第94話 とある王都の司書の日記 3月6日
お、お久しぶりです・・・
ようやく一段落着いた所でして。前までのスピードに戻すことは難しいかも知れませんが、これから少しずつアップして行きます。
あと、自分の中での変化が結構あったのでもしかしたら気付かぬ間に作風が変わっている可能性があります。
あ、あと冒頭で出てくる謎の単語は暦です。後書きに説明載っているので良ければどうぞ。
あ、あと、今日は3・11、東日本大震災の日です。もう8年にもなるんですね。この日が来る度に色んなニュースになって震災の怖さを実感させられます。この震災で亡くなった方々の御冥福をお祈り申し上げます。
Yahooで3・11と検索すると被災地に10円の寄付がなされます。皆さんも是非、検索してみてくださいね。
インノの6日
今日も来ていた。あの人が。これで4ヶ月皆勤だ。
イートの6日から毎日開館時間から閉館時間までずーっとこの王立図書館に入り浸る。そんな生活を4ヶ月も送るなんて普通の王都の民では無い。いや、それどころか学者であってもそんな生活を送っている物好きなど滅多に存在しない。
故ならこの図書館は約半数が誤りだったとされる昔の学説の書かれた本が並んでいるからなのだ。それは学者の間だけではなく、庶民の間でも有名な話でこの図書館は別名『インチキの館』あるいは『異次元図書館』と呼ばれているのだ。
そんなこの図書館を訪れる人々と言えば、真に博識な学者達が研究に行き詰まってしまった時、藁にもすがる思いで古典から何らかの新しい発想を取り入れるため。もしくは浅薄な知識をもつ庶民達が適当な本を抜き取りその本の知識の誤りを滑稽に説明し合うという遊びに使う程度なものだ。あっ、あと私をしつこく口説きに来るオッサンとかガキが10数人程度ですかね。
しかし、4ヶ月皆勤のこの男は違う。真剣な表情で本棚と向き合い、読むべき本を選別する。そして、10数冊の本を抜き取り選別し終わると陽に当たる南向きの窓側の奥から2番目の端の席に座る。この席は前までは私のお気に入りの特等席だったので少し腹立たしい。そして猫背になり、ブツブツと本の内容を呟きながら食い入るように文字を追いかける。
ちなみになのだが、彼の選ぶ本は大抵人の思考回路や色んな国の内政についての評論、民族の風習についてなのだが、それらは大抵古臭いものとなっていて現在ではもうほとんど通用しないものばかりである。
彼がそんな本を読んでどうしようと言うのか。そんなことは私ごときには計り知れないものである。
だが、そんな計り知れない物事だからこそ私は興味を持ってしまうのだっ! これをこの日記に記すのはもう何回目だろうか。いやっ!そんなもの関係ないっ! 私は私の決意を書き記すべきなのだ! いや、書き記さなければならないのだ!
そうっ! 私がこんなインチキ図書館にもう何年も務めている理由。それは失われた超魔術の書籍が唯一この図書館だけに保管されているからなのだっ!
そして、なんとその本はっ! 難解過ぎて誰にも解読出来ず、その本を記した本人も「結局は感覚だから、俺も理解出来てねーんよ。まぁ、俺も成功する確率は10パーぐれーだから許してちょ。いやー、しかしあそこであの魔法決まったのは奇跡だったなぁ! なぁ、お前もそう思わないっ?」で済ましちゃった本なのだぁぁぁぁっ!
おおっと。行けない行けない。クールビューティな巨乳メガネっ子秘書の私がついつい荒ぶってしまいました。取り敢えず私はこの本の解読のため、死ぬまでこの図書館に居続けますっ!
・・・ってそれ、解読出来てないやないかーい!
「あっあの、すいません。楽しそうなお取り込み中申し訳ないんですけど」
さぁて! 今日もあの本の規則性について「す、すいません」
「あのー、少しお聞きしたいことがあるんですけど・・・」
私はゆっくりと顔を上げる。そこにはボロボロのローブを纏った少し容貌の整った男の姿。そう、あの皆勤賞男がいた。
「は、はいぃ? なんでしょーか?」
私は大急ぎでバタンと開いていた日記を勢いよく閉じた。
やばい、やばい、やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい
か、完全にみられたっ!! あのクールビューティの下りも! ロストマジックへの異常な執着もっ! だだだだって! この男、私の顔と日記をチョロチョロと交互に見てるしっ! 愛想笑い浮かべてるしっ! 楽しそうなお取り込み中とか言う皮肉言われたしぃ! うわぁぁぁぁぁぁっ!
「あ、あの、そ、その内容は一切見てませんので・・・」
見たやつだよっ! それっ! 見たヤツだよォォォォ! 気遣ってるのか知らないけど、最初に皮肉入れた時点でもうこっちは気付いてんだよォォォォォ!
