あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)09
「おとうさま マリエッタさまとジュリアーノさまは
また きてくれるかな?また あいたいな」
「ラン 二人が来てくれて楽しかったのかい?マリエッタが持ってきたミートパイは美味しかったかな?」
「はい とてもおいしかったです このまえ ジュリアーノさまが ご本よんでくれたの ねこさんがたびをする おはなしだったのよ」
「そうか それは良かったね」
「それでね おとうさま ランもじぶんで ご本よみたくなっちゃったの」
「それなら先生を探さなくてはいけないね」
「やったー!おとうさま ありがとう たくさん おべんきょうする」
ブルワーノはマリエッタに手紙を書いた
〈マリエッタへ
先日は訪ねてきてくれてありがとう
久しぶりに君のミートパイを口にしたよ
懐かしくなってついつい食べすぎてしまった
オランジェも喜んで食べていた
よくお土産に持ってきてくれてたよね
リーナがいなくなってから
そんなに経ってないのに いつもと変わらない日々が過ぎる
僕はリーナのいない淋しさを王宮の仕事で紛らわせているかもしれない
邸にいるとリーナを思い出してしまうから…
僕が邸にいない分オランジェには寂しい思いをさせているのに自分勝手だよなぁ
僕の代わりと言ってはなんだが時々オランジェの遊び相手をして欲しいんだ
オランジェも君とジュリアーノ君に会いたがっている
ジュリアーノ君に本を読んでもらった事を嬉しそうに話してくるんだ
ジュリアーノ君と一緒に時々訪ねてくれないだろうか
ブルワーノ〉
ブルワーノはオランジェの為に図書館を邸の中に作った
図書館の中には童話や絵本や図鑑 最新作の小説から古文書や料理本まで読みきれない本が所狭しと並んでいた
早速 オランジェの家庭教師が見つかり勉強が始まった
まずは基本の読み書きからでオランジェは驚く速さで文字を覚えていった
手紙を受け取ったマリエッタはジュリアーノと共に遊びに来てくれた
オランジェは絵本やお菓子を持ってきてくれる二人の訪問を待ちわびていた
オランジェはジュリアーノにすっかり懐いていた
雨の日は部屋で本を読んだ
「ジュリアーノさま ご本よんでください」
「いいよ 何がいい?」「ねこさんが おかしをつくるおはなしがいいわ
ジュリアーノさま あのねランね じがよめるようにおべんきょうしてるのよ」
「へーぇ!まだランは小さいのに頑張ってるんだね 偉いね」
晴れた時は庭で遊んだ
この日は初夏の爽やかな風が吹いていた
オランジェはきゃっきゃと笑いながジュリアーノを拙い足どりで追いかける
ジュリアーノはいつも捕まってしまわなように距離を取りながら走った
でも結局最後は足取りを緩めオランジェに捕まるようにしてしまう
ジュリアーノはキャッキャと笑うオランジェが実の妹の様に可愛くて仕方がなかった
庭で遊んだ後は必ずジュリアーノはオランジェを抱き抱えて ガゼボの椅子に座らせてくれる
マリエッタを含めた3人のお茶会が始まる
「マリエッタさま このクッキーおいしいです」
「ありがとう ランちゃん 朝から頑張った甲斐があったわね ジュリアーノ」
微笑むマリエッタ
「母様のクッキーは特別なんだ ランにも食べて欲しくて 母様にお願いしたんだよ」
「オランジェはこのナッツが入ったのがいちばん すきです」
「ラン 僕のオススメはチョコクッキーだよ はい アーンして」
いつの時からか二人はオランジェを愛称の(ラン)と呼び始めていた




