あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)07
(『優しかったヴィア様へ
あなたと過ごした時間は短かったけど沢山の幸せをありがとう 一つ一つが私の宝物
今でも鮮明に蘇る楽しかった時間
でも突然の別れの悲しみはまだ癒えてないの 簡単に消えるとは思えない
あなたが居ない世界をどう生きていけばまだ分からないけどあなたによく似たジュリアーノと2人頑張ってみるわ
いつかあなたの元へ行った時 《よく頑張ったね》と言って頭を撫でてね 幼かったあの頃のみたいに』
従兄妹でトラスト大公国に住むプルヴィア・カッシュ様との婚約が決まったのは私が貴族学園の17歳の時だった
隣国のカッシュ家へは学園に入る前も学園の夏期休暇や冬季休暇など長期休暇の際もよく訪れていた
憧れだったヴィアお兄様 10歳も年が離れていたせいか幼い頃からよくお菓子をくれて私には甘かった
医者を目指していて勉強で大変な中 頻繁に私の相手をしてくれたわね
突然ヴィアお兄様から私を是非 結婚相手にとお手紙をもらった時には飛び上がる程嬉しかった
すぐカタリナと会う約束をしリメント家へ向った
お茶が運ばれてくる間もなく
「リナ 聞いて!報告があります 私ヴィアお兄様から婚約したいってお手紙もらったのよ」
「マリ おめでとうこんな嬉しい報告が聞けるなんて 今日は何ていい日なんでしょう」
カタリナは私がヴィアお兄様を慕っているのを知っていたから一緒に喜んでくれた
学園卒業後の次年19歳で結婚の為にトラスト大公国へ行く私を見送ってくれた
「マリ 離れていても私達は親友よ それは生涯変わらないわ 手紙を書くから元気で頑張るのよ あなたならできるわ いつか遊びに行くから楽しみに待ってて」
「………うん」
別れを惜しむように暫く抱き合い馬車に乗る私に泣きながら手を振り続けたマリエッタ
私は彼女の姿が見えなくなるまでずっと見つめていた)
プルヴィアは伯爵家の長男だった カッシュ家は代々医師の家系でもあった
2人の弟はもそれぞれ外科医 麻酔科医として活躍している
医療先進国のトラスト大公国は爵位を持ちながら医師をしているものは多かった
公国立病院では身分の壁を越えて色々な患者を診ていた 貴族も領民も公平な医療が受けられることが当たり前だった
また最新の医療を学ぶ為 近隣の国から多くの医師が大公国へ留学に訪れていた
プルヴィアは多忙にもかかわらず トラスト大公国に早く馴染むようにと暇を見つけてはマリエッタをいろんな所に連れ出してくれた
慣れない国での生活は苦労も多かった 旅行で滞在するのと生活するのとは大きな隔たりがある 礼儀作法や習慣が少しだけ違っていた だが幼い頃からよく訪れていた見慣れた大公国での生活は幸せだった プルヴィアが側で支えてくれたから カッシュ家も最初から受け入れてくれていたから
マリエッタに子供ができたと分かった時のプルヴィアは相当嬉しかったらしく病院中に触れ回っていたらしい
プルヴィアはいつも優しくお腹をさすって
「父さんだよ 早く生まれておいで」とお腹の子に話しかけるのだった
ジュリアーノが産まれた時の喜び様はひとしおであった 特にプルヴィアによくそっくりな同じ髪色と瞳を持った息子をいつまでも抱っこしていた




