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【6万PV感謝!】ドラゴンLOVER  作者: eXciter
番外編-Omake no hanashi-
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推し会議⑦


 そしてそれでも尚、この星の住民たちは、再び平和な日々を取り戻そうとしている。

この事に関してはフリーダの発明が大いに役立ったという。


 「ありがたいのは、フリーダちゃんが色々なところに通話用鉱石板と質量転移魔術ゲートを配ってくれたことね。

  おかげで協会本部に届く声が多くなって、復興に必要なものが判るようになったし」

 「聞くに、協会への申請がいつ届くか分からなかったり、そもそも本部に連絡ができなくて、諦めていた街が結構あったんだ。

  協会の仕事は増えたけど、きちんとサポートが行き届くようになったのはむしろありがたい」


 本部受付に務めるモフミナーサ、雪原渡りの中心となるエクスマにいるモフミニェなど、とくに感謝している。

さらにはヴァン=グァドへの騎士団派遣の要請、アグリミノルへの医療器具の注文なども容易になった。

連邦全体、さらには他国との通信網が築かれ、世界規模で復旧事業を行えるようになったのだ。

ヘクティ村跡地の港湾都市化計画の事業化には、この通信網確立の恩恵が大きい。


 「フリーダ様の発明のおかげで、シーベイでの物資受け入れもだいぶやりやすくなりました。

  本当に感謝してもしきれません」

 「わふ!」


 また海を渡る交易ドラゴンの雇用も進んだ。

これにはアニィ達の活躍そのものが大きく影響している。

己の住む星の復興を望むドラゴンが多数おり、彼らのうち一部の特に高い知能を持つ者達から、連邦本部への申し出があったのである。

曰く他の地にもドラゴンがいるはずで、彼らも助けを求めており、生活が安定した自分達なら彼らを助けに行ける、とのことだった。

この申し出に連邦政府は驚いたが、プリス達のように人間と手を取り合い、互いのできることを活かして援助をよりよく行いたい…

と、ドラゴン達が言ったことが決定打となった。


 「意思疎通が行えるのを互いに理解できた、というのが大きいでゴザルな。

  ちなみにヴァン=グァドでは、ヒナ殿とクロガネ殿が騎士団とドラゴンの間を取り持って下すったでゴザル」

 「ポンポコ!」


 火山島ボルビアスを拠点とするヒナとクロガネの住居は、今はドラゴンからの協力申請の受付窓口にもなっている。

これは人間のいる場所にすぐに向かうのをためらうドラゴンが多く、ヒナが自ら申し出たのである。

時間があるときに窓口となり、ヴァン=グァド、あるいは他の自治体や本部に彼らの申請を届ける仕事をしている。

クロガネとの会話ができるのみならず、ドラゴンを恐れず声音から本心を察することのできるヒナにとって、うってつけの仕事と言えた。


 「ポンポコポンポコ!」

 「おかげでヒナ殿に会う機会が増えて、ポコマツは大喜びでゴザル。

  拙者の相方なのに、このポンポコはまったく…」

 「ポンポコ!」


 少しだけ嫉妬するモフミノーラが、ポコマツの尻尾をモフモフした。



 こうして世界は邪星皇や邪星獣による蹂躙から立ち直ろうとしている。

時間はまだかかる。課題も山積みである。

邪星皇出現以前通りの生活を取り戻せるか、この星全ての住民が平和で幸福な生活ができるかもわからない。

だが、彼らは確かに平和を取り戻そうとしている。

世界中が少女達の闘いを知り、彼女たちがごく普通の少女であることを知り、ならば自分にもできるはずだと。

挫けたもの、諦めた者がいれば手を取り、支え合って、立ち直ろうとしているのである。



 …と言った結論が出たところで、アニィ達の旅の振り返りは終わった。

アニィ達の活躍が連邦の、そしてこの星の復旧を支える礎となったのだ。

実に尊い、本当の意味で尊い。そんな妄想の尊みを、姉妹たちとプレムはまたも吸い込むのであった。


 「「「「「「尊み~」」」」」」スゥ



 そしてここでついに本題に入ることとなった。

モフミーヌが鉱石ボードに第二の議題を書き、スコンと立てて全員に示す。


 「ではアニィ様方ご一行の旅路の振り返りが終わったところで。

  第二の議題、そして本題に入ります…

  ズバリっ! 推しカプまたは推しメン発表会ッ!」


 \ワァーオ! ドンドンモフモフ/

そう、実はこちらこそが本題である。振り返りよりページは少なくなりそうだが、推しカプ・推しメン発表会だ。

アニィ達一行にこんがりと脳を焼かれた女たちではあるが、勿論それぞれに推しがいる。

また一行以外でも、旅の中で出会った者達も推薦対象になっている。

つまり大体誰でも良いのである。推薦された本人が知ったらどう思うやら。

拍手と歓声が止んだところで、モフミーヌがルールの説明を始める。


 「皆様の前にお配りしましたボードに、推しメンや推しカプいずれかを書いていただきます。

