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第87話 リタの過去①

前回でメリーさんのお話終わらしておけば良かったですね。ごめんなさい。

「な、ななな、なんで知ってるのよっ!」


メリーさんはシャルルがホントに自分の考えを言い当てたことに心底驚いているようだ。


「まぁ、あなたの考えているようなことにはまずなりませんがね。

そして、あなたが今日逃げ出そうとしていたことから考えると囲いの魔女が現れるのは確定なんでしょうね」


ふむふむ、なんかちょっぴり聞いたことがあるな。メリーさんと囲いの魔女がどーのこーのってのを。確かマーシーでも追い出せるみたいなこと言ってたよね。そんな囲いの魔女の為に逃げる必要あるのかな?


「えぇ、メリーが逃げるのは別に自分可愛さではありません。囲いの魔女が持つ1つの能力で私たちに被害が出るとでも思ってるんでしょうね」


ふむふむ、囲いの魔女は戦力以外にも何か凄い特技があるみたいだな。


「それが本当なの? メリーさん?」


俺がメリーさんにそう優しく問いかけると、少しの間を置いてからこくんとメリーさんが頷き話してくれた。


「囲いの魔女はこの島に連れてきちゃ駄目なんだ。今、頑張って復興しようとしてる獣人達の努力が無駄になっちゃう」


「それはどうして?」


「囲いの魔女は土地の生き死にを管理出来る能力があるんだ・・・」


げっ。マジかよ。俺の天敵じゃねぇか!


「その言い方には語弊がありますね。囲いの魔女は半径5km以内の土地の魔力を全て自分の魔力として使用することができ、また自分の内包する魔力を土地に分け与えることが出来ると言うだけです。

そのため、囲いの魔女が戦った後はその土地か死に、囲いの魔女が気に入った土地は豊かになる。そこからそのような迷信が生まれたのですね」


へー。なるほど。・・・えっ!? 土地を蘇らせる程の魔力持ってんの? すげぇじゃん!


「勿論他の土地から奪ってきた魔力ですけどね」


なーんだ。そこまで凄いことないじゃないか。


「いや、かなり凄い能力なんですけどね。ご主人様にとってはそこまでのことではありませんでしたか」


だって土地にマナを染み込ませればいいだけなんだし。栄養剤をまけるかまけないかってだけでしょ?


「そ、それだけじゃない! 囲いの魔女は呪いの炎を使う! その炎にさらされた土地は永遠の不毛を約束されるんだ!」


ふーむ。それは実に厄介だ。うちの島にも作物を育てている土地がある。そこを焼かれてしまっては食料確保のあてがなくなり皆を養っていけなくなる。


「まぁ、それも聖水ぶっかければ解呪出来ますしね。あぁ、それとここから出ていっても囲いの魔女はいずれここに辿り着きますよ。

ですが面倒ですね。この土地を枯らされると修復にかなりの時間がかかりますから」


まぁ、被害とかそんなことは置いといて。とりあえずメリーさんは俺達の為に出ていこうとしてたんだね。全く気づかなかったなぁ。


「シャルル、どうにかならないの?」


「いえ、どうにかするのは簡単ですよ? 被害が出ないようにするのは」


えっ? さっき厄介だとか言ってなかったっけ?


「囲いの魔女というのは土地から魔力を吸い取れなければただの優秀な魔法使いです。

ですのでご主人様の本体に囲いの魔女を連れ込むことが出来ればどうとでもなります」


シャルルはその後「その後が面倒くさいんですけどね」と呟いた。


うーん。ならメリーさんを匿っておいた方がいいんだろうなぁ。メリーさんも元々囲いの魔女の元から逃げてきた身なんだからそんなに良い環境でもないのだろう。


「メリーさん。帰りたい?」


「・・・嫌よ。帰りたくなんかない。

でも、私が囲いの魔女のもとに戻れば全て丸く収まるの!」


はぁ、自己犠牲の塊か? メリーさんは。別にこっちにとってはなんともないのにね。てか、元々こっちはそれも踏まえた上で島に置いておくって決めたのにね。


「ふーん。じゃあ悩む必要ないんじゃない? 居ていいよ?」


「でも・・・」


ムッ、めんどくさいなぁ。居ていいって言ってるんだから居たらいいのに。そんな遠慮してたっていいことないよ?

