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第70話 メリーさんの受難

囲われの魔女ことメリーさんが島にいきなり現れた。でも、もう真夜中だったのでディアンヌが起きるまで待ってもらうことになった。


「あぁ、囲いの魔女ですか。それぐらいなら私でも対処出来るので問題ありませんよ。というかマーシーでも余裕で対処出来ます。ほっといていいですよ」


ディアンヌが起きたあと、メリーさんと一緒に事情を説明しに行ったら呆気ない答えが返ってきた。


「そ、そんなわけないよ! 絶対勝てないよ! あなたはアイツの恐ろしさを知らないんだ!」


と、メリーさんは信じられないみたいだ。かく言う俺は皆目検討もつかぬ。だってマーシーの実力も囲いの魔女の実力も知らないしね。


「マーシーの実力はこの島にいる神の中では最弱ですね。まぁ、搦手を使えば国を崩壊させることも出来ますが」


まぁ、商業の神様だから戦闘能力は無いに等しいよね。でも、搦手ってなんなんだろ。きっと財政的に破綻させるんだろうね。


「そんなの囲いの魔女をなめすぎだよ!」


なんかメリーさんが凄く興奮してる。囲いの魔女とかいうのそんなに凄い人なのかな?


「まぁ、ここに居れば囲いの魔女は近寄ってこないでしょうし大丈夫ですよ」


「なんでそう言いきれるのさ!」


いや、ほんとそれ。というか俺としてはそんなに凄い人なら島に来て欲しい。でも来たら来たで面倒くさそうなんだよなぁ。


「まぁ、あなたには分かりませんか。ですが信じられないのならここから出ていって貰っても構いませんよ?

別に居残ってもなにかする訳ではありませんし、帰った方がいいんじゃないですか?」


なんかディアンヌが冷たいような気がする。朝っぱらから相談に来たから機嫌悪いのかな?


「・・・いやだ。帰りたくない」


でしょうね。囲いの魔女と囲われの魔女とか絶対に囲われの魔女にとって良い待遇なはずないもん。 名前聞くだけで想像がつく。


「なら、不安でもなんでもここにいたら良いじゃないですか。昔マスターが適当に返信したから追放も出来ませんしね」


・・・面目ない。でも、ほんとに来るとは思わないじゃん!? 子供の遊びだと思っちゃうじゃん!


「・・・」


メリーさんはそのまま俯いて喋らなくなってしまった。


「あーああ、ディアンヌが冷たくするからメリーさん黙っちゃったじゃん!」


「別に黙っててくれれば私としては楽なのでいいですけどね。むしろ牢屋にぶち込むのも手だとは思いますがいかがですか?」


うわぁ、やっぱりディアンヌ今日ものすっごい機嫌悪いよね。いつもならこんなこと言わないもん。シャルルとかなら何時でも言いそうだけど。


「なにか言いましたか? ご主人様?」


背後から突然シャルルが現れて俺に疑いの目を向けてくる。何なのこいつ、怖すぎでしょ、、、


「ナニモイッテナイヨ」


口には出てないから嘘はついていない。


「・・・そうでしたか。そういえばディアンヌ、ご主人様にあのことは伝えましたか?」


あっ、まだ疑われてるな。でも、バレることはないから大丈夫だろう。

それより、あのこと? 多分ディアンヌからその事は聞いてないぞ?


「あっ! 言うの忘れてましたね。ありがとうございます、シャルル。

ご主人様、ブリクストとの条約が締結されました」


そういやもうブリクストって降伏してたんだよな。他のことの印象が強すぎて忘れちゃってたよ。というかブリクストにそんな興味ないんだよなぁ。


どうやらブリクストとの条約の内容はまだ完全には決まっていないらしい。しかし、俺達の利益だけ無理をいって先に出してもらったそうだ。


俺達の利益は近くにある獣人達の島1つを貰えたらしい。名前はクラフ島。規模としては小さい島で流刑の行先や、奴隷の調達先として使われていた島だ。


「えー、領地経営とか俺興味ないよ」


「まぁ、やってみたら案外楽しいかも知れませんしやってみましょうよ」


「まぁ、ご主人様は統治の方針を決めるだけで諸々のことはディアンヌとルージュとマーシーがこなしてくれるので大丈夫ですよ」


そんなシャルルの言葉を聞いたディアンヌが目を真ん丸くして驚いている。


「ちょっと! シャルルもやるんですよね!?」


「いいえ、私にはご主人様の護衛という大切な任務がありますので辞退させていただきます」


「いやいや! 無理ですよ! 私達だけではまわりきりませんよ?」


「それなら半蔵を送り込みましょう。半蔵なら分身して沢山の仕事をこなしてくれるでしょう」


「・・・まぁ、それなら良しとしましょう」


哀れ半蔵、自分の知らないところでハードワークが待っているぞ。まぁ、半蔵はシャルルの尻に敷かれてるからしょうがないね。


「まぁ、俺の統治下に入るんだったら奴隷制度とか人種差別とかいう気持ちの悪いもんは全部廃止するけどね。反乱起きても知ったこっちゃないし」


「そんなことしたら私達の仕事が増えるんですが」


まぁ、そうだろうね。今俺が上げた政策を行うとしたら有力な商人とかがこの島で大きな顔出来なくなるから絶対反発してくるもんね。

だから、色々めんどくさいんだろう。


「頑張れっ!!」


まぁ、俺が言えるのはこれだけなんだけどね!


