あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)39
お互いの気持を確認した2人は手を取りあって十六夜の月の下2人は再びワルツを踊った
今度は瞳と同じ色の靴を履いて
ワルツが終わると
オランジェの瞳から涙が溢れ出していた
「長年の願いが叶いました お義兄様ありがとう」
ジュリアーノはオランジェを抱きしめ額に優しくキスをした
「そろそろ邸に戻ろうか?十六夜の月の下に居たいけどランの身体が冷たくなってきたよ 寒いだろう?」
「ねぇお義兄様 わがままを聞いてくれますか?」
「なに?」
「もう一度だけ私と踊って お義兄様が近くにいると感じたいの 駄目?」
「喜んで 僕のお姫様 仰せの通りに」
ジュリアーノはオランジェの手を取りキスをする
3度目のダンスはお互いの気持ちを確認するように 見つめ合い更に足取りも軽く舞う様に踊った
ワルツが終わるとジュリアーノはそのままオランジェを抱き上げた
「さぁ 戻ろうか 愛しいラン」
邸のオランジェの部屋に着くと宝物を扱う様にソファーに座らせた
ジュリアーノは毛布でオランジェの身体を包んだ
隣に座って毛布のままのオランジェを膝の上に座らせぎゅっと抱きしめた
ジュリアーノはぽつりぽつりと話し始めた
「僕がランを好きになったのは初めてアランデール邸を訪れた時だ
ベッドで本を眺めていたランが振り向き僕の名前を呼んだだろう?
シルバーの髪でオレンジの瞳のランに吸い寄せられた
その瞳で見つめられた僕は身動きが取れなかったよ
実を言うと僕はこの国では珍しい黒髪と黒瞳の色が好きではなかったんだ
でもランは僕の瞳と髪の色がキレイだと言ってくれたよね その時からだ自分の容姿に自信が持てたのは
僕はね ランへの気持ちを自覚してから随分悩んだんだ
僕はランの兄だから妹を好きになってはいけないと長年自分に言い聞かせていた とても苦しかった
心の奥に終いこもうとしたんだ
僕達が王宮で働き始めた頃ランが熱を出して倒れたよね
その時だよ
好きというより愛していたんだという事に気がついてしまったのは
ランを失ったらと考えただけでおかしくなりそうだったんだ
ランへの想いは募っていくばかりだった
側にいるだけで満足だと思い込もうとしていた
もし愛を告白して
(兄としか見られない)
否定されたら怖くて怖くて勇気が出なかった
僕はランの前では愛を乞う臆病な1人の男だったんだ
僕は殿下と母から背中を押して貰ってようやく気持を伝えたいと決意した」
「私がお義兄様を好きだと自覚したのは14歳で学園に行かれ離れ離れになった時でした
離れて初めてお義兄様に恋をしていると気が付きました
あの4年間は本当に淋しくその気持ちを紛らわせるように古文書の解読を一生懸命頑張ったのです
お義兄様に少しでも近づきたくてコーヒーも飲めるように練習したのですよ
休暇の度に見るお義兄様の姿は段々大人に近づいていって私は1人取り残される気がしていました
お義兄様を愛していたのだと気づいたのはお義兄様が殿下を好きだという噂を聞いた時でした
ショックで一晩中泣き明かしました
お義兄様に好きな人がいると知ってこの想いを何度も諦めようとしました
でも何度諦めようとしても心に嘘を付くことは出来なかった
お義兄様が愛している方と結ばれ幸せになるのなら
私はお慕いする気持ちを抱えてアランデールの領地に引きこもりお義兄様から離れようと
最後にお義兄様と踊った思い出と一緒に」
「ラン 僕は君を心から愛してる
ランも僕と同じ気持ちだと思ってもいい?」
「はい 私も お義兄様を愛しています」
ジュリアーノは愛しそうにオランジェを見つめた
どちらからともなく顔を寄せ唇が触れた
何度も何度も角度を変えキスをした 今までの想いを重ねるように
【月の雫のファーブラ】
冬の十六夜の月の下 瞳と同じ色の靴を履いて踊りなさい
そうすればアルテミスに愛され その恋は成就するだろう
おとぎ話は現実となった
2人は抱き合ったままソファーで軽く仮眠を取った
仮眠から目覚めたジュリアーノは腕の中で眠っているオランジェが愛しくてたまらず頬にキスした
(やっと想いが通じた ランありがとう 僕を好きでいてくれて もう離さないよ)
旅立つ準備が出来た2人は半年間世話をしてくれたスポルト夫妻に最後のお礼を言った
「叔父上この度は本当に感謝しております 妹が歩ける様にしてくださってありがとうございます」
「先生 先生の手術のお陰で できる事が増えて嬉しいですダンスも踊れる様になりましたし
いくら感謝しても しきれません 明るい未来を開いてくれてありがとうございます
先生 お元気でお過ごし下さいね またお訪ねしてもいいですか?」
「ああ いつでもおいで
待ってるよ 2人共 気をつけてグランドル王国へ帰るんだよ」
馬車はグランドル王国へ出発した




