15話
黄金の光は静かに消えていった。
砕け散った星々だけが宇宙を漂っている。
守護者はその場へ膝をついた。
「…」
声が出なかった。
目の前で何人もの仲間を失った。
羊。
獅子。
牡牛。
射手。
そして、天秤。
誰ももう立ってはいない。
静寂だけが宇宙を支配していた。
守護者は震える手を伸ばす。
まるで届くはずもない誰かを掴もうとするように。
「どうして…」
掠れた声が漏れる。
「どうして…」
涙が止まらない。
一粒、また一粒と零れ落ち、星屑だけが静かにその涙を照らしていた。
「どうしてみんなを…どうして…こんなことをするの!!!!!」
巨大な存在は静かに守護者を見下ろす。
何も答えない。
まるで泣き叫ぶ子供を見るような冷たい視線だった。
守護者は立ち上がる。
震える足。
それでも前へ進んだ。
「答えて…!何が目的なの!どうして黄道十二宮を…!」
巨大な存在はゆっくりと口を開く。
「知る必要はない」
「…!」
「お前も、間もなくあいつらの元へ送ってやる」
その声には怒りも憎しみもなかった。
あまりにも静かで、だからこそ恐ろしかった。
守護者は拳を握る。
(怖い… 逃げたい… でも…)
脳裏へ浮かぶ。
笑っていた羊。
ぶっきらぼうな獅子。
優しい牡牛。
騒がしい射手。
穏やかに微笑んでいた天秤。
(みんな… みんな私を守って… 私は…)
守護者は涙を拭った。
「私は… 守護者だから!」
残された星力を解放する。
淡い黄金色の光。
しかしその輝きは、先ほどまでの黄道十二宮とは比べものにならないほど弱かった。
巨大な存在は静かに見つめる。
「それがお前の力か、あまりにも儚い」
ゆっくりと腕を持ち上げる。
その腕に黒い闇が集まり始めた。
宇宙そのものが悲鳴を上げる。
ゴゴゴゴゴゴ…
守護者は歯を食いしばる。
(逃げない!みんなが命を懸けてくれたんだから、最後まで――!!)
巨大な腕が振り下ろされた。
「終わりだ」
ドォォォォォォォォォン!!!!
衝撃。
守護者の身体は一瞬で吹き飛ばされた。
「きゃああああぁぁぁぁぁぁ!!」
黄金の結界が砕け散る。
天秤が最後に託した星々が、
一つ、また一つと光を失っていく。
守護者の身体は宇宙を一直線に飛ばされる。
星々を越え、銀河を越え
どこまでも。
どこまでも。
(みんな… ごめんなさい…)
意識が少しずつ遠のいていく。
その先に見えたのは、青く輝く一つの惑星だった。
見たことのない星。
名前も知らない世界。
その星へ向かって、守護者の身体は流星のように落ちていく。
燃え上がる大気。
激しい風。
轟音。
意識は完全に闇へ沈んだ。