「はぁ、分かりましたよ。人種差別は根強く残り続けるのでどうなるか分かりませんが奴隷制度だけは即刻廃止に持っていきましょう。

はぁ、あの島って何がとれるんだろう、、、」


あーー、なるほどね。

今まで奴隷貿易が主となって来たから産業とかそこら辺が全く発展してないのか。それで奴隷に変わる商品を産出しないといけない、それがめんどくさいのかな。


「半蔵達は一週間後ぶっ倒れてそうですね。ふふふ」


「笑い事じゃありませんよ!」


いやー、いきなり難しいこと要求しちゃったな。少なくとも奴隷廃止はやめといてあげた方が良かったかもしれない。

でも、自分の国で奴隷として売られたり扱われてる人が居るってのはほんと気分が悪いからな。ディアンヌ達には頑張ってもらおう。


おっといけない。完全にメリーさんのこと忘れてた。

て、やばい。メリーさんほとんど泣きかけじゃないか・・・


とにかくディアンヌに対する恐怖があるのは間違いないのでこの場から引き剥がそう、そうしよう。

多分リタなら何とかしてくれるだろうから、もう1回リタと合流しようかな。


俺はメリーさんを引きずるような形でリタの元へと連れていき、事情を説明する。


「囲いの魔女が脅威にならないこの島って、、、 とりあえずメリーさんはしばらくこの島で暮らすんですよね?」


リタの問いにメリーさんは頷く。どうやら帰るのが本当に嫌なみたいだ。


「それならまずは島の皆さんに挨拶しましょうか! さぁ行きましょう!」


リタがメリーさんの手を取って歩き出す。メリーさんも何も言わないでちゃんとついて行ってる。なんか慣れてるなぁと感心しつつも俺もあとを追いかける。



「私、この島好きだ!!」


口いっぱいにお寿司を詰め込んだメリーさんが満面の笑みを浮かべている。横ではアイネやミラ達もお寿司に舌鼓をうっている。


ディアンヌに手厳しいこと言われて落ち込んでたメリーさんだが、島の人達と交流してすっかり元気になったようだ。


特にアイネ+ドワーフ幼女組とは相性が良かったみたいでとっても仲良く過ごしている。

見た目はメリーさんがお姉さんっぽい感じなんだけどみんな同年代の子と遊ぶように遊んでた。


「いやはや、新入りに俺の握った寿司がこんなに受けるとは思わなかったぜ!

やっぱり自分の作ったもんが人に喜んで貰えるのは嬉しいこったなぁ!」


ミズチがガハハと笑いながら肩を組んでくる。大抵の男のドワーフはお酒作りの方に没頭してるんだけど、ミズチは寿司作りにハマってしまった変わり者だ。

そのごっりごりの見た目からは想像もつかないような器用さが持ち味で、お寿司を握るのも直ぐにマスターしてしまった。


実際、ミズチの作るお寿司はネタが良いのもあってめちゃくちゃ美味しい。ちょっとお高めのくるくる寿司なんかとは比較にならないくらい美味しかった。


「ハル! お前はどうする? 食ってくか?」


うーん、せっかくだし俺も食べていこっかな。


「うん! ネタはおまかせでお願い」


「あいよっ! 任せときな!」


ミズチはそう言うと馴れた様子でお寿司を握っていく。


「へい! おまち!」


「いや、多いよっ!」


ミズチがお寿司を握っていた時間は約1分。出てきたお寿司の数約30貫。流石に朝食としては重すぎる。てか朝食はもう食べたしね。


「ガハハっ! 育ち盛りなんだ! 食え食え!」


俺はミズチの適当さに呆れながらもサーモンを箸でつまんで口に入れる。


「うまっ! 何これっ!」


脂のたっぷり乗ったサーモンが少し温かいシャリの上に乗ってるだけなのに、2つが合わさって何倍にも旨みが膨れ上がってる!

爽やかな香りでツンとくるわさびもいい仕事をしている。

てか、何このサーモン! 美味すぎっ!


「だろぉ? ソラたちが妖精になって鮮度が上がって、更に質のいいサーモンが取れる海域が見つかったんだぜ! それにわさびってやつもリーフィア達が育ててくれるようになったからなっ!」


俺はそんな島の発展具合を聴きながらお寿司30貫をぺろっと完食してしまった。多分、お昼ご飯は入らないだろう。


「私ここ気に入った! また来るよ!」


「あぁ、いつでも来なっ! 大歓迎だぜ!」


帰る時メリーさんが笑顔でミズチに挨拶をした。ミズチもそれに手を振って答える。


ディアンヌにボヤかれてた時はどうなるかと思ったけどメリーさんが元気になって良かったよ。

島にいる人には出来るだけ楽しんでもらいたいからね。


ここまでご覧いただきありがとうございます!

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ブックマーク100件突破、300pt越えありがとうございます!


まさか、ブックマーク3桁行くとは、、、本当にありがとうございます!


あっ、更新の頻度ですがこれからは水曜、土曜、日曜に1本ずつってことになります。

これは最低限のノルマみたいなものなので増えることもあります。よろしくお願いします。

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