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一党追放  作者: 藤咲晃
五章 貴族の屋敷に招かれて
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平原を駆ける一角獣

 平原に降る小雨に打たれながらユキナとレノは、大地を駆ける。

 二人の前方に一角獣が地面の水溜りを跳ねらせ、平原を疾走していた。

 平原を疾走する一角獣にいち早く追い付いたユキナが剣を振り抜く。

 一角獣の胴に斬撃が走り、血が刃に吸血される。

 一角獣は斬られた痛みに鼻息を荒げ、全身の毛皮に雷を迸らせた。


「レノ、跳んで」


 ユキナの静かな合図にレノは地を蹴って跳んだ。

 やや遅れて一角獣から距離を取ったユキナも地を足場に宙に跳ぶ。

 同時に一角獣が毛皮に帯電させた雷を解き放つ。

 雨に濡れた大地と草、水溜りに走る放電が水分を蒸発させ水蒸気を生み出す。

 視界が水蒸気に覆われる中、レノの火球が一角獣に飛ぶ。

 獣の悲鳴と肉が焼かれる臭いが辺りに充満した。


「っと! このまま一気にやるぞ!」


 地面に着地したレノが、地を弾けながら一角獣の首に拳を叩き込む。

 骨が折れる音が平原に響く。

 首の骨が折れようとも一角獣は倒れず、今度は角の先端に魔力を集め、魔力の閃光を空に解き放った。

 空から降り注ぐ閃光をユキナは駆けながら避ける。

 閃光の着弾により平原に爆風が襲うが、既にユキナは一角獣との間合いを詰め終えていた。

 空を斬り裂く一閃が一角獣の首筋に走る。

 一角獣の首が平原に転がり、血飛沫が小雨に混ざりながら平原に降り注いだ。

 剣に付着した血は、吸血によって剣身に染み込む。

 剣が血を吸う光景にユキナは未だ馴れず、返り血を浴びたアホ毛が力無く揺れる。

 

「……馴れない」


「そりゃあなぁ。俺だって馴れないさ……しかし、連携に改善点が有るな」


「うん。レノの魔法攻撃と同時に斬ればよかった」


「あー、そこは俺もユキナを見失ったからなぁ」


 突然の水蒸気に視界を遮断された影響は、思いの外大きい。

 幾ら直前に位置を把握していたところで、全方位の視界が覆われてしまえば方向感覚に支障が出る。

 幸いレノが一角獣が視認できる位置に居たからこそ、魔法を叩き込む事ができた。

 だが、ユキナは斬り付けた一角獣の近場に居たため、魔物の魔法範囲から流れるために距離を取っていた。

 

「距離を空け過ぎた。あと間合いを剣一本分詰めてたら速く終わってた」


 ユキナは自身の反省点を挙げ、レノが肩を竦める。

 

「ま、俺もリーダーとしてもうちょい全体を見通さないとな」


 今のままでは北方にも生息する魔物に対応できない。

 幾らオーガを討伐できたところで、山岳を超えた先から魔物の生態系も著しく変わる。

 西か東の開拓へ向かおうにも、先ずは山岳を越えなければならない。

 そのため二人はこうして連携の基礎を見直していた。

 小雨に打たれ続け、身体が冷えたユキナは小さくくしゃみ。


「おっと、流石に雨に濡れたままじゃあ風邪引くな」


 そういえば、今日一日は各部屋のシャワーが使えないと注意書きが有ったことを思い出す。


「ん。今日は宿屋の保温魔法の点検日」


「……つまり公衆浴場に行くのか?」


「うん。広くてポカポカするから」


「……なら、俺も行こうかな」


 何故か視線を彷徨わせるレノにユキナは小首を傾げる。

 如何して視線が彷徨うの? そう聞こうとしたが、レノは急足で歩き出したため、ユキナは聞くことを辞めた。

 彼の表情が怪しげな笑みを浮かべ鼻息を荒くしていたからだ。

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