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第83話 エルフについて

今回、説明回です。一応読み飛ばして頂いても問題ない作りにはしていますが、今後の流れでは必要になる知識だと思いますのでサラッと流す程度に読んで頂ければ幸いです。

ですが、最後の方に次に繋がる描写があるのでそこだけはご確認ください。


結局俺はあの後・・・まぁ、朝っぱらから色々あったんだよ。察してくれ。深酒の後にあれはきつい。まぁ凄かったんだけどさ。


「はぁぁっ! ご主人様可愛かったです!」


「えぇ! 私も同感だわ! あなたとはいいお友達になれそうね。さっきはごめんなさい」


「いえいえ! こちらこそ。これからはこの力をぶつけ合うのではなくご主人様のために行使していきましょう」


そして、シャルルとヴィーナスの間に訳の分からない友情が生まれた。シャルルはもうサラシを巻いていないので胸の部分の服がぴっちぴちだ。

ちなみに咲はというと地面に寝っ転がって「あぁぁぁぁぁぁっ!!」とか叫びながら顔を抑えている。わずかに見える隙間からは真っ赤に火照った顔が覗いている。


あっ、ちなみに言い忘れてたけど咲は幼女、つまり俺と同じぐらいの背丈に童顔。その癖胸もそれなりにある。でも、露出は激しくなくてなんか上品なお嬢さんって感じ。

でも、見た目に似合わぬ程の色気を漂わせてるんだよなぁ。行動で全部台無しだけど。


「台無しとはなんですの!? 台無しとは!!」


どうやら台無しという言葉が咲の琴線に触れたようだ。でも、台無しなもんは台無しなんだ。納得してもらいたい。


「はいはい、そんな下品な話は置いておいて今日はマスターに色々としてもらわなければならないことがあるんですよ。ですから先にそちらをしてください」


ん? やらなきゃならないこと? 炊き出しぐらいじゃないの?


「いいえ、それだけではありません。まずはダンジョンに出現する魔物の変更です。

まぁ、これは完全にマーシーのミスなんですが、いくらなんでも5層でゴールデンギラファはやりすぎですね。あんなのAランクの冒険者パーティーでも手こずる魔物ですよ?

あとブルーベアですね。あれはドラゴンとタメを張るヤマタノオロチの天敵とも言われるほどの化け物なので撤去ですね」


あぁ、確かに強さとかわかんないから適当に配置してたな。それを直さなきゃならないのか。

てか、ブルーベアって名前がショボイから弱いと思ってたけどドラゴンより強いんだね。熊は偉大だったのだ。


「そして最後にこの淫魔の処理ですね。こんなの絶対クリア出来ませんよ?」


ディアンヌがため息をつきながら頭を抱える。


「あぁ、それなら大丈夫よ。私、分身も数は少ないながらも使えるからその分身をダンジョンボスにしたらいいわ。私の分身は拙いからいい感じに弱体化されると思うわよ。それで私はダンジョンマスターと一緒に暮らすんです!」


「それは良いですね! 一緒にご主人様を愛でましょう!」


なんかシャルルとヴィーナスの2人が固い握手を交わしている。なんか身の危険を感じるんですけど気の所為でしょうか?


「んーー? まぁ、それなら解決で良いですね。では、マスターにはまず魔物の調整を済ませて頂きましょう。ヴィーナスさん、ダンジョンボスとなる分身をお願いします」


「はい、分かりました」


ヴィーナスがそう言うと彼女の体から1匹の蝙蝠が飛び出てきて、ヴィーナスそっくりに変化した。


「おぉ! 確かにこれは実力的にもピッタリですね! さぁマスター、ダンジョンの整備をお願いします」


俺は言われるがままダンジョンの整備を行う。


ヴィーナスの分身をダンジョンボスに登録し、5~6層のゴールデンギラファと迷宮に設置したブルーベアを排除した。


「はい、これでOKですね。ほぼ完璧と言っていい仕上がりです。さて次はマスターには知っておいて貰いたい知識の授業を行います」


知っておいて欲しい知識? 確かに俺はこの世界の常識を全く知らないけど今まで必要なかったよね? どうしたんだろう。


「まぁ、あれです。今から色々民族としてのいざこざが起こりますし、アイネのこともあります。ご主人様もエルフという種族について知っておいた方が良いでしょう」


あー、確かにそれは知ってかなきゃ行けない気がする。俺、エルフについて何も知らないのに不信感だけが募ってる危険な状態だからね。一方向だけからの情報だと絶対に誤解や誤りがあるからね。


「確かにそうだね。じゃあお願い」


「まずはエルフという種族の特徴から説明していきましょうか。エルフは別名長耳族とも言われるようにとんがった長い耳が特徴の種族です。

また、ドワーフに継ぐ長命な種族でもあります。そうですね。平均8000年位は余裕で生きるでしょうね。

また、エルフにはホワイトエルフ、ダークエルフ、イエローエルフに別れます。アイネはイエローエルフに属しますね」


うん、それは知ってる。なんかカンネル王国のエルフ達が言ってたからね。


「イエローエルフとは基本的にダークエルフとホワイトエルフが交わった時、たまに産まれてくる種族ですね。


このエルフは他のエルフよりも身体能力が軒並み低い代わりに妖精との親和性が高く、また考え方も全く異なります。そのためイエローエルフは迫害を受けることが多々あり、ほかの種族もそれを黙認している状態ですね。


さらにアイネの場合は特殊で慈愛の神ディースの加護を得てしまいました。その為親もアイネを庇いきれずにゲートに押し込んでしまったのでしょうね」


な、なんという不運。可哀想に。でも、うちの島にきたからには絶対幸せになってもらおう!


