第80話 酒は飲んでも呑まれるな②
お酒をダンジョンの秘密部屋で飲んでたらなんかちょっと寒くなってきた。ちょっとアイスドラゴンの冷気が強すぎるのかな?
ならお鍋でも食べるか。俺焼きそばを試食ぐらいしか食べてないからお腹は減ってるんだよね。
んー、いい具材は・・・ おっ、マナ変換に蟹があるじゃん。解体されてるからわかんないけどこれ見た目的にズワイガニかな?
よし! カニミソもあるしカニ鍋でも食べよう。
まずは昆布と水を土鍋に入れて奇術の世界を使い2時間ほど経過させて昆布だしを作る。
次に蟹の1番下の身がほとんどない足を入れて火を入れる。こいつ身が少ないくせに食べにくいから嫌いだ。お前は大人しく出汁にでもなっていろ!
次に白菜と椎茸と豆腐を鍋の中にぶち込む。俺は鍋に入ってるマ〇ニーとかしらたきとかは嫌いなので入れない。だってあいつポン酢の中に入れたらすっぱいし、ゴマだれにも合わないんだぞ?
おっ、白菜とかもだいぶ煮立ってきたな。さてと、次は主役のカニだ! たーっぷり入れ・・・おっと! 危ねぇ! 切れ込み入れるの忘れてた! あっ、入ってるわ。やっぱマナ変換凄いなー。
その後、土鍋に蓋をしてグツグツ煮込む。俺はまだ全然飲んでないし全然酔ってないけどスーちゃんはかなり飲んでたからもう酔って寝ちゃってる。リスは少し頬が赤く染ってるけどまだまだ平気な顔して飲んでるな。
まだ日本酒も5本ぐらい残ってるしスーちゃんが最初っから飛ばしまくってただけらしい。
「んー、そろそろ良いかな?」
俺が土鍋の蓋をパカッと開けると湯気がムワッと吹き出た後に真っ赤に染まったカニ達が姿を表した。
「リリスー、鍋できたけど食べる?」
「あっ、はい! いただきます!」
どうやら1人で鍋をつつくという寂しいイベントからは逃れられたようだ。
「いただきます!」
リリスはあっつあつの蟹を涼し気な顔で引っつかみバリバリと綺麗に殻を剥いていく。やばい、ハサミも使わずに蟹の殻を剥くなんてリリスってバケモノかもしれん。
「んー! 美味しいです!」
蟹を口いっぱいにほうばってリリスは幸せそうにしている。うんうん、カニは美味しいもんね。
さて、俺も食べるか。と言っても俺はまだやることがある。
そう、胴体の身を解すという仕事だ。これはこのまま食べるのも美味しいけどのちのち化けるんだよね! それに俺の手はアッツアツの蟹が剥けるほど強くはない。
俺はあの蟹をほじる道具を使って蟹の胴体をほじほじしてほぐし身をいっぱい作っていく。
あー、蟹のハサミの部分の切れ込みの入れ方もブリンって身が剥ける入れ方じゃないな。これもほぐし身にしてしまおう。
俺がほぐし身を作り終わった時、自分の皿を見るとそこには綺麗に殻の向けた蟹が置いてあった。
「あっ、主様がほぐし身を作っていたので私が殻を剥いておきました!」
おおー! これはありがたい!
「ありがと!」
「主様の役に立つことはペットの役目ですから!」
リリスが嬉しそうに胸をはる。リリスに犬の尻尾がついてたらブンブン振りまくってそうだな。
俺はそんなリリスを見ながら剥いてくれた身を頬張る。
「うん! 美味しい!」
身がしっかりしてて旨味もぎゅっと詰まってる。やっぱ蟹ってうめぇなぁ。
あっ、先に出汁飲んだ方が良かったな。ミスった。綺麗なむき身に浮かれすぎていきなりメインに行ってしまった。
そんな反省をしながら俺はカニミソを乗っけた白菜を食べる。お鍋の白菜ってほんと美味しいよね。今回のお鍋は俺の好きなものしか入っていないシンプルなお鍋だ。美味いに決まってる。
その後もパクパクと蟹を平らげていき、ついにお鍋はスープを残して全て食べ切ってしまった。
ふっふっふー、カニ鍋の本番はここからなのだ! さっき作ったほぐし身と保管庫にしまっていた炊けたご飯をぶち込んで少しだけお米をほぐす。そしてそこに溶き卵の流し込んで蓋をして1~2分熱する。
はい、完成です! おじやです! カニのほぐし身入りのおじやです! これがクソうめぇんだよ!
