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あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)23

冬季休暇も終わりジュリアーノは学園に戻って行った


(念願だったクリスマスも 新年もお義兄様と一緒に迎えられたわ


学園でのお話も沢山聞いた

ティータイムも楽しんだ 

コーヒーも試しに飲んだみたけど苦くてまだ私には無理かもしれない

バルコニーで2人毛布に包まれながら夜空に出ていた月も一緒に見た 寒かったけど

あまりにも美しい冬の月

輝きに感動した 月はいつ見ても好き

馬で散歩にも連れて行ってもらえた 遠乗りは無理だったけど

お義兄様との思い出がまた増えた


嬉しかった分 義兄様が帰られた後の生活は彩りが無くなってしまって淋しい

また1人のティータイムに戻ってしまったのね 

今度はお義兄様と一緒にコーヒーが飲める様に慣れていこう 少しは義兄様に近づけるかしら?)


淋しさを紛らわせるようにオランジェは古文書学の勉強により力を入れた


ジュリアーノのいない4年間が過ぎ去っていった


幼い頃からオランジェはジュリアーノに語っていた

専門家の講義を受けたい いつの日か古文書解読室の文官になりたい 古文書を解読して多くの人に伝えたいという夢を持っていると


ジュリアーノは笑う事なく真剣に聞いてくれた

「ランは古文書が大好きだもんなぁ 解読室か… 文官試験に合格するのは大変難しいと聞くよ でも夢の為に頑張るんだよ 夢を話してくれてありがとう」と優しく言ってくれていた


オランジェは15歳になった


貴族の令嬢なら普通14歳で貴族学校へ入学する

ブルワーノから昨年学園の入学を打診されたが足の悪いオランジェは躊躇うこともなく

「このまま古文書を学んで王宮の古文書解読室に勤務したいと強く願っています」と告げた


娘の強い決意を知ったブルワーノは

「貴族学園には行かなくていいのかい?王宮の古文書解読室に入るには難関の文官試験を受けなければならないよ 

今以上の努力が必要だよ」

「お父様 私 夢を叶えたいの その為の努力は覚悟の上です 来年試験を受けようと思っています」

「それなら 学園に行かずにこれからも古文書学を頑張りなさい ランの努力が報われるように応援しよう」


文官になるには職種にもよるが古文書解読の試験は年齢制限は設けられていない

その為オランジェは15歳で試験を受けるつもりでいた


今年に入ってからネンデル先生の講義を増やしてもらっていた

ネンデル翁は嫌がりもせず毎日アランデール邸へ来てくれた


「ネンデル先生 この単語はこの文章に続いていくのですね 表現が難解です だけと頭にこの字が入るとまた違った意味になりますよね」

「オランジェ よく気がついたなぁ ここまで読みこなすまでには普通は時間がかかるんじゃ 君はやっぱり筋がいいのぉ 教え甲斐がある」

「先生の教え方が上手だからです」

「以前解読した童話は表現が自然で読みやすく完璧だったぞ」

オランジェは褒められて顔を赤らめた


試験はいよいよ明日

ネンデル先生の最後の講義が終わった 夢に向かって進んでいる 今年は無理でも来年また頑張ればいい


「これで講義も終わりじゃなぁ この4年儂も楽しかったぞ こんなに熱心な生徒に出逢えて 明日は落ち着いて試験を受けなさい 君の実力なら必ず解読室に入るはずじゃ」


「ネンデル先生のお陰でここまで来ることができました 本当にご指導くださって感謝しています」

「熱意は凄まじかったなぁ これからもオランジェ譲は儂の弟子だから わからない事があったらいつでも連絡してもらって構わないぞ

儂の邸に来てくれたら歓迎するぞ ワハハハ」

ネンデル先生と最後のティータイムはマリお義母様の手作りのクッキーも加わって賑やかな雰囲気で終わった


オランジェは朝早く試験の為に初めて王宮へ急ぐ

馬車の中ではいつにも増して冷静な自分に驚く 

何事にも好奇心の強いオランジェ 馬車の中から移りゆく早朝の街並みをキラキラした目で見つめていた

殆ど邸から外へ出た事のないので試験より街の様子が気になっていた 


(試験ってもっとドキドキするのかなと思ってたけど意外とそうでもないわ ブライト・ネンデル先生からも励ましの言葉ももらったし 絶対に文官試験に合格して古文書解読室で働くんだから!)決意も新たに試験へ向った


1週間を過ぎた頃

オランジェの元に王宮文官課から手紙が届いた


「お嬢様 お手紙が届いています 王宮から至急の使いがやってきました」


王家の蝋封がしてある

オランジェは急いでペーパーナイフを手に取った


〈 オランジェ・

    アランデール殿


貴殿を王宮の古文書解読室官に任命する


詳細は追って連絡する



グランドル王国文官課室長

  リッテラ・パリトル〉


オランジェは手紙を何度も読んだ 

(本当に?これまでの努力が実ったの? 

嬉しい 嬉しい やっと夢が叶ったのね


神様ありがとうございます


お義兄様とブライト・ネンデル先生に早急にお手紙を書かなくちゃ)


部屋から慌てて飛び出しブルワーノとマリエッタに文官採用の知らせを届けた


オランジェの新しい扉が開いた

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