  あくまでどちらかのみ。両方にするとキリが無さそうなので、そこはご了承ください。

  あとこの場合、カプと言っても恋愛カップルだけでなく様々な組み合わせで大丈夫です」

 「「「「「はーい」」」」」

 「それと、アニィ様&プリス様のカップルは対象から外させていただきます。

  本編の主役かつ殿堂入り、恐らくこの世で最も尊いカップルですので。人類の尊厳」

 「「「「「尊厳~」」」」」


 アニィとプリスの殿堂入りに関して、彼女達を含む少女愛愛好団体『リリアウラ聖教』では既に周知されている。

ドラゴンと人間の恋愛関係は彼女達以外でも見受けられるが、何よりもそこに至るまでの過程が加味されたことで、聖教の中では完全に神格化されている。

特に愛し合う2人を目の当たりにしたモフミナーサとプレムなど、普段の態度には出ないが、完全に脳を焼かれたコンガリであった。


 そんなわけでボードに書いていくメンバー。

ちなみにアシスタントのモフモフにもボードは渡されている。つまり発表者の数は11名だ。

まあ票を集めてチャンピオンみたいなことはせず、ただ発表するのみなので、平和っちゃ平和である。


 そんなこんなで全員が書き終えた。

発表の順番は最初にモフミーヌとチャウネンから。

その後下から数えた年齢とそれぞれのアシスタント、途中でプレム。

つまりモフミノーラが最初で最後はモフミナーサとなる。

※五つ子であり年齢は全員同じはずなのだが、一応そういった序列はあるらしい。


 「では皆々様、それぞれ順番にボードをお出しください。

  まずは司会進行役のわたくしモフミーヌから参ります。はいザンッ!」


 まずは一番手とばかりにボードを示したモフミーヌ。

書いてあったのはある意味いきなりの変化球、「アニィ&マルシェ夫人」であった。


 「アニィ様が最初に挫折され、再起した時の組み合わせです。

  ご婦人はご自身もお子様達を喪われたばかりなのに、アニィ様を励まされて…

  これはもう人として、正しい意味で気高く尊い方だと」

 「なるほどね。アニィちゃんがあそこまで頑張れたのは、この時のことがあったからなのね」

 「きゅっ」


 実際、この時の励ましが無ければ、アニィが邪星皇の許まで行けたか怪しい。

この時期のアニィはまだ自己否定に囚われていた。

心折れずに立ち直れたのは、間違いなくマルシェ夫人のおかげである。

ただ立ち直れと言うだけでなく、様々な人間模様を見つめてきた夫人ならではの励まし方であった…というのがモフミーヌの解説。

モフミナーサもゴマリントン教授も納得であった。


 「はい。同時にここでプリス様から邪星獣の情報がもたらされて、連邦に広がる切っ掛けになったんです」

  まさにこの瞬間こそ、歴史の転換点だったわけです」

 「わふっ」


 つまり、モフミーヌはこのフェデルガイア連邦の歴史の転換点に立ち会ったわけである。

他の姉妹としては羨望もあるが、この点に関して言えば、むしろ誇らしさの方が勝った。


 「モフミーヌ姉上は我が姉妹と聖教の誇りにゴザル」

 「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやそんな…

  それより次、チャウネンどうぞ」

 「わふ!」


 照れるモフミーヌに促され、今度はチャウネンがボードを立てた。

どうやら文字を書くだけの知能と器用さ、識字能力はあるようだ。

書かれていたのは「チャム&フータ」である。

今やすっかり友達になった2人だ。


 「モフミーヌとチャウちゃんは2人と最初に会ったのよね」

 「そうなのです。特にチャウネンはすっかり脳が焼かれたとのことで」

 「わふ~」


 当時の事を思い出してウットリするチャウネン。

アニィ達を助けに行きたいチャムと親友である彼女を思いやる創星の竜のやり取りに、ドラゴンと人間の間の深い愛情を感じたという。

すなわち創星の竜がこの星を産みだしてからの歴史の縮図である。

そして創星の竜がチャムを連れて宇宙まで向かうことを決めた瞬間でもあった。

アニィとマルシェ夫人の時とはまた異なる、歴史の転換点でもある


 「あの時の創星の竜様の眼差しが大変優しくて、私もコンガリされてしまいました…」

 「わふ!」

 「いいよなー君ら。アニィ君達とは最初に会うしさぁ」


 モフミニェの羨望の眼差しを涼しい顔で受け流し、モフミーヌは次にアニィ達と出会ったモフミノーラにバトンタッチ。

そのモフミノーラが上げたのは、これまた少々珍しい組み合わせであった。

回答は「オーサー&ダディフ&アムニット」。

この業界では人気が出るジャンルかもしれない、中年の男3人組である。


 「何、ノーラはおっさん好きなん?」

 「とも少し違うのでゴザル。何と言うか、男の集団でなければ出せぬ硬派さというか…

  確かにアニィ殿達の尊さは拙者も理解してゴザルが、しかし男だけの世界というのも見逃せぬのでゴザル」

 「な~るほど。ある意味じゃ清らかな空間つうわけだ」

