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俺の黒小説が聖典になってた  作者: ぽんた7
外伝Ⅰ 地の底
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学会

 リーネたちの時代から遡る事約3,000年前。蒼真の時代から約200年後。

 地球では高度な技術文明が発展していた。何度か戦争や疫病による絶滅の危機があったが、なんとか切り抜けて繁栄を謳歌していた。


 しかし繁栄は上辺だけのもの。実際は資源は枯渇し、エネルギーの争奪は激化。核融合炉は実用化されていて無尽蔵のエネルギーを生み出す、と当初は思われていたが、実際は炉の製造と維持には希少な鉱物が必要で、それは掘り尽くされていて争奪戦になっていた。月や火星でもいくらかは産出するものの、コストが高すぎてペイしない。移住できるほどの埋蔵量も無かった。

 そんなエネルギー消費量の爆発から気候変動も激しくなり、それを押さえるために又エネルギー消費量が増えてしまう、という悪循環にも陥っている。


 人類の没落は秒読みに入っていた。


---


 西暦2250年5月。ニューヨーク、国際エネルギー学会会場。

 核融合ですら解決できないエネルギー問題を議論する場であるが、もう何年も議論は足踏みしていた。誰もが数々の理論や方法を考案するが決め手となるものが現れていない。人工知能もそれ自体がエネルギーを湯水のように浪費する存在であり、何十年も前に拡大の限界が来ていて新しい方法の考案にはあまり役にたってはいなかった。


 演壇に立つのは、玲奈・トーヴ理学博士。地球物理学専攻の30代女性。地熱利用に関する第一人者である。

 地熱発電自体は昔からあるものだが、適地が大抵国立公園内などで設置場所を選ぶ・莫大な投下コストの割に発電量が少ない・維持が困難・地域住民の同意が得られにくい、など数々の問題があって主力とはなり得ていない技術である、というのが一般的な認識だ。割に合わないのだ。


 玲奈は、昔から知られている熱音響効果を大規模に応用する方法を提案していた。熱音響効果とは、パイプなどの中に熱せられた物体を入れると音波を発生させるというものだ。これは逆に熱を音波で伝達するヒートポンプとしても使える事も知られている。このヒートポンプを仮想化して大規模に地中に適用して、直接マントル層の熱を汲み出そう、という途方もない方法だった。これなら適地が少ない問題が解決する。井を掘らなくてよく、マグマ溜まりを探す必要もないからだ。


「このような音波採掘施設を複数配置し、相互に収束した音波を放出・干渉させる事によりマントル層からの熱エネルギーを仮想ヒートポンプによりくみ上げる事が可能です。ポンピング動作のためには一基では非効率で、最低でも16基を循環動作させる必要があります。これによって収集できるエネルギー量は……」


 玲奈の発表は終了し、質問の時間に移る。しかし叩き付けられる声は否定的なものばかりだった。


「16基を製造するのに必要な年数が20年? その上それだけ作っても一国の電力にも満たない。遅すぎるし非効率でしょう。そんな事をするなら、その予算を核融合炉の改良に充てたほうが良いんじゃないですか?」


「あなたの論文には検証が不足しているように思えます。莫大な資金を投入する価値があるという証明が必要ではないですか?」


「原理は素晴らしいと思いますが、仮に装置を作ったとして、環境に与える影響の検討がありません。時期尚早かと」


 などなど。玲奈の発議は却下となり、会議は閉幕した。


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