第73話 クラフ島到着!
アイネとムガルの所へ向かったが俺達の援護射撃はあんまり要らなかったようだ。
「まぁ、こやつらも少しは外の世界に慣れとかなきゃならんからな。それにこの島での暮らしは贅沢過ぎる。たまには苦しんでこい」
とのムガルのお言葉を賜った。いや、別にこの子達に辛い思いさせる気ないんだけどね。 今回はマナ変換縛られてないから思いのままだよ。
その事を知ってか知らないでかは分からないがみんな手を取り合って喜んでる。すっごい和むね。
「てことで着きました! クラフ島!」
「「「いえーい!」」」
ドワーフとアイネとメリーさんも盛り上がっているようだ。
クラフ島は小さいといえども俺の島の約15倍程の大きさはある。
つまり俺の島の直径が約10キロで形はほぼ四角形だから、1500平方キロメートルぐらいの面積はある。国後島とほとんど同じぐらいの大きさだね。
自然豊かな島で多種多様な動物達が住んでおり、この島固有の生き物や植物もいるそうだ。気温や湿度も比較的高く降水量も多いそうだ。
この島に住んでいる人族は大多数が獣人であとは奴隷貿易の為に滞在しているエルフだそう。
でも、こんな人口もそこまで多くない小さな島でどうやって奴隷を捻出しているのだろうか。 それをディアンヌに聞いて見たところ
「獣人は一度に複数の子供を産むのです。
また、産む間隔もヒューマンやエルフより極端に短いので増やす分には幾らでも可能です。
その代わりに寿命は短く、病にも強くはありません。体自体は強靭な者が多いんですけどね」
だそうだ。つまり、人を家畜のように増殖させてるってわけだよな? この瞬間、俺の中でのエルフの評価が更に下がった。
あっ! アイネは別だぞ! アイネはいい子だって分かってるからね。
今回の旅の付き添いは上記のメンバーに加えディアンヌ、マーシー、シャルル、ヤミ、エラス、スーちゃん、ルーちゃん、クリス、リリス、リーフィアだ。
リリスが着いてこれないヒカリにドヤ顔をかまして煽ったせいで色々めんどくさいことになったがそこら辺は省くことにしよう。一つだけ言っておくと俺の胃の中は今ミルクで満タンだ。
「あっ、お出迎えかな?」
俺が船を降りるとそこには小さなハリネズミが寝転びながら毛繕いをしていた。鼻をピクピクさせている姿がとても可愛らしい。
俺は当然駆け寄り、その子を手でゆっくりと持ち上げる。多分癒しの象徴の効果なのだろう。俺がハリネズミに触れても全く警戒心を抱かない。
「うわぁ・・・なにこの可愛い生き物。飼いたい!」
俺がそんなことを呟きながらハリネズミのお腹をつんつんつついて戯れているとディアンヌがふわふわと俺に近づいてきた。と同時にえげつない風が俺の隣を吹き抜けた。そして俺の目の前に一瞬なにかが通ったような気がした。
「またペットを増やすんですか? まぁ、マスターはちゃんと世話を見ますからいいですけど」
ディアンヌは何事もなかったかのように俺に喋りかけてくる。ただの風だったのかな?
「やった! でもこの子何食べるの?」
「んー、ハリネズミなら虫や果物を食べるはずですがこの子は違うんでしょうね」
「ハリネズミじゃないの?」
「まぁ、魔物ですしね。それも今は誰かの管理下に・・・いえ、今解けましたね」
なんかディアンヌの言っていることがあんまり理解できない。まぁ、とりあえず色々食べさせてあげたらなにがいいのか分かるだろう。
ただ、虫だけは・・・ちょっとね。
「チュー チュー!」
俺がディアンヌと話している時にハリネズミは退屈だったのか俺の腕をトテトテと短い脚を使って這い上がっていたようだ。ハリネズミは俺の肩に到達した達成感からかチューチュー鳴いて喜んでいる。可愛いなぁ、コノヤロウ!