 「さようにゴザル」


 モフミネリィの説明で、この場の全員が理解納得した。

男女の情交から来る生々しさというものが無い分、男だけの世界というのもまた美しい物であるという。

ここで男同士の恋愛、いわば現代で言う腐女子的感覚を持たないのがモフミノーラである。

あくまで彼女が鼻息を荒くするのはアニィ達周りだけなのであった。

そして続けてポコマツが挙げたのは、もちろんと言うか「ヒナしゃん」一択であった。


 「拙者よりヒナ殿大好きなようでジェラ嫉妬にゴザル」

 「失礼ですが、もしやポコマツ様もヒナ様の腹筋に魅せられたのでは…?」

 「ポンポコ?」


 ヒナの腹筋で鼻血を爆散したプレムが尋ねるも、ポコマツは首をかしげるのみであった。

ポコマツがヒナと仲良くなったのは、独立型邪星獣ガ=ヴェイジを斃してから翌朝までの間。

協会の休憩室で手当てをしたり朝食を運んだりしたところ、優しく撫でられ微笑まれて一発でオチたという。

アニィ達についていくと彼女が言い出した際、思わず止めにかかってしまったほどだ。

邪星皇討伐の旅が終わり、ヒナとクロガネがボルビアスに住んで頻繁に協会を訪れている今は、定期的に会えるようになっている。

ポコマツご満悦である。


 「ポンポコ~…」

 「こやつにとってのヒナ殿は、即ち我らのリリアウラ聖教にゴザル」

 「判りやすいけどビミョーに複雑な例えだな」


 モフミノーラの説明に、モフミニェが複雑な表情になるのであった。

ちなみに腹筋などは特にみておらず、純粋に懐いているだけである。


 さて続いてはモフミネリィとジャッキーチュンの番だ。

彼女達は他の都市や自治体と比べて若干閉鎖的な町に務めていることもあり、外部との交流は少ない。

しかし現在、アグリミノルには姫町長ことメグとバルベナのカップルが常駐している。

つまり住民もろともその美しさに脳をコンガリ焼かれているのである。

さらにアニィ達一行(当時はフリーダとクラウがまだ未参加の状態)を迎えたこともあり、最早炭化してもおかしくないレベルだ。


 「まぁそんなわけでぇ、ここはやっぱり『ヒメ町長&バルベナ』かなぁ」

 「ほんっとうらやましいな君の町はァ!!」

 「グェーッ」


 早速ドラゴンスリーパーをかけにかかるモフミニェである。

一しきり締め上げたのちに解放し、モフミネリィに説明を続けさせる。


 「実際んとこ、あの2人が正式に付き合い始めたのってアニィちゃん達が来てからなんよね。

  確かに交流はあったんだけども、でもアニィちゃんたちの影響は間違いなくあると思う。

  バルたんのいた廃村に邪星獣が来ないように助けてもらったし」

 「ちゅん」

 「それまで町長様とバルベナ様は廃村で暮らしていらしたのですよね。

  ハァ~~~~~密かな逢引き…これは尊厳尊厳尊厳尊厳…」


 妄想に陶酔するプレム。まあ間違いではない。

しかしそれにもまして意外なのは、町民が瞬く間に2人の関係を受け入れたことだ。

これはメグの人格とバルベナのツンデレっぷり(ツンが100でデレが1億万くらい)によるところが大きい。

この辺、ヘクティ村がクソ村民ばかりだったのとは対照的だ。

やはり周囲と断絶したド田舎地方のド田舎村、自分達の常識が既に風化しているレベルとは知らなかったのだ。


 「バルたんの生活のために廃村まるまる買い取ったっつうからね。

  ちなみにあそこ、今ではアグリミノルの領地になってるんよ。

  んでマウハイランドを切り拓いて道を作る工事してる」

 「ヴァン=グァド北からあの辺まで、陸路だと相当な回り道を強いられていたものね。

  やっと住民の声が届いたようで良かったわ」


 協会本部受付のモフミナーサも、いずれ道路が開通することに安堵するのであった。


 そしてモフミネリィ以上に外部との交流が無いのがジャッキーチュンである。

そもそも外部のことに興味が無いらしく、言動はそっけないし他人に懐かない。

で、そんな彼がアニィ達の旅に脳をコンガリ焼かれたかと言えば…


 「ちゅん」


 立てたボードにはアニィとフリーダの名前が書いてあった。

ジャッキーチュンが両者を同時に目にした瞬間と言えば、マナスタディアで巨大独立型邪星獣ゾ=ディーゴンを斃した時だ。

ちゅんちゅん説明するに曰く、フリーダのとても幸福そうな顔が印象に残っているらしい。

初めて自分の魔法が実現できた時のことである。

当時の上空での様子はアグリミノルからも見えて、何があったかは大体察することができた。


 「へぇー。あんまりヒトに興味なさそうだけど、結構見てんねぇ。

  しかもイイとこついてくんじゃん」

 「ちゅん」


 モフミネリィに撫でられつつ、ジャッキーチュンは頷いた。

人類の尊厳に関して言えば、あくまでもただ表情に出ないだけらしい。

普段から人類そのものにあまり興味が無いのは、まさに表情通りなのである。



読んでいただきありがとうございます。

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