あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)28
久しぶりの王宮 ステファニー殿下の執務室に向った
「ジュリアーノ オランジェ嬢は大丈夫か?」
「やあテオ心配かけたなぁうん熱は下がったよ 今日は室内警護か?」
「ああ」
「殿下 お休みありがとうございました お陰様で義妹は大事なく目を覚ましました」
「それは良かったね 何時も冷静なジュリアーノがあんなに慌てた様子を見せるなんて意外だったよ シスコンの君の裏の顔が見えて僕は驚いたけどね」
「ジュリアーノのシスコンは学園にいる時も凄かったですよ」
「そのシスコンは止めてもらえませんか?しっかり自覚はあるので聞いてて恥ずかしいです」
「僕には妹がいないから一生解らない感情だな」
「そうですね うちの義妹は特別可愛いいので」
「ジュリアーノ シスコンもここまでくると重症だな」
3人の軽口はここまで
急に仕事モードに戻った
ジュリアーノの顔つきが変わる
「休みの間に殿下からの手紙にあった至急案件とは何でしょうか?」
「復帰直後で悪いんだが調べてもらいたい事ができたんだよ」
「隣国トラスト大公国から留学していた医師が次々に暴漢に襲われた事件のことですか?」
「さすがジュリアーノ 鋭い 勘だね」
「新聞で読んだ記事が記憶に残っていて 被害に遭われたのは殿下が創立に関わった王国病院の先生方で間違いないでしょう?」
ステファニーは貴族学園在籍中から新しい病院の設立構想を王に進言していた 医師10数名を国費でトラスト大公国へ留学させ最新の医療技術を学ばせた後 新しく建てた王国病院で働いてもらうという計画
大公国を見習い 身分の差なく患者を受け入れるという今までには無い 壮大な国家プロジェクトだ
医療に関心の深かったステファニー殿下が中心となって進めたそのプロジェクトがようやく形になった
一月前 整形外科 呼吸器外科 循環器内科 などこの国には無い新しい診療を目的とする王国病院は開院した
この国では遅れている外科に特化していた
トラスト大公国に5年留学していた医師達は誰一人欠けることなく技術を学んできた 特に外科の分野では今までこの国に無かった手術を行えるようになった
暴漢に狙われたのは全員外科の医者だった
ジュリアーノとテオは襲われた医師たちと面会して情報を集めた
皆同じく深夜病院を出た直後狙われたいた
犯人は3人組 黒覆面をして馬車を襲う 名前を確認し斬りつける手口は共通したいた 幸い命に別状は無いものの共通して腕を狙わらていたと証言している
(犯人の狙いは何だ?外科医の腕を斬りつける?新病院に対する嫌がらせ?警告?襲われた医師の帰宅時間を知っていると言うことは内通者がいると思ってもいいな)
まだ狙われていない医師に囮になってもらう事にした
テオと交代しながらジュリアーノ自ら深夜帰宅の医師の馬車に同乗した
そして何度めかの夜 丁度ジュリアーノが同乗していた時だった
証言通りに3人組の黒覆面の男達に襲われた
犯人は医師の名前を確認し斬りつけようとした瞬間ジュリアーノは馬車の外へ飛び出した ジュリアーノの剣が犯人達の脚の腱を次々に斬っていく
流石 騎士科を首席で卒業しただけあってジュリアーノの剣さばきは一流だった
犯人達はうずくまり動けない 密かにいた警備隊に縛られ連行されていった 犯人達の捕獲に成功した
「先生 犯人の確保にご協力頂いて感謝いたします
これでもう先生方が襲われる事は無くなりました 今夜はこのまま私が屋敷まで付き添いますのでご安心ください ありがとうございました」
意外とあっさり犯人が捕まった事にジュリアーノは どこか納得がいかなかった
あまりにも稚拙な犯行だ
翌日の昼過ぎ殿下の執務室に顔を出したジュリアーノにステファニーは言った
「昨晩はお手柄だったね 流石ジュリアーノだ 犯人を一撃に仕留めたんだってね ところで犯人達から何か聞き出せたかな?」
「お褒め頂きありがとうございます 詰問したのですが 誰一人として白状しませんでした 犯人達の動きは訓練を受けて無い者の様でした 云わば素人です
犯人達の雇い主が誰か分からないと この事件はまだ解決にはほど遠いと思われます」
「んー 黒幕が誰かわからないね どこかの貴族には間違い無いと思うんだが」
「新病院に反対する嫌がらせでしょうか?」
「嫌がらせにしては度が過ぎている気がするね 引き続きジュリアーノとテオはこの件を追ってくれ」
「畏まりました」
「殿下 承知致しました」
2人は頷いた