いっつもおばあちゃん家でカニ鍋する時はカニ鍋の食べる量を抑え目にしておじやをガッツリと食べてた。
いっつもじいちゃん達に「おめぇ、子供の癖にうめぇとこ知ってんなぁ!」って笑われてた。
しょうがないじゃん。俺、鍋はそこまで好きじゃないけどおじやは大好物なんだもん。
「うわぁ! 美味しそうですね!」
俺がおじやをよそっているのを見ながらリリスはテンション高めにぴょんぴょんしている。
「いただきまーす」
出来たてのおじやを口に運ぶ。うおっ、うまっ! やっぱり美味いなぁ。おじや。カニの出汁がしっかりとお米にしみてて美味い。カニミソを乗っけるとカニミソ特有の風味が鼻を抜けて行ってこれまた美味い。てか、カニミソ美味い。
一時期回転寿司でカニミソを馬鹿みたいに食ってた時期があったなぁ。直ぐにメニューから無くなってたから期間限定メニューだったのだろう。
そんな懐かしいことに想いを馳せながら放ったらかしにしていたお酒を口に運ぶ。うん、カニミソと日本酒あうな。
そんなこんなでまた1時間ほどちびちびと酒を飲み続けたいた俺とリリス。流石に俺にも酔いがまわってきたが、それ以上にリリスがやばかった。
「ねぇー! あるじひゃまぁ! だぁっこぉ!」
「今する必要ないでしょ。はい、お水」
「ありまひゅー! わたひがして欲しいからですー!」
リリスは俺から水を受け取るとぐいっと一気に飲み干した。流石にこれは飲み過ぎだな。
「ぷはぁ! もう一杯〜」
「もう、しょうがないなぁ。はい、お水」
俺がもう一杯お水をついでリリスに渡すとリリスはそのコップを放り投げた。部屋の隅っこでコップがパリンと割れた。
「あ! リリス何やってんの!?」
「わらひはぁ! おしゃけを用意ひろってぇ! いってるんでひゅー!! 酒ーーー!」
リリスはそういいながら机をバンバンたたき出す。やっべ、このままじゃ机ぶっ壊れる。机の上の物できるだけしまっとこ。
「あーーーー! 今あるじしゃま、お酒隠しましたねぇー! だめでひゅよ! さぁ! 早くわらひにおしゃけをーー!」
あっ、駄目だ。これは俺も逃げた方がいいな。
俺は隠滅を発動して部屋の壁に張り付いてリリスの様子を観察する。
「あれぇー? あるじしゃまはぁー? むぅ! あるじしゃま逃げてもむだですよぉー! いまいきしゅー!」
あっ、リリスが部屋から飛び出して行った。
・・・てか、アイスドラゴンが居るんじゃない? ヤバくない?
俺は慌ててリリスに続いて部屋を飛び出た。
俺が部屋を出て見たもの。それは断末魔を上げるアイスドラゴンと、それにゲンコツを落とすリリス。
「もーー! うるひゃいですねーー! あるじしゃまの声が聞こえなくなるじゃないでひゅかぁ!」
・・・これはあかん。 これは俺が出ていかないとこのダンジョンのモンスター全部かられてまう。俺はリリスのゲンコツを受けてピクピク痙攣しているアイスドラゴンを見て覚悟を決める。
ちぇー、こっちも気分良くなってきてるのになぁ。
「リ、リリス!」
俺が声をかけるとリリスはフラフラとこちらに振り返る。
「あ〜! ごしゅじんしゃまぁ!」
リリスがとてとて千鳥足で走ってきて俺に抱きつく。
「怖かったですぅ!」
どこぞの新喜劇のような茶番をかましてくるリリス。それどこで学んだんだ? あのネタを日常生活でされると微妙な雰囲気になるからやめて欲しい。
あー、アイスドラゴン倒した時に出てくる財宝が出てきてる。てかこれドワーフ達が無駄に作った武器じゃん。流石マーシー、商業神。無駄を出来るだけ減らしてるんだね。
ぬあー! 俺も酔ってるのにまたダンジョンボス出さないといけないのー!? めんどっちぃー! 今の俺はかわいい女の子に介抱してもらいたいのー!
・・・いいや。もうダンジョンボスにサキュバス呼び出してやろ。そんでたらふく飲んだ後介抱してもらお。それでいいや!
えーい! 召喚! サキュバス!
このことでマーシーとディアンヌとシャルルにボッコボコにされるのはまた別のお話。
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今回全く着地点考えてなかったのでふっらふらですいません。以後気をつけます。




