若々しくありたいお客様
「うーん、すっごく不思議」
本日のお客様は、カウンター席に座ったまま、
マスターの顔をじっと見つめていた。
その視線に気づいたマスターは、
「何が、そんなに不思議ですか?」
と、優しく尋ねた。
お客様は、少し考えてから、
真っすぐにマスターを見て話を始める。
「ねえ、マスターって、どうしてそんなに若々しいの?」
すると、
「確かに、マスターって肌とかとっても、若々しいですよね。」
話が聞こえていた従業員の一人も、お客様に賛同する。
急にそんなことを言われたマスターは、戸惑いつつも、
何とか会話が途切れてしまわないよう、言葉を繋いでいく。
「いやいや、お客様も、まだ全然お若いじゃないですか。」
「えー、もう駄目だよ。
年々、体が衰えていってるし、シミとか皴も増えていく一方で。
なんか、肌のハリとかツヤも、どんどんなくなってきた感じがするし。」
そう言いながら、お客様は、寂しそうに、
しょんぼりとした様子を見せる。
その様子を目の当たりにしたマスターは、
自分のこれまでのことを振り返りながら、ぽつぽつと話をし始めた。
「そうですねえ。
私は、食生活もですが、何より一番は、
こうして、いろんなお客様とお話が出来ることが、
楽しくて、毎日の活力になっているような気はします。」




