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一党追放  作者: 藤咲晃
四章 海底に潜む謎の生物
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領主は頭を抱える

 書類の山が積み重なった机を前にして男は深く肩を落とす。

 体格に恵まれた赤茶髪の男──ラウム・アスガルはメイドが監視する眼差しに渋々と椅子に座る。

 そして一枚目の書類を手に取り、内容に眉を深めた。

 

「今週の漁業収穫……海の魚がゼロとは、グラトニーの脅威は凄いな」


 領主としてこれも頭の痛い話だった。

 アスガル海域から魚と魔物が姿を消した影響により、領主として漁師に対する生活の補填をするのは当然ことだが、魚が戻るまでの間は生活の面倒を見なければならない。

 補填の資金は私財から紛うため別段問題は無いが、アスガル領内の食糧事情を支える一翼が崩れた影響があまりにも大きい。

 加えて討伐部隊を差し向けたが、グラトニーは姿を消してしまう始末。

 今後グラトニーの脅威に怯え続けるぐらいなら討伐戦力を充実させるべきだ。

 しかし姿を消したグラトニーよりも目先の問題を解決することもラウムにとっては優先すべき事柄だった。


「……しばらくはイルミナ領から食糧を買付なければな。おい!」


 ラウムは壁際で佇むメイドに声をかける。

 

「さっそく行商人に発注して参ります」


「話しが速くて助かる」


 メイドは直ぐにドアノブに手をかけると。


「旦那様、くれぐれもサボらないように」


 鋭い目付きで忠告してから退出した。

 彼女は有能だが、真面目過ぎるとラウムは息を吐く。

 何より公務をサボって町で遊び歩けないのは痛手だ。

 

「……いや、彼女が気を張り詰めるのはエデン絡みだったな」


 彼女もエデンの犠牲者だ。だから必要以上に肩を張り張り詰めているのも理解が及ぶ。

 しかしエデンの残党たるアデュクを捕らえて以降、残党に動きが無いのが不可解だった。

 騎士団が残党のアジトを二つほど潰した影響ももちろん有る。

 だが、冒険者時代から培われた経験が油断するなと警鐘を鳴らす。


「警戒はより厳重にした方が良さそうだ。それにゴリス支部長が本部に居るウチに戦力増強を打診する必要が有るな」


 スライム事件と幽霊騒動では完全にこちらが後手に回った結果となった。

 連中の動きに対応する為には冒険者と騎士の連携も必要だ。

 さて、如何したものかとラウムは思案する。

 先ず考慮すべきはユキナの件だろう。

 事件を解決しアデュクを捕らえたのもユキナとレノの二人。

 特にユキナは欠陥品ゆえに嫌われ易い。そんな彼女の所属一党だけを屋敷に招待でもすれば要らない軋轢を生むかもしれない。

 そもそも一党追放から出戻りのユキナに対するギルド本部の評価も厳しい中、幽霊騒動解決時に発生したクエストを請たのは他の一党に他ならない。

 大掛かりなパーティー開催は懐に招かざる客を呼び込む恐れもある。

 ふと一つ案が浮かぶ。それは単純明快で何も悩む必要もない答えだった。


「ふむ。最初は事件解決に導いた冒険者一党を屋敷に招く考えだったが、どうせなら冒険者全員にするか」


 ラウムはユキナの素性と過去を知った上で、パーティーの計画を公務の傍ら練るのだった。

間章を含めて完結まで残り3章!

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