そもそも、帰りたくないのに自分から帰るなんて、馬鹿げてるよね。まぁ、帰らなかったら罰が重くなるってんなら分かるけどさ。


「まぁまぁ。大丈夫だって! 土地が枯れても結局何とか出来るんだし!」


「では、何とかするのは全てご主人様の負担ということでお願いしますね」


おうふ。新しい仕事が増えてしまった。


「ホントに居ていいの?」


メリーさんが少し俯いたまま尋ねる。


「うん、いいよ」


さっきから良いって言ってるじゃん!っていう本音を隠しながら出来るだけ優しく返答する。

そんな俺の返事を聞いてメリーさんは頭をぺこりと下げた。


「助けてください。お願いします」


「はーい、任された! 泥舟にとった気持ちでドーン!と構えていなさい!」


「まぁ、ご主人様だけなら確実に泥舟ですね」


俺のジョークを交えた返しを真に受けるシャルル。結構酷いと思うんだ。

そんなやり取りを見てクスクス笑うメリーさん。


さてと。まぁ、頑張りますか!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「んー? これで大丈夫なんでしょうか? 前よりは随分進歩したと思いますが」


「おいしー! リタの料理おいしー!」


私は今、この島の主であり、私の命の恩人と言っても過言ではないハル様に振る舞うための料理の練習をしています。

それに付き合ってくれてるのは小さな妖精さん達です。この子達は素直で美味しくない時はちゃんと不味いと言ってくれるので信用できます!

最近になってようやく妖精さん達も納得する料理が作れるようになりました!


・・・少し過去の私の話をするとしましょう。


まず初めに私は地球という星からこの世界に飛ばされてきました。私は当時高校3年生でした。

そんな生活の中、道にぽっかりと空いた穴に落ちてこの世界に来ました。


いわゆる異世界転移ってやつです。

気づいた時には、デブっちょで豪華な装飾品を付けた王様ととてつもなく美人でこれまたギラギラした装飾品を身につけた女の人が中心の2つの大きな椅子に座っていて、それを取り囲むように沢山の貴族がいるとっても大きな部屋に私以外の転生者であろう人3人とへたりこんでいました。


私たち4人が呆然としていると1番近くに居たとんがりボウシを被った女の人が口を開きました。


「あなた達に来てもらったのは他でもありません。この世界に危機が迫っているためです。どうかお力を貸して下さい」


との事でした。私達はますます訳が分からなくなっていました。その女の人は次々にこの世界の事情とやらを話していましたが、ちっとも頭に入ってきませんでした。

なにやら魔界ってところを制圧しなきゃならないみたいです。


ですが、2人だけそうではない人物がいました。その人は姉妹らしく真島真奈美、真島瞳というそうです。姉の方は大学生、妹の方は私と同じ高校生でしょうか?

その人たちはキッととんがりボウシの女の人を睨みつけ、こう言いました。


「私達はさっきまでお墓参りの途中だったんです。あなた達のことなど知ったことではないので早く返してください」


「そうだよ! なんで家族の死を悼む日にこんな目に会わなきゃならないの!」


どうやらこの子達は私なんかよりももっと辛く、混乱しそうな状況に置かれていたようです。なのに、こんなにしっかりとしていて。凄いです。

まさか断られると思っていなかったのか貴族達がザワザワし始めました。でも、普通断られると思いますよ?


