第58話 お久しぶり! スーちゃん!!
今回ちょっと短めです。
「どいてください! 主様は私の主様です! よって主様に抱きついていいのは私だけなんです!」
「違いますぅ! 島の主様は私の可能性を探る旅をしてくれるんですぅ! だから抱きついていいのは私なんですぅ!」
「うん、二人とも暑いから離れてくれないかなぁ。あと、二人とも訳の分からない理論展開しないでね。俺は俺のものだからね? あーゆーおぅけぇい?」
「「のぅ! あいむのぉっと!」」
「Oh……」
俺の奪い合いをしているのはリリスとヒカリ。やっぱりお前らバグってたんだな。知ってたよ。
「私なんて島の主様にミルクを飲ませて上げたんですよぉ?」
おい、誤解の生じる言い方はやめなさい! それだと俺から飲んだみたいじゃないかっ!
「なっ! 主様ぁ! どういうことなんですか! このリリスをほっといてぇ!」
ほらっ! 誤解したじゃんか!
でも、リリスが俺の胸をポカポカ叩いてるの少し可愛いな、じゃなくてぇ! ほっといたのはリリスが船の中でヨダレ垂らしながら寝てたからだろうが!
「あー、もう二人とも引っ付いてていいからスーちゃんの所に行くよ」
「「はぁーい!」」
・・・こいつらこれを狙ってたんじゃないか?
むぅ、なんか釈然としないなぁ。
俺はそんな感情を抱きつつもスーちゃんの住む、赤い裂け目のダンジョンに向かう。
『ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
俺がダンジョンに足をふみ入れた瞬間に飛んでくる青い閃光スフィア。その閃光は俺の後ろにしがみついていたリリスとヒカリの2人を吹き飛ばして俺にじゃれついてくる。
うおぉ、スーちゃん大きくなったなぁ。というかスーちゃんも交信使えるようになったんだな。それに女の子だったんだな。
「よーしよしよし、久しぶりだなぁ、スーちゃん!」
ふおぉぉぉ! スーちゃんのもふもふ度が更に増している! さては誰かにブラッシングしてもらっていたな?
『久しぶりのご主人様ぁぁぁ!!! ご主人様のニオイィィィ! ハスハス! ハスハス!! ぬおおぉぉぉぁああああ!!』
「す、スーちゃん? ど、どうしたの? ねぇ、スーちゃん?」
やばい、スーちゃんが変態になりかけてる。なんで? スーちゃんもっと清き心を持ってたんじゃないの?
『ぺろぺろ! ご主人様ぁぁぁ! ぺろぺろ!』
いや、スーちゃんに舐められるのは良いんだけどね、ちょっと一旦交信切ってくれないかなぁ。なんか変なお姉さんに舐められてる気分になっちゃうから。
「す、スーちゃん、ちょっと落ち着いて」
『はっ! す、すいません、ご主人様。久しぶりにご主人様と会えて嬉しくて嬉しくて! スーはすっかり舞い上がってしまいました・・・』
スーちゃんはやっと正気に戻ったのかおすわりの姿勢でくぅんと声出して反省する。
「うん、俺も嬉しいよ。で、交信を習得したんだね」
『はい、ご主人様! 私はご主人様と喋りたい一心で寝る間も惜しんで練習したのです!』
スーちゃんは褒めて褒めてと言わんばかりに尻尾をブンブン振っている。
よーし! お望み通り褒めてあげよう!
「スーちゃん! よぉく頑張ったなぁ! よしよし!」
『はぁぁぁぁ! ご主人様ぁぁぁぁぁ!』
俺がスーちゃんをくしゃくしゃするとスーちゃんはゴロンと俺に腹を向けて無防備な体制になる。俺はそれに構わず永遠にスーちゃんの身体中を撫で回す。あー、、、幸せ!
「スフィアさんはペット」
「私達もペットぉ?」
「「つまり、、、私達も主様(島の主様)をぺろぺろしてもいい!!」」
おい待てい、その理屈はおかし、ひぃ! リリス! 首筋舐めるな! ヒカリもほっぺた舐めんのやめろ! た、助けて! スーちゃん!!
