あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)25
「さて皆揃ったしジュノの卒業祝いとランの王宮務めのお祝い会を始めようか」
父と母 ジュリアーノの杯には赤いワイン オランジェにはピンクの果汁水が用意された
「2人とも これ迄よく頑張ったな おめでとう」
ブルワーノの言葉で夕食が始まった 楽しく話しながら久しぶりの家族4人の食卓は笑い声が途切れることはなかった
デザートが運ばれた頃
「まだ話足りないから家族水入らずドローイングルームへ移動しようか」
ブルワーノの提案に3人は頷いた
部屋には既に飲み物が用意されていた
ブルワーノはウイスキー ジュリアーノはコーヒー マリエッタとオランジェには紅茶
ジュリアーノがコーヒー片手に話し始めた
「ラン 実は僕が王宮で働くのは知っているよね」
「はい お父様から伺いました 騎士団に入られるのですか?」
「義父上と母上はご存知だが騎士団では無くステファニー殿下の側近として働く事に決めたんだよ」
「えージュノ義兄様!本当にですか?幼い頃からの夢だった騎士にならなくていいのですか?」
「騎士には ならなくても ある程度強くなったから大丈夫だよ 僕1人でランは守れるから安心して ははは」
「お義兄様なら騎士団は当然入団するものだと思われたでしょうに」
「騎士団よりステファニー殿下からのお誘いが魅力的だったからね 驚いたかい?ランの驚く顔が見たくて黙ってたんだよ」
びっくり顔のオランジェ
「もうお義兄様ったら私に黙ってるなんてひどいわ お父様もマリお義母様も!
んーでも? 王宮でお仕事となると王宮に一緒に通えるんですか?」
「そうだね そういうことになるね ランの側に居られるよ」嬉しそうに笑うジュリアーノ
ブルワーノが頃合いを見計らって口を開いた
「2人に報告がある 突然なんだがマリエッタとも相談して財務大臣の職を辞そうと思っている アランデール領地でのんびり好きな事をしながら過ごすつもりだ」
マリエッタは横で幸せそうにに頷いている
「義父上 突然何を仰るのですか?」今度はジュリアーノが驚く
「2人の王宮勤めが決まった時から考えていた アランデール家の人間が3人も王宮にいると第1王子を次の王にと企んでいる連中に邪魔だと思われかねない
それらの貴族が我々に何をするからわからない 誤解を生まない為私が身を引く」
「義父上 第1王子派がそこまでするでしょうか?」
「華やかに見えて貴族の一部は闇が深いからな 事実ルシェル第1王子とステファニー第2王子のどちらも皇太子に決まってない
ジュノが第2王子に仕えるとなるとアランデール家は第2王子派だと疑いがかけられる 王家の後継者争いにアランデール家は関わりたくないのが本音だ」
「この先の皇太子争いですか… そこまで考えが及びませんでした 義父上のお考えはよくわかりました
それでは財務大臣の座をお辞めになるのは早くて来年辺りでしょうか?
次の方に引き継ぐのに多少の時間はかかるでしょう」
「いいや 王様の許可は既にもらったので来月辞めて直ぐに領地へ行くつもりだよ
決断は早いに越したことはないからね 引き続きなんて財務課の文官が把握してるので大丈夫さ」
ブルワーノは飄々と笑いながら言った
「ブルワーノ様 今からアランデール領地へ行くのが楽しみだわ
都会を離れてのんびり暮らしてみたかったのよ 育ててみたい花も沢山あるし 今から植えるのは何がいいかしらね?」
マリエッタも新しい生活を想像して夢が膨らむ
それに比べてジュリアーノとオランジェは父と母のあまりの突然の隠居宣言に言葉を無くして目と目を合わせた
ブルワーノはジュリアーノ オランジェと入れ替わるように 宣言通り さっさと財務大臣を辞めマリエッタと共に領地へ引っ込んだ
ジュリアーノとオランジェは今日も同じ馬車で王宮へ向かってた 40分程度で王宮へ着く
「今日も帰りは10時過ぎる予定だから先に食事をして早めに休むんだよ」
「ジュノ義兄様が遅い日は1人食堂に行くのが寂しくてついつい部屋でメルと話をしながら食べてます!
いつになったら一緒に夕食を食べられるのでしょうか!? 全く人使いが荒いですのね ステファニー殿下は!!
毎日お義兄様をこき使って!」
(ランの為に共に他国の医療事情を調べてるんだよー 僕につきあってくれてる殿下が不憫だ
ランが人使いが荒いと言っていた事は殿下には黙ってよう
たまには早く帰ってランの機嫌を取らないとなぁ ランは昔から怒らせると怖い)




