第76話 虚偽の栄光
今回少し短めです。すいません!
ふふふ、なんとか言いがかりをつけてディアンヌの背後を取ることが出来た。俺の事を思う存分笑ってくれた仕返しをたっぷりとしてやろう。
「マスター? 私がマスターの心を読めることを知っている上でそんなこと考えているんですか?」
あっ、そっか。ディアンヌは俺の心が読めるのか。普通に脇をこしょこしょしようと思っていたのだが、それを知った上で俺の事を背中に載せた。つまり、ディアンヌは脇こしょに強いってことだな?
ふふふ、だが俺が背後を取った時点で選択肢は他にいくらでもあるのだよ!
さぁて! まずは耳に息をふーっと。男の体の時に女性にこんなのやったらただの変態だったけども今の姿だったらそこまで変態じゃないもんね。
「ひゃうぅ! ってマスター! それは卑怯ではありませんかっ!」
おっ! いきなり弱点みっけ!
「へへーん! 俺に背後を取らせた時点でディアンヌの負けなんだよ!」
「ひゃあっ! と、とにかくやめてください! ほんと危ないですから! ひいぃ!」
あははー! 楽しいなぁ! やり返すの楽しいなぁ!
「マ、マスター! 私が悪かったですから! もうやめてください!」
「ほんとに反省してる?」
「はい!」
んー、どうしよっかなぁ。もう怒ってないし、この高さから落とされても困るしやめてあげよっかな。
「分かった。でも、その代わり急いでね」
「はい、マスター(いつか絶対復讐してやります)」
ん? 今なんか不穏な言葉が聞こえたような気がするけど気の所為だよね? だって、ディアンヌももう戦意喪失したような顔してるし。
そんな不安を抱きつつも、約10分程で俺とディアンヌは元の場所に帰ってこれた。どんだけの距離飛ばされてたんだよ・・・
俺達が地面に降りていくとシャルルが気がついてこちらに礼をして挨拶をしてくれた。シャルルの頭にはハリネズミがちょこんと陣取っている。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
シャルルがそう言うとハリネズミもシャルルの頭からぴょんと離れて俺の頭に張り付いてきた。
でも、なんかシャルルが初めてメイドっぽく感じた。見た目は完全にメイドさんなんだけど、言動が全くメイドっぽくなかったんだよね。ご主人様を投げるのは少なくともメイドっぽくないよね。
「ただいま、それで何が起こったの? 俺シャルルに投げられてからの状況が全く理解できないんだけど」
「えぇ、説明しましょう。私がご主人様を投げた理由はディアンヌに聞きましたよね?」
「うん」
確か、どっかから飛んできた魔法から獣人を守るためだったよね。
「その魔法の犯人はアイネ達が泣かせてしまったエルフ達の親に雇われているエルフの魔術師でした。その魔術師は親諸共捕縛しています」
あー、なんとか穏便に済んだみたいだね。良かった良かった。
「ただ・・・」
シャルルが続きを言い淀んでいると、遠くの方で子供達の声が聞こえてきた。そう言えばひれ伏していた獣人達の中に子供達もいたよな。無事でよかった。
「あっ! ハル様だー!」
ん? ハル様? 俺ってこの島の人達に正体バレてないよね? てか、なんでシャルル頭抱えてるの?
俺が混乱していると間に獣人の子供達が俺に群がってきた。中には3歳児位のよちよち歩きの子もいたが、他の子がおぶって来たようだ。皆ボロ布みたいな布を纏っているだけの粗末な格好だ。
「「ハル様、ありがとうございました!」」
えっ? 俺この子達になんかしたっけ? 全部シャルルとエラスがやってたよね? 俺って傍から見たらただの付き添いの獣人だよね?
俺が戸惑って周りをキョロキョロすると大笑いしているリーフィアを発見した。主犯はアイツで決定だな。
俺がリーフィアに対する罰を考えていると狐のような耳と尻尾をもつとびきり幼い獣人の女の子が俺の服をグイグイ引っ張ってきた。
「はるしゃま、あーと!」
か、可愛い・・・! なんか耳とかもピコピコしてるし尻尾も微妙にゆらゆらと揺れてて、モフりたくなる。
小動物的な可愛さを集結させたらこんな破壊力を生み出すのか!
「シャルル、これどういうこと?」
「まぁ、あの、あれですよ。私がご主人様を投げたところを獣人達は見ていないんで、ご主人様が自ら自分の身を犠牲にして自分たちを守った英雄だと担ぎあげているんですよ。
まぁ、そういうふうに焚き付けたのはリーフィアなんですけどね」
な、なるほど。確かに獣人達はシャルルの投球を見てないもんね。そりゃそうなるか。まぁ、別になんの問題もないんだけど、リーフィアのあの腹を抱えて笑っている姿を見ると、無性に腹が立つ。
ともかく、子供達の対応をしないとね。
「う、うん、別にこの通り傷も何も無いから大丈夫だよ。皆無事でよかったよ」
俺がそう言うとさっきの狐の獣人の女の子が両手をあげた。
「はるしゃまのおかげー!」
これはヤバい。破壊力が凄い。
・・・なでなでくらいは許されるよね? 尻尾もふもふは犯罪だとしてもなでなでくらいはね?
うん、誘惑には勝てなかったよ。俺は誘惑に従い狐の獣人の頭を軽く撫でる。女の子は嬉しそうに目を細めて俺のナデナデを受け入れる。
「だっこ!」
しばらくナデナデしているとなんと女の子の方からオネダリが来た! これはもうだっこするしかないでしょ!
軽っ!? なにこの軽さ。えっ!? これちゃんとご飯食べてる?
「だっこー! あーと!」
うーん、この子の満面の笑みが逆に悲しくなってくるな。そう言えばもうそろそろ昼食の時間だ。
炊き出しとかしたいけどクラフ島はそこそこ広いし獣人で困窮してるのはこの子達だけじゃないのだろう。どうしたらいいのか分からない。
「まぁ、ご主人様の悩みはもっともですがそれに関してはもうディアンヌやマーシーが解決しています。
また、リーフィアの能力で島にいる妖精ならば呼び出すことが出来るので人手としても十分なものがありますので、ここで炊き出しを行ってもなんの問題もありませんよ。
あ、あとマーシーがマナ変換の為にマナを使用することを許可して欲しいと言っていましたが、どうしますか?」
「勿論OKだよ」
流石! みんな優秀すぎるね。俺が不甲斐ないから皆が優秀なのはほんとありがたいよ。俺なんかマナを供給することしか出来ないけど出来るだけ応援しよう。
んー、でも炊き出しかぁ。何作ろうかな。
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作者はこの話を書いているとき自身がロリコンでは無いかとの疑いが浮上して来ました。
・・・多分違うと思います。 違うと信じたい!