『全く! ペットの分際でご主人様を困らせるとは!』
「「はい、すいません」」
『ご主人様! これで2人も大人しくなるでしょう!そしてスーはペット序列1位を守りきりました!』
スーちゃんは尻尾をブンブンと振りまくる。
ま、まぁ、色々突っ込み所はあるけど、一応褒めておこう。
「よくやったなぁ、スーちゃん!」
「はいぃ! ご主人様ぁぁぁ!」
「「狼怖い、、、狼怖いぃ!!!」」
生物としての格の違いを見せつけられたリリスとヒカリは狼のことがトラウマになってしまったようだ。
まぁ、スーちゃんが思いっきりうなりながら牙を剥いたらそうなるよね。実は俺も結構びびった。ただの威嚇って分かってるのにね。
「あっ、そうだ。スーちゃん今日のご飯は何が食べたい? スーちゃんが喋れるようになったんだからなんでも好きな物リクエストしていいんだよ?」
『ほんとですか!? スーは嬉しゅうございます! スーははんばーぐとやらが食べたいです! あれはとっても美味しそうでした!』
は、ハンバーグか、、、 犬って玉ねぎ食べたらダメなんだったよな。
『ダメ、でしょうか?』
スーちゃんがすっごい寂しそうな目で俺を見てくる。
よし、困った時のディアンヌだ!
ディアンヌー! ディアンヌーー!
「はいはい、私はまだ仕事があるんですよ? なんですか?」
「スーちゃんって玉ねぎ食べれるの?」
「余裕ですけど? というより、スフィアを食べ物で害することが出来るわけないじゃないですか。じゃあ私は戻りますからねぇー」
「はーい、ありがとぉー!」
スーちゃんは何を食べても大丈夫なようだ。これならハンバーグもたらふく食べさせてあげられるね!
「スーちゃん! 今日の昼食はハンバーグに決定だよ!」
『ほんとですか! ありがとうございます! ご主人様ぁ!』
そういって俺の顔をぺろぺろ舐めてくるスーちゃん。俺もおかえしにスーちゃんの耳をクリクリする。身を捩りながらも俺から離れないスーちゃんは可愛い!
「は、ハル様! お、お願いがあります!」
俺たちがそんな風にじゃれあっているとそんな声が聞こえた。
「ん? リタどうしたの?」
声の主はリタだった。なにやら思い詰めた顔をしている。やっぱりあの国に戻りたくなったのかな?
「あ、あの! 良ければ、スフィアさんの世話係としてこの島で雇ってくれませんか!!!」
「無理っ!!!!」
なにいってんだ! スーちゃんは俺のペットなんだ! 俺が世話をするんだ!
「そ、そうですよね、、、私なんてこの島にいちゃダメですよね、、、」
そういって俯くリタの目からは涙が溢れ出ていた。なんか絶望感溢れる顔してるし、、、
ん? なんで? なんで、リタがこの島にいちゃいけないことになるの? なんで? 俺が攫ってきたのにリタはここにいちゃいけないのか?
「あ、あのー、リタ? なんでリタがここにいちゃいけないの?」
「えっ・・・? 居ても良いんですか?」
「当たり前じゃない? 俺が拉致してきたんだよ? この島に来て欲しいから連れてきたんだけど」
するとリタの顔はみるみるうちに笑顔になっていった。えっ? もしかして悩みってそんな事だったの? 俺が連れてきた人を俺が追い出すわけないじゃん?
「あっ! ただしスーちゃんは俺のペットだからな! 奪えるもんなら奪ってみろ!」
『ご、ご主人様ぁぁぁぁ!』
感極まったスーちゃんが俺に飛び込んでくる。身体中がモフモフの毛で包まれる。ふあぁ、ごくらくぅ!
「ふふふ、あはははは! ハル様からは何一つ奪いませんよ! 私はここに入れるだけで大満足なんですから! それだけで私は幸せですから!」
目からこぼれ落ちる涙を拭きながら大笑いするリタ。
うんうん、やっぱりリタには、いやこの島の人達には笑ってて欲しいよね。
島の住人が嬉しいと俺も嬉しくなる。
悲しんでると何とかしなくちゃって思う。
これが島として生きる運命なんじゃないかな?
前の世界ではどれだけ考えても掴めなかった『自分』という像を何となく掴みかけている気がする。
だが、このスーちゃんのブラッシングをしていたのは十中八九リタだな? むむむ、これはスーちゃんの奪い合いに大きなライバル出現だな!
「だから奪いませんって!」
えっ!? 心読まれた!?
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