↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/28

第14話 知らぬふり

 セレストリアがいつも通り執務を片付けていると、スマホがけたたましく鳴り響く。着信はフィーネからだ。胸騒ぎを覚えた彼女はすぐさま電話を取った。


「お姉ちゃん」

「どうした」

「ハンターが出た」


 セレストリアは動きを止める。ナイトは今日、ずっと彼女のそばにいた。ついに現れたか、と独りごちる。


「……何を狙っていた」

「ミューズ。……連れて行かれちゃった。返してほしければ、帝国に来い、って」

「……そうか」

「だからね、みんなでそっちに行く」

「……私は敵だぞ。作戦を明かしてどうする」


 彼女は呆れたように笑い、長く息を吐いた。


「……私にも立場がある。今回ばかりは助けられない」

「分かってる」

「切るぞ」


 セレストリアはそう言ってスマホを置く。あえて通話は切らない。


「……魔法少女の襲撃か。お父様の警護を増やさなければ。……第三棟の騎士をこちらへ回すか。秘密の出入り口の警備は……いや、あそこは皇族しか知らない。問題ないだろう」


 一拍置いて、彼女は通話を切った。そのまま傍らにいたナイトに声をかける。


「ナイト。聞いていたな」

「はい。ミューズを探してまいります」

「ああ。早くしろ」

「かしこまりました」


 ふ、っと影が消える。セレストリアは机の上へ視線を落とし、小さく息をついた。


「……お菓子のストックも確認しておこう」


 彼女はそう呟いて椅子から立った。



 一時間もしないうちにナイトが戻ってきた。「どうだった」と聞けば、彼は口を開く。


「姫様。ミューズは城の地下牢につながれております」

「そうか」

「ダクトをいくつか開けておきました。潜入は容易かと」

「牢の鍵は?」

「……申し訳ございません。う(・)っ(・)か(・)り(・)壊(・)し(・)て(・)しまいました」

「お前はおっちょこちょいだな」

「以後気をつけます」


 セレストリアは思わず含み笑いをした。その時だった。ダクトがガラリと音を立てる。二人は思わずそちらへと視線を向けた。


「何だ?」

「えっと、わんわん」

「じゃ、じゃあ、にゃーん」

「マリスも早く!」

「さすがに無理があるでしょ」

「いいから!」


 続いて聞こえてきたのは魔法少女たちの声。彼女の肩から力が抜ける。


「……犬と猫と……。最後のは何だ?」

「……何かしらの動物ですね」


 セレストリアは喉の奥で笑いをこぼす。ナイトも口角を上げた。その後彼女は地下牢の場所を示した警備配置図を机に置き、わざと音を立てて立ち上がった。


「……ナイト、休憩にしよう。30分は執務室にもいたくない」


 ナイトは無言で鍵束を机へ置く。


「……姫様、申し訳ございません。城の鍵をなくしてしまいました」

「そうか。まあ、いつか見つかるだろう」

「そうですね」

「……休憩が終わったら、みっちり執務だな。仮眠室に誰かいても、気付かないくらいには」

「姫様、お菓子のストックは十分ございます」

「……誰かが食べていても、私は気付かない自信があるな」


 セレストリアとナイトは何事もなかったように部屋を出た。扉を閉めた瞬間、小さな着地音がした。だが、二人はそちらに一切視線を向けなかった。

読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。