そんな中、ついに王様が口を開きました。


「ふむ、お前達の気持ちも分からぬことではない。報酬ははずもう。これで」


「そんな話をしているんじゃないでしょう!!」


あっ、真奈美さんが王様の話に割り込んでしまいました。大丈夫ですかね? 貴族達もワーワー騒いでいます。


「知らないわよ! あんた達のルールなんか! 私達は勝手にあんた達に連れてこられただけなの! 私たちの国には身分の差なんてなかった。私たちは私たちのルールでやらせて貰うわ」


ここでようやくもう1人の転移者の男の人が口を開きました。多分、サラリーマンの人だろうと思います。


「お、お嬢ちゃん? 豪に入れば郷に従えっていう言葉があってね」


「はぁ!? そんな諺ごときがなんなんですか? なんの根拠もない諺をいま持ち出さないでくれませんか!?」


こ、怖いです。でも、この姉妹も熱くなりすぎている気がします。何とか止めないと。

ここで私はようやく口を開くことが出来ました。


「あ、あの、それで私達は帰れるんでしょうか?」


私がそう質問するととんがりボウシの女の人が答えました。


「も、もしかしたら魔界にならあるかも知れません。確実ではないですが。ですが、私たちは今返すことは出来ません。何せ神託ですので」


つまり、私達は直ぐに帰ることは出来ないんですね。というか、帰れるのかも分からないと。

そして、帰るには結局魔界に行かないといけないんですね。


その後、姉妹は何かと抗議していましたがとりあえず能力の確認だけすることになりました。


まずはサラリーマンの人です。


名前:山田 三郎

種族:ヒューマン

スキル:勇者の証、守護の誓、挑発、剣聖、


次にお姉さんです。


名前:真島真奈美

種族:ヒューマン

スキル:勇者の証、魔術構築、解析&構築(スキルチェック)、精霊の加護


次は妹さんです


名前:真島瞳

種族:ヒューマン

スキル:勇者の証、隠滅、アイテムボックス、精霊の加護


最後に私の番が回って来ました。皆さんいいスキルだったようで貴族の人達は結果が出る度に騒いでいました。私はどうでしょうか?


名前:青島梨沙

種族:ヒューマン

スキル:勇者の証、不死鳥の加護、灰色領域(グレーゾーン)


・・・よく分かりませんね。

私が首を傾げているとほかの人たちよりも大きな歓声が部屋の中に響き渡りました。どうやらいいスキルみたいだったようです。


一通り落ち着いたところで王様が口を開きました。


「ふむ、皆素晴らしいスキルを持っておるようじゃの。これからは皆、世界の為に力を合わせて戦ってくれ」


王様がそう言うと私達は引きずり出されるようにしてその部屋を退室しました。そのまま私達が使用するであろう部屋へと連れていかれました。


正直、この辺りから私もなんでこんなことしなくちゃなんないんだ? と思い始めました。魔界のこともよく分かりませんでしたし。あんまり感じが良いわけでもありませんでしたしね。


「ねぇ、あなたはどう思う? 青島さん」


部屋は男女別で分けられていて、私はあの勇敢な姉妹と同じ部屋でした。そんな中、真奈美さんの方が声をかけてくれました。


「そうですね・・・ よく分かりません。どうすれば良いのかも」


私は正直に打ち明けました。すると、お姉さんは笑って「私もよ」と言いました。それからはお二人と他愛もない会話を楽しんでそのまま眠りにつきました。


次の日からはなにやらスキルや魔法の特訓が始まりました。私とその姉妹、そしてサラリーマン風のおじさんは元の世界へ帰る為、必死で頑張りました。

それに結構楽しかったんです。この生活が。どんどん自分のものになって行くスキル。沢山の種類の本やゲームでしか見た事のないような魔法。


そんなものに囲まれていた私はある種の病気にかかっていたのかも知れません。自分ならなんだって出来る。みたいな感じです。

今思えばサラリーマンの人もそういう雰囲気だったと思います。ですが、あの姉妹は違いました。彼女達は私たち以外の前では全く力を発揮しませんでした。

真奈美さんはスキルの知識を持ってして私に魔法の教育を施してくれましたし、瞳さんは一緒に訓練してる時に気を使って水やタオルを施してくれました。


でも、彼女達は一向にそのスキルを私達以外の前では使おうとしませんでした。そう、彼女達はスキルの使い方が分からないと嘘をつき続けていたのです。


そして、この時私は軽く考えていました。自分がおかれた状況に対して。




ここまでご覧いただきありがとうございます!

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いつか山田三郎さん視点の物語も書いてみたいですねw

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