第88話 囲いの魔女①
今回少し短めです。
また、この話の終盤から少し重めの話が始まります。
俺達はとりあえずディアンヌにこれから囲いの魔女がこの島に訪れるであろうことを伝えに向かった。
俺がその事を伝えるとディアンヌは顎に手を当ててひとしきり唸った後、1つの答えを出した。
「分かりました。ではマスター。あなたは一刻も早く島に戻ってください。その際、メリーとエラスとシャルルとリーフィア、そして私以外の人達を連れて帰ってください」
「はーい」
「ダンジョンマスター?」
「はいっ!」
ま、まさかこんな所にヴィーナスが居るとは・・・! そういやヴィーナスはどうしたらいいんだろうか。置いてけたらいいのになぁ。
「勿論ヴィーナスも連れて帰ってください。シャルルがいなければマスターを止められるのはヴィーナスだけなのですから」
やはり俺はヴィーナスの束縛から逃れることは出来ないようだ。
「まぁ、対策方法は後でヤミに伝えておきますんで、そちらから聞いておいてください。では、私も少し準備に動きますね」
てことで俺達はその後すぐに船に乗り込んで帰ることになった。その際メリーさんが少し不安げな顔をしていたが、「大丈夫」って繰り返してたら仕方なしに頷いてくれた。
まぁ、すぐ戻ることになるんだろうから心配しなくてもいいのにね。
「ディアンヌから預かった作戦。ディアンヌが囲いの魔女を島に転移魔法で連れていく。皆で取り押さえる。以上」
ヤミの説明はなんとも簡潔だった。その後ヴィーナスが色々付け足してくれたおかげで何とか把握することは出来たのだが。
まず、クラフ島に残ったメンツの理由。
メリーさんはクラフ島に居ないと囲いの魔女に感知されないため島に残る。
ディアンヌはさっき言った通り転移魔法でこちらに囲いの魔女を送り付けるため。
シャルル、エラスはディアンヌが外した時の為の戦闘要員。リーフィアは戦闘のせいで荒れた大地の応急処置をしてもらう為だ。
そして、島に送った後どうやって束縛するかなのだが、これは俺に任せるらしい。まぁ俺にも一つだけ案があるからこれは大丈夫だろう。
その後、ユキやスーちゃんと戯れながら俺達は船に揺られること約三時間。俺達は自分の島に到着した。
「あっ! ハル様! おかえりなさい!」
「おかえりなのですー!」
俺の帰還に真っ先に気づいたのは妖精さん達とリタだった。元気そうで良かった。何せミスラとシャロに料理のことを全部任せて出てきてしまったからな。
俺がせっかくなので久々に島を散歩していると、どうやらディースに見つかってしまったようだ。
「あっ! ハルさんおかえりなさい!」
そんな風に挨拶をするディースの口からはヨダレがポトポトと落ちている。
「ハルさんがいないからご飯の種類が単調なんですよー! まぁ美味しいんですけどね!」
そんなことをグチグチと俺に話しかけてくるディース。そんなディースの後ろにミスラとシャロが額に青筋を立てながら睨んでいるが俺には関係ない。
「ほう、ディースさん。そこまで言うのなら今日の飯は要らねぇよなぁ?」
「そうですね。今日はディースさんのリクエストのオムレツなのですが要りませんね」
「うわぁぁぁ! 待ってくださぁい! ほんのっ、ほんの出来心だったんですぅ!」
シャロから事情を聞くうちに分かってきたディースの適当な愚痴の理由。それは自分のリクエストした料理が中々出てこないからだったそうだ。
シャロもミスラもメニューを考えるのは苦手だった。しかし、何とか島のみんなに俺が居る時と同じように食事を楽しんでもらいたい。
そうだ! みんなからアンケートをとってそれをランダムに選んでいけばいいじゃないか! という風になったらしい。
そこで島にいる全てのご飯を食べない生物までにもアンケート用紙を回し、食べれそうにないものを除き集計をとったらしい。
そのため、ディースのリクエストした料理が選ばれることはほとんど無く、今日が初めてだったのだそう。
そんなしょうもないことにディースは拗ねてしまって、ミスラやシャロのご飯へのケチを俺に話したのだそう。
・・・なんとも情けない。情けないよディース。やってる事が七勇神のくせにちゃっちいよ。
「はぁ、ディース。この2人はみんなのためを思ってご飯を作ってくれたんだよ? 分かってる?」
「はい。分かってます。ごめんなさい」
「なら、分かるね?」
ディースは涙目のまま頷き、ミスラとシャロの方を向いた。そしておもむろに膝をつき、土下座の構えを整える。
そして、思いっきり地面に額を打ち付けこう言い放った。
「オムレツ食べさせてくださいっ!!」
「「「違ぇだろ!」」」
俺達3人は仲良くディースの頭を踏みつけた。
「ううぅ。痛いです・・・」
「正直やりすぎたと思ってる。ごめんな」
ディースが後頭部を摩りながら頬を膨らませる。
「でも、これでオムレツ食べれるだろ?」
「そうですけどー! でもまぁハルさんのご飯が恋しかったのは本当ですよ?」
ほう、まだミスラとシャロを相手にする気なのか。俺はお前のこと庇ってやれんぞ?