「あっ、ハルさん! その子はどうしたんですか?」
アイネ達(ヤミ含む)も降りてきたみたいでハリネズミに興味津々だ。4人で俺の肩に乗っかっているハリネズミをツンツンしたり見つめたりしている。ハリネズミも嫌がってないみたいで嬉しそうにチューチュー鳴いている。
そんなこんなをしているとさっきまで船にいたはずのスーちゃんが島の方から走ってきた。何故かその口元はうっすらと赤みがかっていた。
あっ、スーちゃんが舌なめずりした。なんか猟奇的だ。
「あぁ、あの人たちを片付けたのはスフィアだったんですね。納得です」
スーちゃんの口元が赤い→人を片付ける→???
やばくね!? スーちゃんもしかして・・・
『スーはそんなこと致しません!』
あっ、スーちゃんに俺の考えてることバレたな。じゃあ何したんだろうね。
『私はただ、このハリネズミに呪いをかけてご主人様に危害を加えようとしたド畜生を張り倒しただけです! 断じてハリネズミを食べたりなんてしていません!』
「・・・えっ?」
そんなこと心配してるんじゃない!
まぁ、とりあえず人を食べた訳じゃなさそうだけど、スーちゃんが人を張り倒すってヤバくない? 多分その人死んじゃってるんじゃ?
いや、ディアンヌ「流石スフィアです!」とか言いながらウンウンうなづいてる。
そんなことしてる場合じゃないでしょ。どうすんの? これ!
「大丈夫。スフィアに攻撃されたエルフは昏倒してるだけよ。スフィアの口に血がついてるのは帰りに魔物を狩ってきたからね」
リーフィアが俺の横でハリネズミを突っつきながら答えた。あっ、リーフィア見て思い出したけど作った聖水まだ俺が持ってるや。
まぁ、俺の保管庫と島の漁港の保管庫は繋がってるし、いざとなったらそこから聖水を取り出すだろう。探すのめんどくさいだろうけど。
ハリネズミは相変わらず目を細めてみんなからのツンツンを受け止めている。
でも、呪いをかけられてたから心配だなぁ。後で聖水を飲ませてあげよう。
「さて、今からふた班に分かれて行動します。分け方としては私、マーシー、ご主人様、スフィアとそれ以外」
場が一旦落ち着き、俺がハリネズミに聖水を飲ませたあと、シャルルがそう言った。アイネ達もお利口に「はーい!」って言ってるので大丈夫そうだ。
俺と同じ班になれなかったリリスが何やら抗議しているがシャルルに突っぱねられたようだ。まぁ、しょうがないよね。
ふた班別れたあと俺達の班は森の奥深くへと進んで行った。森の中はジメジメしていて、色んな動物達の鳴き声が騒がしい。地面もぬかるんでいてとても歩きにくい。
ちなみにもう片方の班はこの島の人達と交流しに行くみたいだ。アイネ達の社会見学としては申し分ないだろう。
「んで、なにをするの?」
俺は足場の悪さに苦戦しながらもシャルルにそう尋ねた。
「あぁ、ディアンヌは説明してませんでしたか。全くあの子は・・・。
では、今からご主人様にはこの島にダンジョンを作っていただきます。そのダンジョンがこの島の収入源になりますから」
「えっ? でも俺が作ったダンジョンって物凄い強い魔物ばっかだよ? 大丈夫?」
俺のダンジョンに居るゴブリンにさえ黒の勇者がボコられそうだしね。
「あれはあの島だからなのですよ。ご主人様も知っているでしょう? ダンジョンの質はその土地に依存するということを」
あー、そう言えばそうだったね。なら大丈夫かな? 自分で生み出した子をぽこぽこ殺されるのは悲しいけどしょうがないね。
ここまでご覧いただきありがとうございます!
よろしければブックマーク登録などよろしくお願いします!




