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第71話 アイネ達とメリーさんの特訓

メリーさんはミズチの寿司屋を出た後、アイネ達と共にダンジョンに遊びに行ってしまった。


ダンジョンにはアイネ達の練習相手になってくれる妖怪が沢山居るので、まだ日課は続いている。妖怪達に知能や自我が開花したので、護衛をつける必要も無い。それどころか妖怪達は「まだまだ、あの子達は強くなりますね! 私達も教育に性が出ますよ!」とか言っている。


アイネ達も妖怪達に対する忌避感などはなく、ダンジョン帰りには妖怪達とどんなことをしたのか、お土産の鉱石を見せながら話してくれることもある。


あっ、メリーさんって囲いの魔女とかいう二つ名持ってたよな? めっちゃつよいんじゃないの!? 流石に今の状態でダンジョンの妖怪がやられちゃったら結構ショック大きいな・・・


ちょっと覗いてみるか。


俺が普段アイネ達が潜っているダンジョンに顔を出してみることにした。するとそこにはへたり込むメリーさんとあわあわしてるアイネやドワーフ、そして妖怪達の姿があった。


そして妖怪達の中のリーダーである王牙が俺を見るなりドタドタと駆け寄ってきた。ちなみに王牙はオーガキングが妖怪化したやつだ。


「主様! すまねぇ! 客人をいきなり泣かせちまったみたいだ!」


「何があってこうなったの?」


「いや、それが・・・」


まずは王牙に会った瞬間ビビり散らしたが、それを何とかアイネやドワーフ達が大丈夫だと落ち着かせた。しかし、いざ特訓になると王牙も勿論色々なスキルを使い始める。

その中の威圧というスキルを受けてメリーさんは泣きだしてしまったらしい。確かにこんな鬼みたいなやつの威圧食らったらチビりそうになるもんね。


「こ、怖いよぅ・・・怖いよぅ・・・」


「メリーさん? 大丈夫?」


「・・・大丈夫じゃない」


大丈夫じゃないみたいだ。メリーさんは小刻みにずっと震えている。そんなに怖かったのか。


「じゃあ、今日は見学だけにしとこうか? それとも一緒に島の探索する?」


「・・・見学する」


どうやら王牙の戦いに興味はあるみたいだ。


「じゃあ、俺もここに居るから一緒に見学しよっか」


「うん」


てことで俺も久しぶりにアイネ達の訓練風景を見ることになった。アイネ達どれくらい成長したのかなぁ? 場合によってはカンネル王国とか連れてって冒険者登録させてあげるのもいいかも知れない。


「じゃあ、行きます!」


「おう! 全力で来な!」


王牙が挑発するように指をクイクイとする。するとアイネが緑色の宝石が埋め込まれた杖を前に突き出し、何やら詠唱を始める。


「うおいっ! マジかよ! 初っ端からそれはダメだろ!」


王牙が慌ててアイネの詠唱を阻止しようとアイネに突っ込んでいく。


「させません!」


ミラが自分の背丈程もある斧を振りかぶって思いっきり王牙に振り下ろす。しかし、王牙はその一撃を軽々と受け止める。


「流石に単調すぎるぜ? まだ策はあるんだろうな?」


「勿論です! チロ!」


「ひゃっ、ひゃいぃ!」


ミラの合図に合わせて、黄金色のナックルを装備したチロが素早い動きで王牙の後ろに回りこみ、奇襲を仕掛ける。

それに対し王牙は即座に後ろを振り向き対処をしようとするが・・・


バァァァン!


ひとつの銃声が聞こえたあと、王牙は目を抑えた。だが、その顔は笑っていた。

その銃声の正体、それはサラの狙撃による音だった。

つまりアイネ達の作戦はこうだ。

まずはアイネが囮として長い詠唱の変わりに高火力の魔法を唱える。そうすると王牙は間違いなくアイネを止めにかかってくる。

それを近距離特価のミラやチロが対処する。そうなるともう王牙の意識はサラに全く向かなくなる。そうなるとサラは確実に1発、完璧な状態で狙撃することが出来る。


「ちくしょう・・・! まんまと嵌めやがったな? 意外とやるじゃねぇか! 今までで最高の作戦なんじゃねぇか? だが、もうちょっと工夫が欲しかったな。流石に猟銃1発じゃ俺の目は潰しきれないぜ?」


