あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)04
カタリナ・リメント侯爵家令嬢と初めて会ったのは貴族学園に入学する前年の13歳
同じ侯爵家 親が決めた婚約者として我が家アランデール邸を訪れた時だ
あまりの緊張にブルワーノは一緒にお茶会を飲んだまでは覚えていたがその後の記憶は一切なかった
(なんて可愛らしい秋桜みたいな可憐な女の子だな
ピンクのドレスがよく似合う
この子の事を知りたい
どんな声かな?話が合うかな?何が好きなのかな?
いろんな疑問が浮かんでくる
これが一目惚れってやつなのか?)ブルワーノは思った
後日 カタリナ嬢から「私もかなり緊張してたけど貴方はずっーと ぎこちなかったし挙動不審だったわよ」と事あるごとに揶揄われた
14歳になり一緒に送る貴族学園生活は順調に過ぎていった ブルワーノは経営科 カタリナは貴族科で食堂でもよく顔を合わせていた
夏期休暇や冬季休暇の際はお茶を飲んだりグランドル王国の城下で買い物をしたりお互いの邸を訪ねたり 植物園に行ったりと時々デートを楽しんだのだった
カタリナ嬢と会う前は親が決めた婚約者と結婚するのは貴族社会の暗黙のルールと諦めていたブルワーノだったがカタリナ嬢との出会いを親に感謝した
二人はお互いに尊重しあい静かに愛を育んでいった
貴族学園卒業後 文官試験に合格して王宮勤めをしていたブルワーノはメキメキと実力を発揮し25歳の若さで財務大臣までになった
それと同時に結婚した
ありきたりでプロポーズのお手本のようだが跪いて秋桜の花束を渡し
「随分待たせてしまって本当に済まないリーナ
僕と結婚してくれないだろうか?」
「本当に!やっとね!待ち遠しかったわ!ブルワーノ様
でも一度も貴方の元を去ろうとも思わなかったし信じていてよかった
一緒に幸せになりましょう」とカタリナに言われた時は申し訳ない気持ちと嬉しさで一杯だった
その年の11月
寒い日ではあったが晴天の中二人の結婚式は祝福に包まれて厳かにおこなわれた
翌年の冬 女の子が生まれた
シルバーの髪で鮮やかなオレンジ色の瞳をしていた
じっと見つめられて笑う娘は天使に思えた
「リーナ 大変だったね ありがとう僕を親にしてくれて感謝するよ
この子瞳の色はなんて美しいのだろう そうだろう?」
「貴方のお祖母様の瞳と同じ色ね」
「そうだね この子にはオランジェという名前を付けようと思ってるんだよ」
「いいわね オランジェ オランジェ ラン ランこっちを向いて」
私とリーナの側で名前を呼ばれたオランジェの瞳はキラキラと輝いていた
「きっと君に似て可愛く育つだろう 早くお父様と呼ばれたいよ」
「もう 早すぎるのよ全く親バカなんだから」
12月の雪の日生まれたアランデール家のオレンジ色の瞳を持った女の子はオランジェと名付けられた




