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11話

獅子の号令と同時に、戦場全体が動き出した。


「牡牛!!俺が前へ出る!任せた!」


牡牛は大地を蹴る。


ドンッ!!


その一歩だけで宇宙が震えた。


全身へ黄金の星力を纏い、敵陣へ一直線に突っ込んでいく。


「守護者様には近付かせん!!」


轟音とともに拳を振るう。


ドォォォン!!


目の前にいた異形が吹き飛び、宇宙の彼方まで弾き飛ばされる。


「まだまだぁ!!」


その隣では獅子が巨大な剣を振り下ろした。


ギィィィン!!


黄金の斬撃が闇を裂く。


一体、また一体。


異形たちは次々と切り裂かれ、光となって散っていく。


「押し返せ!!まだ終わるな!!」


獅子の咆哮が戦場へ響く。


その姿はまさに百獣の王だった。


一方――


「近付くなよ!」


射手は後方から次々と矢を放つ。


シュン!!


シュン!!


シュン!!


放たれるたび、星の矢は敵を正確に貫いていく。


「右三体!」


「任せろ!」


光の矢が一直線に飛び、三体まとめて貫いた。


「ははっ!今日は調子がいい!」


その笑顔を見た守護者も、少しだけ胸を撫で下ろす。


(みんな…強いから、きっと大丈夫)


そう思った、その瞬間だった。


宇宙全体が静まり返る。


戦っていた星座たちも。


異形たちも。


誰一人として動かない。


「…?」


守護者は違和感を覚えた。


静かすぎる。


あまりにも。


やがて、裂け目の奥から黒い影がゆっくりと姿を現した。


巨大だった。


惑星よりも。


恒星よりも。


星雲すら覆い隠してしまうほどの巨大な存在。


誰もその姿を言葉で表せない。


ただ一つだけ分かった。


「あれは…」


「危険だ」


本能がそう叫んでいた。


獅子は無言で剣を構える。


牡牛も拳を握る。


射手は矢を番えたまま、その存在を見上げる。


「全員」


獅子が低く呟く。


「構えろ」


巨大な存在はゆっくりと一歩踏み出した。


ゴゴゴゴゴ…


その一歩だけで宇宙全体が悲鳴を上げる。


星々が震える。


空間が軋む。


守護者は思わず息を呑んだ。


(これが… 記録に残されていた"彼"…?)


巨大な存在は何も言わない。


ただ、ゆっくりと腕を持ち上げた。


「来るぞ!!」


獅子が叫ぶ。


次の瞬間――


ドォォォォォォン!!!!


黒い衝撃が宇宙を薙ぎ払った。


「ぐっ!!」


真正面で受け止めた獅子の身体が大きく吹き飛ぶ。


黄金の鎧は砕け、巨大な剣も弾き飛ばされた。


「獅子!!」


牡牛が咆哮を上げる。


「守護者様には近付けさせん!!」


全身へ星力を集中させ、真正面から突撃した。


しかし。


巨大な存在は片手を軽く振っただけだった。


バァァァン!!


「がはっ…!」


牡牛の巨体が紙切れのように吹き飛ばされる。


そのまま遥か彼方へ落ちていった。


「牡牛ぃぃ!!」


射手は歯を食いしばる。


「だったら俺が!!」


シュン!!


シュン!!


シュン!!


無数の光の矢が放たれる。


だが。


一本も届かない。


巨大な存在へ触れる前に、すべて闇へ飲み込まれて消えていく。


「…嘘だろ」


その言葉を最後まで言い終えることはできなかった。


巨大な存在が射手へ視線を向ける。


ゾクッ――


全身へ悪寒が走る。


「しまっ――」


バァァァン!!


見えない衝撃が射手を飲み込んだ。


「ぐぁぁぁぁっ!!」


身体が大きく弾き飛ばされ、そのまま星々の向こうへ消えていく。


「射手ぇぇぇぇぇ!!」


守護者の叫びが宇宙へ響く。


獅子。


牡牛。


射手。


三人とも。


たった一撃。


たった一度の攻撃で戦場から姿を消した。


守護者の足が震える。


「そんな…みんな…」


昨日まで笑っていた。


さっきまで話していた。


その仲間たちが、一瞬で倒された。


巨大な存在は何事もなかったかのように歩き続ける。


一歩。


また一歩。


その進む先には――


守護者だけがいた。


羊は静かに守護者の前へ立つ。


天秤も剣を抜き、守護者の横へ並んだ。


「守護者様」


羊は振り返らない。


「ここから先は、私たちがお守りします」


巨大な存在はゆっくりと口を開いた。


低く、重く。


宇宙そのものを震わせる声。


「見つけたぞ――守護者」


その一言だけで、


守護者の全身から血の気が引いていった。


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