ルスト
数日カルムに滞在して聖典の読み聞かせを行った。少しでも感情の芽を育てなければならない。それが今後のエネルギー確保に繋がるのだから。リーネもティアも協力的だ。リンについてはよく分からないけど、それなりに子供たちの相手が楽しいらしい。ゴツい見た目のくせに中身はイエネコだよなこいつ。他の四匹は、お腹こそ見せないものの触る事自体は拒否しなかった。たた、お腹を見せて転がるリンを見て複雑そうな表情をしている。そりゃあそうだよな。
一通り市場を回って話を済ませると、今度は集落ルストに移動した。旅、というほどの距離ではない。所詮音更―帯広。むしろ何故分離してるのか、って距離だ。そして帯広の方が寂れた村になってるのがまた不思議。諸行無常ってやつだな。まあ3000年だし。
ルストでもカルムよりは少ないけれど子供たちに囲まれた。前にもモフられた子がいる。その子にリーネが声をかけた。
「あなた、前にも聖獣様を撫でていた子ですね。こんにちわ」
子供はびっくりした目で答える。
「え、巫女様覚えててくれたんだ! 嬉しいなあ。ぼく、ミロって言うんだ!」
「ミロ、ですね。また猫を触っていってくださいね。増えてますよ」
「うん! ありがとう!」
ミロを筆頭に子供たちがリンをひっくり返してわしゃわしゃし始める。
「最近さ、」
ミロがリンのおなかを撫でながらリーネにしゃべり出す。
「水や食べ物が少なくなってるんだ。でも大人たちは何も言わないんだよね。『どうして』って聞いても炉の意思なので考えてはいけない、とか言うんだ」
ティアのいた村と同じだ。
「だからちょっとお腹空いてるんだ。巫女様、そのうち食べ物なくなっちゃうのかなあ」
半分は俺のせいだ。ティアも辛そうな顔をしている。
「大丈夫ですよ!」
リーネが力強く拳を握る。
「地殻炉を生き返らせる方法が分かったと思います。必ずお腹いっぱい食べられるようになりますよ! すこしだけ我慢です!」
「そっか。うん!がんばる!」
ミロも小さな拳を握って答えた。その笑顔は俺たちの希望でもあった。




