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あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)35

「お義兄様気をつけてお帰りください 半年後にお迎えに来てくださいね それまで頑張って回復に努めます」

「沢山手紙書くからね 半年後に会おう ハニ ランの世話は任せたよ」

「はいジュリアーノ様 ご心配無く! お嬢様は私がしっかりお世話します」


ベッドから半身を起こして笑って手を振った

(あー お義兄様が行ってしまう 半年会えないのね ここで涙を見せたらお義兄様が心配してしまうわ)


ジュリアーノも手を振った 病室を出て後ろを振り返りオランジェの顔を見た途端 引き返してオランジェを抱きしめた

「頑張るんだよ 遠くからいつでもランを想っているからね」

言い残し足早で出ていった


術後 病院からスポルト医師の邸に移った 手術の傷はまだ痛むがあれだけ痺れていた左脚は嘘のように無くなっていた


「少しずつ傷の痛みは引いていくよ 歩行訓練を続けていればスムーズに歩けるようになるからね」

「スポルト先生 こんなにも左脚が軽いなんて 左脚の感覚があるなんて 夢の様です 普通に歩ける様になったら叶えたい夢があるんです」

「どんな夢か聞いても良いかな?」

「はい 私 お義兄様に内緒でダンスを習いたいんです それとは乗馬も」

「努力すればどちらもできるようになるからね 歩行訓練が終わったら僕がご褒美にダンスの先生を紹介してあげよう 乗馬は帰ってからジュリアーノに習うといいよ」


退院翌日から歩行訓練士から指導を受けてオランジェのリハビリが始まった 

どうしても左脚の筋力が弱く 左脚を庇って歩いていた癖が抜けず 上手く歩くことができない


3ヶ月過ぎても毎日が同じようで中々うまく歩けない オランジェは進展の無さに落ち込んでゆく


(こんな歩き方じゃダンスを習うなんて夢のまた夢だわ 気持ちは焦るのに身体が追いつかない)

落ち込むオランジェに愛しいジュリアーノから手紙が届いた


『   ランへ

すっかり秋になったね こちらは紅葉が綺麗だよ 

来年は2人で見に行こうか 

トラスト大公国の秋はどんな感じかい?

歩行訓練は進んでいるのかな? 

ランの事だから頑張りすぎて気持ちだけが前に行ってはいないかい?

ここは焦らずに気分転換を挟んでゆっくりおやり 

確実に1歩ずつに着実に進んでいるはずだよ 

直接ランの顔を見て励ませなくて もどかしい  

早くランの顔が見たいな


    ジュリアーノ』


(短い手紙だったけど さすが私のことをよく知っているお義兄様だわ 何だか焦りすぎていたのね 肩の力を抜いて明日からまた歩行訓練頑張れる気がしてきた お義兄様のお手紙は私を元気にしてくれる)



「ジュリアーノ また怖い顔をしてるぞ 大体君は無愛想なんだから余計怖い」


たまたま護衛のテオとスティオネ執務室長が留守で部屋には珍しく殿下と2人きりだった


「そんなに顔に出てますか?」

「オランジェ嬢と離れて3ヶ月だもんな 会いたいんだろう?歩行訓練は進んでいると先日話していたじゃないか?」

「歩行訓練の最中に転んで怪我をしたと侍女頭メルへの手紙に書いてあったそうです

心配するからお義兄様には内緒にしてねと」

「それで?」

「今すぐトラスト大公国へ行く!と言ったら執事長のゾーンに叱られました」


「オランジェ嬢が好きなのだろう?何故告白しない?ジュリアーノは何をそんなに躊躇っているだい?

好きな相手がいると言うことがどんなに幸せかわかるかい?」

ソファーに座っているジュリアーノは黙ったままだ


「ジュリアーノ 僕達王族はいずれ結婚しないといけない 親が決めた相手だ そこに個人の感情なんて入る余地はないんだよ オランジェ嬢が他の男に嫁ぐのを黙って指を咥えて見てるなんてできないだろう?

サッサと告白して気持ちを伝えろよ」


王宮の自室に戻ったジュリアーノは先程殿下に言われた言葉と以前母のマリエッタから言われた 

(側にいるだけでは駄目 気持を伝えなさい)という言葉が重なって頭の中を掛け巡る

薄暗い部屋の中で月の光が窓から差し込んでいた

愛しいオランジェの顔が浮かんだ途端心に熱いものが込み上げてきた


(この月をランも見上げているのだろうか?

そうか そうか そうだな 僕はなんて愚かだったんだ 妹という壁を気にしていた

今まで何を躊躇してたんだ


ランが怪我した時に側に居れないなんて悔しい 

ランのいない未来なんて考えられない 

ランと一緒に笑って暮らしたい 

ランが以前 熱を出したときに感じた喪失感は二度と味わいたくない

ランと幸せになりたい

他の男になんて取られたくない

拒まれてもいい

一生義兄としか見てないと言われてもいい 受け入れてもらえなくてもいい


自分の正直な気持ちを伝えよう

勇気を出そう

遅すぎるかもしれないが迎えに行ったら愛してると伝えるんだ

後3ヶ月か 長いな)


初恋を拗らせていたジュリアーノは殿下の後押しもありようやく告白する決心がついた

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