3話
「あっ! もうすぐゴールだ!」
「準備はいい!?」
「行くよーっ!」
双子は勢いよくゴールへ飛び込み、満面の笑みで振り返った。
「どうです!? 私たち、速くなったでしょ!」
「もうどんな星にも負けないんだから!」
守護者はそんな二人を見つめ、まるで子どもの成長を喜ぶ親のように優しく微笑んだ。
「うん、本当に成長したね。それじゃ、今日は私がみんなのところへ挨拶に行ってくるよ」
「ふぅ~、助かったぁ」
「ほんとほんと!」
その様子を見た羊は、怪訝そうに双子を見つめる。
「お前ら…さっき急に黙り込んだことといい、今になって安心していることといい、どうも怪しいな」
「え、えっと…何でもないよ?」
「そうそう! 私たち、何もしてないもん!」
羊は静かに目を細めた。
「私はまだ『何をした』とは言っていない。正直に話さなければ…食べるぞ!」
「ひぃっ!!」
双子は肩を震わせながら慌てて叫ぶ。
「言う! 言うから!」
「獅子と牡牛が私たちをいじめるんだ!」
羊は首をかしげた。
「あの二人がお前たちを? 一体何をした」
その瞬間。
シュウウウン――
二つの星が空から降り立ち、守護者たちの前に姿を現した。
獅子と牡牛だった。
守護者は二人の顔を見比べる。
どう見ても怒っている…
その理由は、聞かなくても分かった。
「これはこれはー私のたてがみを抜いて、顔に落書きまでしてくれた双子じゃないか」
「私の角に『バカ』と書いたのも、お前たちだったな?」
双子は顔を真っ青にし、慌てて守護者の後ろへ隠れた。
「え? どうしたの?」
獅子は自分の顔を指差す。
「守護者様、ご覧ください。この落書きを」
牡牛も大きくため息をついた。
「私の角にも『バカ』と書かれていました」
(…やっぱり、勝負をしたいなんて言い出した時から、何かあると思ってたんだけど)
守護者は思わず苦笑した。
やっぱりこうなると思ってたから… 双子らしいといえば双子らしい。
(勝負しようって言い出した時から、何かあるとは思ってたけど…)
「双子、本当に君たちがやったの?」
「はい! 獅子は私です!」
「牡牛は私です!」
羊は思わず額に手を当てた。
(堂々と言うな!)
獅子が一歩前へ踏み出す。
「守護者様、少し目を閉じていただけますか」
牡牛も静かにうなずく。
「すぐ終わりますので」
二人が双子へ近づこうとした瞬間、守護者は慌てて両手を広げた。
「待って待って! 今日は私の顔に免じて許してくれないかな?」
「ですが…」
「今回はさすがに許せません」
守護者は困ったように笑った。
「お願い、私からちゃんと叱るから。もうこんなことはしないように言い聞かせるよ」
獅子と牡牛は顔を見合わせ、小さく息をつく。
「…守護者様がそうおっしゃるのでしたら」
「私も異論ありません」
その瞬間、守護者の後ろからひょこっと顔を出した双子は、
「べーーっ!」
と舌を出して二人をからかった。
「こらっ、双子!」
「ご、ごめんなさい!」
「もうしません!」
守護者は苦笑しながら二人の頭を優しく撫でる。
「うん、それでいい子だね」
「えへへ」
「えへへ」
その和やかな空気の中、羊が静かに声をかけた。
「守護者様、お時間です」
「あっ、もうそんな時間なんだ」
「お背中へどうぞ」
守護者は羊の背中へ乗ると、みんなへ向かって手を振った。
「それじゃあ、また来るね」
「はい!」
「待ってます!」
獅子と牡牛、そして双子に見送られながら、守護者と羊は再び星々へ挨拶をするため、広い宇宙へと飛び立っていった。




