表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/5

第4話 私は君を誇りに思う

 セレストリアとハンターが、西の遺跡の調査を終えたあとのことだった。上空では魔力嵐が荒れ狂っていた。これでは戦闘機を飛ばせないと、二人は適当な洞窟で雨宿りをすることにした。


「薪を取ってきます」


 ハンターはそう言って洞窟を出ていく。セレストリアは壁にもたれて雨音を何となしに聞いていた。


「……お姉ちゃん」


 洞窟の入口から驚いたような声が聞こえた。彼女は顔を上げる。そこにはびしょぬれとなったフィーネが立っていた。


「……そこで何をしている」


 セレストリアがそう問いかけた瞬間、フィーネの肩はびくりと震えた。


「……えっと、雨宿り……」

「それは見れば分かる。風邪をひくだろ。何を突っ立っているんだ」


 セレストリアはそう言いながら立ち上がり、フィーネにタオルを差し出す。


「……お姉ちゃん、私たちは敵同士じゃないの?」

「私は帝国、君は魔法少女だろう。だから一緒にはいけない。……それと、何の関係があるんだ?」

「え?」

「あくまで立場の話だ。君が風邪をひくことと関係ない」


 フィーネはじっと彼女の顔を見る。


「……もしかして」

「なんだ」

「私、嫌われたんじゃないの?」

「なぜそうなる」

「だって、敵同士だって」

「立場の話だ。言っただろう、またな、と」


 フィーネは目を丸くした。そうして口を開く。


「お姉ちゃんの言葉足らず!」

「……何の話だ?」


 セレストリアがぽかんとしていると、フィーネはまくしたてる。


「私、嫌われたかと思ったのに!」

「なんでだ?」

「いつもいつもそうやって! 『遊べない』が『今は遊べない』だったり、『行けない』が『今日は行けない』だったり! お姉ちゃんのバカバカバカ!」

「そうか?」

「そうだよ! まったくもう!」


 腰に手を当てて頬をふくらませるフィーネが可愛くて、彼女は思わず笑いをこぼした。



 セレストリアはフィーネを隣に座らせ、魔法を使って温かいココアを作る。それを渡してやると、そっとフィーネの顔が綻んだ。


「……でも、良かったの?」

「何がだ?」

「帝国を裏切ったこと」

「いいも何も、君の選択だろう。……それに」


 セレストリアは一度言葉を切った。


「帝国のやり方が間違っていることなど、自明の理だろう」

「そう思ってたの?」

「ああ。日本に対する侵略行為に等しい」

「……じゃあなんで、帝国に……」

「……帝国には民がいる。私がいなくなったら、誰が民を守る?」

「……考えてなかった……」


 フィーネはうつむく。セレストリアは口を開いた。


「間違っていることを間違っていると言う。その純粋さも得難いものだぞ」

「……そう、なの?」

「ああ。だから、私は君を誇りに思う」


 フィーネは少し笑う。セレストリアは影のある笑みを浮かべた。


「……それに、さっき言った理由は、半分建前みたいなものだ」

「……建前?」

「……ああ。半分だが」

「……じゃあ、本音は?」


 フィーネはじっとセレストリアを見つめる。


「……本当は、お父様を一人にしたくなくて」

「一人に?」

「うん。……あんなに家族思いで、寂しがり屋なんだ。だから、一人くらい、家族が残ってあげなければ」

「……家族思い?」


 フィーネはキョトンとした顔をする。セレストリアは独りごちた。


(無理もないか。もう十年だ)


 曖昧に笑うセレストリアを見て、フィーネは言葉をのみ込んだ。

読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