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一党追放  作者: 藤咲晃
五章 貴族の屋敷に招かれて
30/42

憩いの公衆浴場

 依頼主に一角獣の討伐報告を伝え、ギルドに戻り受付に完了報告を伝える。

 報酬を山分けした二人は、さっそくそのままの足で公衆浴場に向かった。

 レノと別れたユキナは番頭に銅貨二枚を払い、剣を預けてから脱衣所に入る。

 ユキナが足を踏み入れると、クエストを終え汗を流しに来た女性冒険者たちが一斉に此方に視線を向けた。

 脱ぎかけの者。今から脱ぎ始めようと上着に手を掛ける者。鎧の着脱に苦戦する者。彼女たちの動きはユキナが現れたことで止まった。


「ちっ」


「こらこら、人の顔を見るなり舌打ちするんじゃない」


「ユキナもクエスト終わりに?」


 舌打ちする目付きが恐い女性冒険者とそんな彼女を咎める冒険者。

 そして質問する女性冒険者にユキナは頷く。


「うん」


 他にも女性冒険者は居るが、ユキナを見た途端に彼女らの纏う空気は一変した。

 それは戸惑いだった。

 ふらりと現れ、相変わらず無表情を浮かべるユキナにどう反応していいか分からず戸惑う者。

 そして嘲笑う者も少なからず居る。

 困惑と侮蔑混じりの視線に当人は特に気にした様子も無く手早く衣類を脱ぐ。

 そしてタオルを巻こうとしたその時だった。


「うそ……想像よりも肌が綺麗っ」


「いや、まだだ! 胸の大きさじゃああたしらの方が遥かに圧勝だ!」


 胸を主張する女性冒険者にユキナは目もくれずタオルを巻く。

 そしてユキナはそのまま浴場に向かう。

 さっそく備え付けのシャワーで丁寧に身体を洗い流し、長い髪をこれまた丁寧に念入りに洗い流す。

 身体の汗と汚れを流したところでユキナは、長い白髪を団子に纏める。

 楽しげに談笑する彼女たちから離れた位置に向かう。

 自分が彼女達に近付いてはきっと不快な想いをさせる。単に同性同士の身体の触り合いが苦手というのも有るが。

 十分距離を取った所で浴場に浸かろうと足をのばすと偶然ソレが視界に入る。

 木造の壁に開けられた小さな穴。丁度人の瞳ぐらいの穴に。


「……壁に穴が有る」


 そういえば、壁の向こう側は丁度男湯だったとユキナは思い出す。

 タオルを巻いてるため恥部は決して見れないが、他の女性はタオルを巻いて居ない者も居る。

 しかも丁度穴の位置からは入浴中の女性、シャワー中の女性が一望できる。

 紛れもない覗き穴だと理解したユキナは右手の二本の指を突き立てる。

 そのまま彼女は右手を引き、


「てや!」


 穴に鋭く指を突き刺すと。


「ぐわぁぁぁ!? めが、目がぁぁァァ!!」


 誰かの泣き叫ぶ声に、女性達が一斉に壁の穴に気がつく。


「……えっ、まさか今の声って」


「うそっ!? 覗き!!」


 次第に騒つく女性冒険者はユキナを抱き寄せ、


「ユキナはこっちに!」


「いくら欠陥品でも覗きに遭うのは見過ごせねぇ!」


 男勝りな女性冒険者の言葉に他の冒険者が一斉に身体から魔力を滲ませる。

 既に彼女たちは臨戦態勢で、壁越しからあわてふためく男達の声が響く。


「覗きはダメだけど……壁は壊しちゃダメ」


 怒り心頭中の女性陣に呟くと、彼女らは同時に言った。


「「「もちろん!」」」


 その後、怒り狂った女性冒険者たちの手により覗き犯はアスガル警備署に突き出されることに。

 なお、捕まったのは大半が男性冒険者でその中にレノの姿も有ったという。

 悪い事をして捕まるのは無理もない。ユキナはそう思いながら静かになった浴場でゆっくりと身体を温めるのだった。

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