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崩れゆく世界で渇望している  作者: Altsaber
第一章 なおも朦朧としている世界
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3 悪夢とは?

 食事が終わったあと、私は“テント”と呼ばれる丸い白いドーム状のものの中へ連れて行かれた。彼らの話では、今日は任務で疲れていて、もう夜も遅いから、私のことは明日改めて話し合うらしい。今日は予備のテントで休め、ということだった。


 ここで眠るようにと言われた。意味はよく分からないが、とにかく横になって動かなければいいらしい。


 私はそれまでの記憶を何一つ持っていない。なぜここにいるのかも分からないし、これから何をすればいいのかも分からない。今の私はただ、彼らの指示に従って動いているだけだ。


 だが、一つだけどうしても腑に落ちないことがある。私は彼らの話す言葉を覚えていない。彼らが発するどの音節の意味も理解できないはずなのに、なぜか彼らが伝えようとしていることは分かる。そして私の意図も、言葉に変われば彼らに通じている。


 何も分からない私から見ても、それはあまりにも不自然だった。


「これから、私は何をすればいい?」


 当然、誰も答えてはくれない。それでもその問いは、頭の中から離れなかった。


 やがて思考は薄れ、意識はゆっくりと沈んでいく。


「グゥ……」


 朦朧とする中で、またあの危険な唸り声が聞こえた気がした。


 体を動かそうとするが、まるで鉛を流し込まれたように重い。瞼を開けることすら、今の私には途方もなく難しい。


 呼吸が次第に荒くなり、窒息するような感覚が広がる。


「グゥ……グゥ……」


 意識すればするほど、その唸り声は近づいてくる。まるで獲物を弄ぶかのように、手を出さずに距離を詰める。恐怖という異様な感覚が、私を包み込んだ。


 どれほどの時間が経ったのか分からない。ようやく体の自由を取り戻し、慌てて起き上がって周囲を見回す。しかしそこには何の生き物もいない。唸り声も、まるで最初から存在しなかったかのように消えていた。


 今のは何だったのか分からない。今が安全なのかも分からない。ただ一つ分かったのは、自分が確かに“怖い”と感じていたことだ。その異様な感覚が、もう中にいるのを嫌がらせた。


 私はテントを出て、目的もなく歩き始めた。


 周囲は森に囲まれ、地面もでこぼこしている。それでも月明かりを頼りに、ゆっくりと進んでいく。


「グドゥ……グドゥ……」


 突然、体と同じくらい大きな尻尾を持つ生き物が、私の肩によじ登ってきた。


「私があの人たちと違って、体から甘い匂いがするってこと?」


「グドゥ……」


 謎の生き物は地面に跳び降り、私に付いて来いと示す。


「ちょっと待って。」


 それほど速くはないが、月明かりだけで歩くのは少し難しい。


 幸い、私の声を聞いたのか、その生き物は速度を落とし、私が追いつけるようにしてくれた。


「グドゥ。」


 やがて一つのテントの前で止まり、中に私とよく似た匂いの者がいると示した。


 私はテントに近づき、中を確かめようとする。


「誰、外にいるの?」


 中から声がした。その瞬間、さっきの謎の生き物は突然走り去る。そして内側からテントが開き、長い黒髪を下ろした人物が現れた。


「なんだ、レイアか。どうしたの、悪い夢でも見た?」


 蓮が、柔らかな口調でそう問いかけた。


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