あの月の下で私と踊って(お義兄様と私の物語)16
(ジュノ義兄様が学園に行かれてしまった
出立が朝早かった為に見送りは不要と昨夜お義兄様から言われていた
昨夜は眠れなくて気がついたら 一晩中ベッドの中で本を読んでいたわ
早朝 静かな邸の中 お義兄様が出発する気配がしたが私は敢えて部屋から出なかった
見送りをすると泣いてしまいそうなので かえって良かったのかもしれない
昨夜お義兄様とは笑顔でお別れをした 笑顔の私を覚えていて欲しかったから
一昨日渡したダークオレンジの髪紐は持って行ってくれたかしら?
同じ王都にあるとはいえ学園は郊外にある
次にお会い出来るのは多分夏季休暇に入ってから
お義兄様に会えなくなるのは淋しい
そろそろ起き上がって支度をしなければ 朝食を食べるために食堂へ行かなければならないわ
今まではお義兄様が迎えにきて抱えてくれたけど 今日からは自分の足で歩かないといけないのね)
「メル 今日は黒い髪紐で纏めてくれる?」
「お嬢様が髪紐を指定されるなんて珍しいですね」
(普段の髪型はメルに任せているけど今日はなんとなく黒い髪紐を使いたかったお義兄様を想って)
朝の支度をしてくれたメルに腕を貸して貰って痺れる足を引きずりながら歩みを進める
一番奥のオランジェ部屋から食堂までは少し距離がある
ようやく食堂に着くとすでに両親は座ってオランジェを待っていた
「おはようございます お父様 マリお義母様遅くなりました」
「おはようラン ジュリアーノは朝早く学園に行ったよ」
「義兄様の様子はどうでしたか?」
「珍しくダークオレンジの髪紐で髪を一つに纏めて元気に出発して行ったわ
チラリとランちゃんの部屋の窓を見ていた気がしたけど」
「そうですか お義兄様が」
「ジュノは学園に早く馴染めるだろうか?」
「あの学園でしっかり教育を受けて騎士として1人前になるのを期待しましょう 私達もジュノのいない生活に馴れないとね さあ 朝ご飯をいただきましょう」
食後のお茶を飲み終わるとオランジェは何か言いたそうにブルワーノの顔を見つめていた
「突然ですがお父様お願いがあります」
「ランからお願いがあるなんて珍しいね」
「前から考えていた事なのですが私は本格的に古文書を勉強したいのです 義兄様が騎士を目指すなら私は古文書解読の仕事をしたいと思っています 専門の先生を探して頂きたいのです」
「ランちゃんには夢があるのね 何でも熱心に取り組むランちゃんだもの ブルワーノ様 先生を是非探してあげて」
「わかった ランは本気なんだね 王宮の人間に優秀な人物がいないか聞いてみるよ」
「ありがとうお父様 マリお義母様」
朝食が終わりブルワーノは王宮へ向った
一ヶ月過ぎた頃 王宮から帰ってきたブルワーノが足早にオランジェの部屋に向った
「ラン 先生が見つかったよ 王宮の元古文書解読室の室長だったブライト・ネンデル様だ 王様の推薦だからきっと優秀な人材だよ
早速 来週から我が家に来てくれるとの連絡を受けた」
「わー 本当?お父様ありがとう とても嬉しいわ 本格的に古文書が学べるなんて夢見たい!頑張って古文書解読を頑張ります」
オランジェは笑顔で答えた
翌週の月曜日 元古文書解読室長ブライト・ネンデル翁がアランデール邸へやってきた