「えぇ! だからこその狙撃です! アイネさん!」


「はいっ!! 行きます!」


「ぬぁっ! 忘れてたっ!」


いや、忘れちゃいかんでしょ。


「災厄の煉獄! そしてアクアバリケーション!」


アイネがそう叫ぶとアイネ、ミラ、チロ、サラの4人は水球に包まれる。そして、王牙は青い炎の渦の中に巻き込まれた。


アイネの放った魔法は王牙の体を執拗なまでに焼き尽くす。その高熱は勿論周囲にまで及ぶ。それを考慮しての水球だったのだろう。

しかし、アイネも流石に俺達のことを気遣っている余裕はなかったらしい。


「あっつ! てかヤバいって! フリージング!」


フリージング、それは辺りの温度を下げる魔法だ。ソラたちに冷蔵庫のようなものが欲しいと言われたのでこの魔法を編み出した。

ちなみにこの効果は術者が解くまで場に残り続ける。

幸いメリーさんには目立った外傷などはなかった。心に傷は負ってしまったようだが。


「でも、周りであんだけ暑いんだから王牙はどうなってんだ?」


そんなことを俺が考えていると青い炎が止み、王牙が姿を現す。その姿は炎に巻き込まれる前とほぼ変わらなかった。所々やけどがあったり、髪の毛がちりちりになってたりはするけどね。


「ぬあーーっ! あっちぃなぁ!」


王牙はそう言いながらポリポリと頭をかく。こいつバケモノだろ・・・


「よし! お前ら今日も合格だ! よく頑張ったな!」


王牙はそう言うとアイネ達の頭を軽く撫でる。それを聞いたアイネ達は嬉しそうにぴょんぴょんと手を繋いで跳ねている。


流石に心配なので王牙に容態だけ尋ねておこう。


「王牙大丈夫? さっきの熱凄かったでしょ?」


「あぁ、主様か。さっきの熱ぐらいどうってことないですよ。俺たちゃいつもマグマ風呂入ってんだ。あんぐらいはちょっと暑いサウナみたいなもんですよ」


えっ? こいつらマグマを風呂として使ってるの? 確かそこってファイアースネークのための住処だったよね?


・・・また今度島の温泉にダンジョンのみんなを招待した方が良さそうだな。


「あっ、そうだ! 主様からもアイツらになにかアドバイスしてやってくださいよ! きっと喜びますよ!」


すると王牙の声を聞いたアイネ達がこっちに向かってきた。


「ハルさん! ぜひお願いします!」


みたいなことを4人から口々に言われる。俺、戦闘なんてほぼしないから全く分かんないんだけど、気になったことだけ言ってみるか?


「うーん、まずはアイネだけど1番火力が高いのがあの魔法なの?」


「は、はい。ですが、あんまり使い勝手良くないんですよね。詠唱が長いので」


「じゃあ、また今度俺が魔法考えとくからもっと強い魔法使おうか」


俺がそう言うとアイネが固まってしまった。後ろを振り向くと王牙まで固まってしまっている。なんでだろ。まぁいいや。


「じゃあ次にミラだね。ミラって魔法使えるの?」


「は、はい! アイネ程じゃないですけど身体強化ぐらいなら」


「じゃあ後で蜃気楼(ミラージュ)の魔法の簡略かしたの教えるね。具現の霧ってやつ。これならチロの役割も1人で果たせるからね」


蜃気楼(ミラージュ)って水魔法の最高位の魔法じゃ・・・」


「大丈夫、大丈夫、歪む霧は簡単だから! それに水魔法じゃなくて土魔法だからね。

じゃあ次はチロか。チロはナックルがメイン武器なの?」


「ひゃ、ひゃい! しょうですぅ!」


「なら、魔刃の練習しよっか。これならナックルでも斬撃が放てるようになるし、遠距離攻撃でも活躍出来るよね」


「えっ? えっ? えっ? 魔刃って飛ぶんですか? ・・・えっ?」


「うん、飛ぶよ。最後はサラだね。サラは弾の種類を増やした方がいいよ」


「弾の種類・・・ですか?」


「うん、例えば撃ったら相手の魔力を奪う弾とか」


「それはどうやって?」


「ん? 第81番のダンジョンに悪の華がいるでしょ? その子から種をもらって薄皮を剥がせば出来上がりだよ。撃ち込んだら勝手に相手の魔力吸い取って成長していく。

あと、あの子達自我があるから、相手から取れた種を渡してくれるよ。種には魔力がぎっしり詰まってるからそれを食べたら魔力回復にもなるしね」


「・・・」


ふぅ、何とか上手く指導出来たかな! 俺にしては結構良い指導ができたと思う!


「・・・俺達がディアンヌ様にアイネ達の指導を頼まれた理由がわかった気がしたぜ。

主様には頼めねぇわなぁ」


王牙がなんか呟いた気がするけど、まぁいいや! アイネ達のために今からきょうざいつくってこよーっと!




ここまでご覧下さりありがとうございます!

よろしければブックマーク登録などよろしくお願いします!


最近Vライバーにハマってしまいました。ここで話すとBAN食らうかもしれないんで多くは語りませんが。

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