、と。
お笑い種のその妄言は、決して表舞台に評されることはなく。
歴史の中にその痕跡は一切残されていない。
泡沫のゆめ、このクーデターはそう後の世で言われている。
決して叶うことのなかった夢、劇にもされたこの物語の最も盛り上がるクライマックス、これより行われる処刑劇に、慈悲は無く、ただひとりの人間のエゴがあるだけだ。
「何をやっているんだ?!相手は一人だぞ、囲んで波状攻撃をかけろ!!」
そんなことが出来るのならとっくにやっている、そう言いたくなったが誰もが黙った。
囲もうとした端から吹き飛ばされてゆく、それも囲もうとしてこちらが動き出したその瞬間に囲むために移動した人間が皆顎を打たれているのだ。
牽制していたはずなのに、まるでそれを気にしないように歩きだし、左右へ動く者たちを次々に仕留めてゆく。まるで上から見る者がいるかのように、正確で慈悲のない一撃を放ち仕留めてゆく。
狩人は一人、獲物は多数、本来逆になるはずであったそれは、彼女の圧倒的なまでの魔力と強固なる魔壁、そして小さい頃に行った、あの訓練で身につけた全体を見る能力によって一騎当千さながらの活躍を見せていた。
大将格の男が顎を打たれ気を失ったその頃には、ほとんどのものが気を失い残った者たちは戦意を喪失していた。
クーデターはわずか一日でこちらに何ら被害を出すことなく、あっけなく終結した。