「そ、その、クールビューティとか」
見てんじゃねーかよォっ! 普通に見てんじゃねーかっ! ふざけんなっ! なんてふざけた男なんだよォォォォ! 真面目な顔でふざけたこと言ってんじゃねぇよっ!
でも、でもね、私は、そう! クールビューティなモテる巨乳メガネっ子有能司書ちゃんですから。こんな時でも顔色変えずに・・・は無理ですね。私、耳まで真っ赤になってるの鏡見なくても分かりますから。顔から火がでそうなくらい熱いですから。
でもっ! きちんとした対応はやってのけます!
「はいぃ? ど、どどど? どうかしましたぁ?」
うわぁぁぁぁぁぁっ! 苦笑いだァァァァ! 皆勤賞男に苦笑いされたぁぁぁぁっ!
「あ、あのですね。こ、この本とこの本、書いてることが正反対なんですけどどっちが正しいんでしょうか?」
少々どもりながらそう答えた男が右手の人差し指でさした先には「誰でも出来る占術!」との記述が。そして、もう片方の手の指では「入門:占術のススメ」との記述がある。
「はっ?」
私は思わず声を出してしまった。だって占術って、約1000年も前にデマってことが証明されて、今では単なる遊びの分野なんですよ? そりゃ2つの答えがズレるのも道理でしょう。
「こっちだともう、今すぐに故郷へ帰るべきって書いてあるんですけど、こっちだともう少し旅を続けるべきだって書いてあるんですよね」
そんなもん知ったこっちゃねーよ! 自分で決めろよっ! そんぐらい!
「でも、故郷に帰ると仲間にコテンパンにされそうなんですよね。うん、もう少しこのまま旅を続けてみます」
「自己完結かよっ!」
あっ、しまった。ついうっかり声に出てしまった。ほら、男の人硬直しちゃってるじゃん。
・・・まぁいいや。このままゴリ押してやれっ!
「なんなんですか、ほんとにっ! ここ4ヶ月間皆勤でこのインチキ図書館にやって来ては朝から晩まで本を読みふけって! 馬鹿なんじゃないですか? そんでそこまでやって人に質問することがあんなデタラメの分野の入門編での質問ですか!? よりにもよって私のプライベートな日記まで読みやがって! そんで結局は自分で答えだしちゃって! 私が恥ずかしい思いしたの意味ないじゃないですかっ! なんなんですかっ!? 馬鹿でしょ! このアホっ! あとあの席は私の特等席なんですっ! いつまでも座ってんじゃねーぞ!」
言ってやった! 言ってやりましたよ! ついに言ってやりましたよ! あのバカチンに!
私がそんな満足感に浸っていると、男は気圧されたみたいで、躊躇いながらも聞いてきた。
「えっ? 占術ってそんなデタラメなんですか?」
「当たり前じゃないですか! あんなの曖昧な言葉を紡ぎ出して、それに実際に起きた出来事を当てはめてるだけなんです!」
「そ、そんな・・・」
男はそう言って残念そうに肩を落として本棚に本を戻しに行った。
えっ? もしかしてガチで信じてたの? 結構落ち込んでるよね? 流石に嘘でしょ? 今時子供でもそんなの信じないよ?
この人、どんな生活してるの? 前々から思ってたんだけど、この人水分も食料もこの図書館では一切取ってないよね。そんな状態で本って読めるものなの?
・・・知りたい。この人がどんな生活を送ってるのか知りたい。でも、司書ごときの私が・・・
いやっ! 私だってプライベートを見られてるんだ! 私だって彼のプライベートを見たってバチは当たらないはず! そうだ! 決定! ってことで今日は彼を徹底的に尾行します!
えーっと、ペンと日記を持って・・・ あれ? あの男は? あっ! もうあんな所までっ! 待てーっ! 絶対逃がさないからなぁぁぁぁぁっ!
ここまでご覧頂きありがとうございます!
一応今後も暦は使っていきますんでここに書いておきますね。
1月 コーユ
2月 チュリヒ
3月 インノ
4月 ウジリ
5月 ターガ
6月 シーロ
7月 ゴルーフ
8月 ミシープ
9月 シンク
10月 ユーブ
11月 イート
12月 ガイル
13月 ビョーブ
です。閏年の代わりに120年ごとにビョーブが現れると考えておいてください!
まぁ、こんなの作者が覚えられるわけがないので要所要所で使用するだけのものです。でも一応覚え方乗せておきますね。
コっチイウタ、シーゴルフ、ミシンユー、イガイなビョーブです。
・・・覚えにくいな! これ!




