再起動
リーネとティアの涙が認証を通過した。
ルストやカルムでも人々の感情が検出される。ミロが笑い、カルムの商人が声を上げ、辺境の人々が顔を上げる。ぎこちないがそれは間違いなく笑顔。感情が連鎖し炉はそれを認識する。
【ネットワークの正常起動を確認しました。地殻炉の仮想ヒートポンプ動作を開始します。】
コンソールが処理結果を告げる。表示された地図のアマナの場所から伸びている青い線の光が強くなる。これを別の停止した炉で繰り返せば、辺境の停止した炉も復活させる事ができるのだろう。
目の前で、アマナの炉に光が戻りはじめた。
ティアは炉の光を見上げる。温もりが広がる。あの夜に消えた光が戻ってきた。ティアの目から涙が溢れる。8歳の時以来だ。泣き方を忘れていたはずなのに。
「……温かい」
取り戻した涙。皆で歩いた旅路。バカをやった思い出。すべてを込めた一言。
「はい、暖かい光ですね。ソーマとティアのおかげです」
そう、ソーマ。灰獣の対処に行ったソーマはどうなった。
「コンソール。アマナのジャマーはどうなっていますか?」
【生物兵器忌避フィールドは再起動が完了しています。現在出力20%。】
「ただちに最大出力にしてください。最優先」
【管理者要請を受諾。出力を最大化します。予想所要時間15分。】
コンソールの返答を確認するや、リーネは立ち上がって出口を目指した。目的はティアには明らかだった。
「リーネ様、私も参ります」
「ティア、危険かもしれません。あなたはここで」
ティアはリーネの言葉を待たずに続ける。
「待てる訳無いです。ソーマには沢山貸しがあるんです。取り立てないとダメなんです」