「まぁ、それは確かに分からないことではないからなぁ」
「そうですね。私も寂しかったです」
あらまぁ。ミスラやシャロからのお叱りが入ると思っていたらまさかの同調ですか?
・・・はっ! そうやって俺をおだてあげて夕食のグレードアップを狙っているなっ!
「なんでしょうかねぇ? やっぱりハルさんの味付けが安心するというかなんというか」
「そうなんだよなぁ。分量は見よう見まねでやってるんだが何か違ぇんだよなぁ」
・・・少し照れる。でも、あれかな? ディース達にとって地球の調味料に触れたのが俺の料理が初だったからおふくろの味的なのが働いてるのかもしれない。
もしかしたらまたマナが悪さしてるのかもしれないけどね。
ドォォオオン!
そんなこんなでディース達と談笑していると島の東側、俺達が今日船で上陸した場所から爆音が上がった。そして、なにやら煙がたち始める。
・・・えっ? まさかもう来たの?
一応久しぶりに島の警戒眼発動するか。
「うおぉっ! 目がァ! 目がァ!」
俺が警戒眼を発動するといきなり右目がグリングリンと色んな方向を俺の意思を無視して暴れ出す。正直酔いそう。
ピー! 敵対者の侵入を確認。危険度星二つ。島民、1人が危篤。緊急テレポートを実施します。
そんな機械音が流れた瞬間、俺の周りを7本の光の柱が取り囲む。そして徐々に近づいてきたと思えば俺はいつの間にか煙の発生地に飛んでいた。
そして、目の当たりにしたのはアイネを庇い、魔法を背中に受けるリタの姿。そして、そんなリタ目掛けて休みなく魔法を打ち続ける妙に艶かしい女の姿。
そんな状況にも関わらず俺は動けずにいた。怖かったのではない。状況が飲み込めなかった。1種のパニックに陥っていたのかもしれない。
とりあえず、俺は数十秒もの間リタが魔法を生身の体で受けているのをただ傍観していた。
俺が意識を取り戻したのはリタが最後の力を振り絞ってアイネをこちらに放り投げて来たためだった。アイネが顔をくしゃくしゃにしながら泣いているのを見て、ようやく俺は意識を取り戻した。
アイネとリタにすぐさま隠滅をかけ、2人を操糸で手繰り寄せた。
しかし、その時既にリタは事切れていた。
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えーっとですね。まぁ、リタの物語を少し小出しにした時点で皆さん何となく気づいていたのではないでしょうか。
なぜこんなに分からやすいフラグを作ったかと言いますと、このフラグがないとこの時点ではディアンヌが敵のように映ってしまってたんですよね。
まぁ、こんな展開にした自分が悪いんですがどう書いてみてもディアンヌかハルが非道っぽく映ってしまうのです。
それを出来るだけ抑えようとした結果がこれです。ほんと話の構築力と語彙力がなくてすみません。