「次はホワイトエルフですね。ホワイトエルフは魔術に優れた種族で白い肌が特徴的です。プライドが高く、精霊のことをある種見下した態度を取っています。

しかし、ダークエルフよりは精霊との親和性が高いため精霊の恐ろしさを本能で感じ取っているためそのような心を表に出すことはほとんどありません。その代わりにイエローエルフの迫害に力を入れている傾向があります」


えーっと、つまりは精霊怖いからそのお友達いじめちゃえ! ってこと? それ、精霊怒らないの?


「精霊は色々な規則で縛られているため、私情で他人を害することは不可能に近いですからね。仕方ありません」


なるほどね。だからイエローエルフを虐めてると。


「最後にダークエルフですね。こちらは運動能力が優れた種族です。魔術もある程度は使えますがヒューマンにも劣る程度ですね。

このエルフは精霊との親和性がエルフの中ではダントツに低く、精霊の気配を感じ取れないこともしばしばあります。

なので、基本エルフの考える精霊はエルフのなり損ないという考え方を全面に押し出した行動を取ります。また頭が良くないため、なんの考えもなしに突っ走ることも多いですね」


・・・つまりは救えない奴ってわけだな。


「まぁここまではホワイトエルフとダークエルフの短所を説明してきましたが、この2つの種族はこの世界の文化を形作る際の大きな原動力として活躍してきた過去もあるため一概に悪い種族だとは言い切ることは出来ません。

特にホワイトエルフは魔術の分野で、ダークエルフは労働力として発展を支えてきました。

ただ、徹底的な階級制度を設けたがり、それを遵守させようとする点が大きな短所となり現状を生み出しています」


な、なるほどー。能力的には超優秀だけど性格に難ありっていう種族がエルフなのか。


「まぁ、イエローエルフとダークエルフホワイトエルフの性格の違いはその役目の違いからですかね。

ダークエルフとホワイトエルフは創造、そして発展のためにうまれた種族で、イエローエルフはエルフに襲いかかってくる危機の回避の為です。その為イエローエルフは温厚かつ保守的、そしてなによりも几帳面で敏感な性格をしています。

対してダークエルフとホワイトエルフはプライドが高く、実力的主義的な傾向が強く出ています。

なのでマスターもアイネが思春期に突入したら優しくしてあげてくださいね」


む、むう。なんか思わぬ所で新たな悩みを発見してしまった。どうしよう。アイネにお前の作った飯なんて食いたくないって言われたら。絶対に立ち直れなさそう。


「まっ、説明としてはこんなところですかね。なにか質問はありませんか? マスター」


うーん、質問。質問かぁ。あっ、そうだ。種族としての友好関係を聞いておこう。


「エルフってどんな種族と仲がいいの?」


「そうですね・・・。イエローエルフ以外はヒューマンとは仲が良いですね。共に文化を形成する際の原動力となった種族達ですからね。


また、種族や宗教。住んでる土地によって細かく身分を定め国を統治する分割統治というヒューマン独特の統治方法がエルフの考え方と表面上は似ている点も仲が良くなる要因ですね。


そして、先程も言ったようにイエローエルフは精霊と非常に密接な関係を持っていますね。


そして、ドワーフに関してはあまり良い感情は持っていないらしいです。鍛治ばっかりしてる引きこもりという印象が強いらしいですからね。

ですが、イエローエルフは比較的ドワーフと相性が良い種族です。


あとは獣人ですか。まぁこれは言わずもがなとても険悪な関係ですね。種族という大きな括りでの戦争はあれで3回目ですから。

まぁ他にも色々種族はありますが、ご主人様が知っている種族はここら辺ですかね」


な、なるほど。まぁ、エルフ達はプライドが高いってことなんだな。理解した。とにかく友人にひとりいたらお腹いっぱいって感じのタイプなんだな。


「っと。そんなエルフに対して少し不利益な行動を取った瞬間これですよ」


ディアンヌが俺の目の前に1枚の羊皮紙を突き出してくる。俺はそれを受け取り恐る恐る読み上げる。


この度の貴国の行動は我が国の種族の生存を脅かすものであり、到底許されることではない。

また、貴国の法はヒューマン=エルフ協定に違反するものであり、即時撤廃を要求する。

そして、今まで我が国の種族に与えてきた損害の2倍の額の賠償金を支払うよう要求する。

これらの要求が飲めない場合は然るべき対処を取らせて頂く。


・・・えぇ。めんどくさいことになってない? 然るべき対処って戦争ってこと? それとも経済制裁からスタートするの? 別に俺はエルフを滅ぼしたいわけじゃなくて、顔も見たくねぇよって感じだからそんなの嫌なんだけど。


「まぁ、こんなの受け入れる訳にはいかないので当然無視します。

そして、この国からの経済制裁への予防のために少しずつカンネル王国へ卸す素材の質を上げていきます。それでもよろしいでしょうか?」


「えっ? うん。別にいいけど」


「ありがとうございます」


「てか、別に俺にいちいち許可取らなくていいよ? ディアンヌのことは信用してるし、そこら辺のことは全部任せてるからさ」


だって、人に全て任せっぱなしでやることにだけ一々口を出すってなんか嫌じゃん? まぁ、たまにはするかもだけど。


「はい、分かりました。内政のことは私たちにお任せ下さい」


その後、俺達がダンジョンから出ると外はもう夕陽で赤く染まっていた。

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