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俺の黒小説が聖典になってた  作者: ぽんた7
Episode11 地殻炉
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別れ

 神殿の方向からリーネとティアが走ってきた。倒れているリンを見つけて、慌てて駆け寄ってくる。ジャマーがぎりぎりで復活したんだな。助かった。


「ソーマ!」


 リーネに抱き起こされる。痛い痛い痛い、けが人/猫を手荒に扱っちゃダメー!

 裂傷などは多分無い。だが打撲が酷い。全身が痛む。


「うぎゃぎゃぎゃー!」


「! ごめんなさい! 怪我をした猫の扱いなど知らず、申し訳ありません!」


 他の猫も近寄ってきた。最初に吹き飛ばされた猫もダメージはそれほどでは無かったようで皆と顔を並べている。良かった。


 ティアも追いついてきて、リーネの隣に座り込む。


「大丈夫ですか? 生きてますよね?」


 殺すなよ。


『全身痛いが、呼吸も問題無いし内臓にもおかしな感じはしない。たぶんただの打撲だ。すぐ治るさ』


「ソーマがいなくなったらどうしようかと……」


 どうやらこちらの言葉は伝わっていないっぽい。リンとは疎通できてるみたいだが。


 困った事に、炉が再起動したにも関わらず感応術は戻っていない。それどころかリンから精神が剥がれはじめていた。リンの鱗から光が失われていく。戦って傷ついたことで俺が神経系から排除されようとしているのかもしれない。


「ソーマ」


 光が一段と弱っている事に気づいたリーネがリンを抱きしめる。まだソーマがいるのは感じられるが、どんどんか細くなっている。もう言葉を伝える事も聞く事もできなくなっていた。

 俺も視界がぼやけている。リンとの接続も失われつつある。元の世界に戻るのか、それとも単に消えるのか。消えるのは恐怖ではあったが、今はそれよりもリーネとティアと別れる事のほうが辛かった。


 その時、再度感応術が繋がった。それは偶然か神のいたずらか慈悲か。ロウソクが最後に明るくなるのと同じか。途切れ途切れだが接続が復活している。


『リーネ……ティア。あり……がとう。おまえたちを……救えて良かったよ。俺の……黒歴史が……世界……救ったとか笑える……よな』


 リーネは別の涙を流している。別れ。彼は伝説の偉人ではなかったが、でもリーネにとっては本物の偉人だった。


「……笑えるなんて。そんなわけ無いじゃないですか。素晴らしいものでしたよ」涙を流しながら。


 いよいよ消えそうな鱗の光。ティアもリンにすがりつく。震える声をなんとか紡ぐ。


「行かないでください」


『そうしたい……のはやまやま……だが。リーネを……宜しくな』


 もう言葉は伝わっていないだろう。でもきっと分かってくれている。


「ありがとう……ございました、ソーマ」


 ティアの言葉を最後に、二人が目の前から消えた。意識が遠のく。もう恐怖は感じていなかった。二人を守れた。満足だよ。



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