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第126話 権天使(複数視点)

ー 天界 ー

(サクヤ視点)


「久しぶりねNo.103」


『…今はNo.32だよ。サクヤ』


「そう簡単にわたしより酷くなることはないか」


『この前の試験でやらかしちゃったから、その内No.4より下になるかもね』


「悲観的ね」


『まぁね。向こう1000年試験を受けれないからさ…でもまぁこの作業で成果を上げれば評価も上がるでしょう。恩赦を期待して頑張ってるわけよ』


「なるほど、他の天使より作業効率がいいのはそのせいね」


『そういうこと』


突如アナウンスが響き渡る


「ポーン」


個人アナウンスよね、コレ。


「アナタが管理する転生者ガレスが称号"奴隷王"を獲得しました。称号特典により徳100000を獲得しました」


ガレスのやつ、称号獲得したのね奴隷王って一体どんな称号よ。


「ポーン」


「アナタの徳が規定量に達しました。大天使から権天使に昇格します」


おおっと権天使なっちゃったわ。


『…どうしたのよ、急に呆けて』


「大天使から権天使に昇格したわ」


『マジ?1回の試験で2階級昇格なんてすごいわね。おめでとう』


「…ありがとう。私からしたらアナタが素直に祝ってくれた方が驚きだわ」


『アンタに張り合おうとすると碌なことにならないと学んだだけよ』


ガレスのやつ、私が権天使なったから加護がステータス5%アップから10%アップになったはず。周りの奴隷も充実してきたし、人間としてかなり強くなってきたわね。


『……』


「どうしたのNo.32?」


『見つけた。反応があったよ』


「反応があった場所は予想どおりか。しかし、本当に見つけるとは、凄いわね」


『何を無責任なこと言っているのよ。アンタが言い出してナンバーズを動かしたのでしょう。成果がなかったら恨んでいたわよ』


「まずはメーテル連隊長に報告しないとね」


・・・・・・

(ガレス視点)


『…ガレス、ガレス、起きなさい、神託よ』


「…う〜、まさか神託で起こされるとは思ってなかった」


『これでもか気を使った方よ。ヤッてる最中に神託しなかっただけマシと思いなさい』


「確かにな…あ、そういえば権天使に昇格してたな。おめでとう」


『ありがとう。まぁガレスのお陰だけどね。』


「で、なんの用だ?」


『ある国を調べて欲しい』


「どの国だ?理由は?」


『まだ調査段階だから慎重に行動して欲しいのだけど、調査する国はー』


・・・・・・


「かなり厳しい。調査はするけどな…」


『期限は区切らないから、慎重にね。頼んだわよ。それじゃ』


「…まずは奴隷たちと情報共有かな」


ん?なんか1階が騒がしい。

クラン宵の月はクランハウスを購入しておりおおよそのメンバーはクランハウスに住んでいる。当然ながら来客もクランハウスに来るわけだ。


それなりに身なりを整え1階に降りる。すると見知らぬ冒険者が騒いでいるのが見えた。


「ルカさん何かありましたか?」


ニーナが妊娠中で体調が不安定なので、宵の月の事務としてシスティーナさんとルカさんが手伝ってくれている。本人達は冒険者ギルドを辞めて宵の月に事務として就職しようとしたらしいが、アランさんが『主力の引き抜きはやめてくれ』と泣いて頼むので今は副業みたいな形になっている。弧月が目下ダンジョン攻略中であり、深層から珍しいアイテムが入手出来ている状況だ。先日のバーバラの素材の売却益もありクランの懐は温かい。事務が数名増えようが余裕で対応できる。


『冒険者が訪ねてきてるんですけど、言ってることが本当かどうか分からなくて困ってたっす』


「なんて言ってるの?」


『システィ先輩が対応してますけど、アレクさんの妹だって言ってるみたいっすよ』


「今、弧月はダンジョンに潜ってるからアレクさんに確かめようがないか。とりあえずオレが対応するよ」


『よろしくっす、クランマスター』


一応、オレがクランマスターなんだよな。弧月のメンバーを差し置いて何故オレがって感じだけど、後ろ盾のクリス様と繋がりが深いのがオレということでクランマスターを任されている。


「ノゾミ、ちょっと来てくれるか」


『ああ、いいよ』


「今の話、聞こえてた?」


『ええ、聞こえてたわ。判定すればいいのね?』


「頼むよ」


2人でシスティーナさんの所に向かう。


「システィーナさん代わりましょうか?」


『ガレス君…じゃなかったクランマスター』


『クランマスター?貴方が宵の月のクランマスターであるガレスさんですか?』


「そうだけど、君は?アレクの妹ってことらしいけど、本当?」


『はい、私はサーシャと言います。お兄ちゃんの、アレクの妹です』


ノゾミに視線を送ると頷いた。妹であることは本当らしい。となると目的は何かだ。


「あいにくアレクは不在でね、今ダンジョンに潜っている。あと2〜3日は戻らないんじゃないかな」


『そうなんですね…でも、それならそれで構いません。私はガレスさんに用事があったのです。今、直接会えたのでお話を聞いていただけますか』


「オレに話?構わないけど、何かな?」


『私も冒険者をしています。今はまだDランクですけど、これからもっと強くなるつもりです。その、何でもしますからクランに加入させてください!』


クランへの加入かぁ、基本的に断ってるんだよな。一応、リンドブルム王国で最も実力があるクランなわけで、募集はしてないのに加入希望者があとをたたない状況だ。1人加入を認めれば、オレもオレもと更に加入希望者が増えるだろう。あまり良い未来は見えない。まずはアレクの意見を聞きたい。


「アレクは加入のことを知っているの?」


『はい、もちろんです』


「ふーん、じゃぁ君が冒険者をやっていて既にDランクであることも知っているわけだ」


『はい、その通りです』


おーい、顔が引きつってるぞノゾミ。アレクは加入のことを知らないどころか、妹が冒険者をやってることすら知らないのね。よくもまぁ可愛い笑顔で嘘がつけるよな。


「分かった。クランの加入は前向きに考えておくが、とりあえずアレクが戻ってきてからかな」


『あ、兄には許可をもらっているので、すぐにでも加入させてくれませか。その覚悟もしてきたつもりです』


覚悟?ウチのクランに入ろうとするのに覚悟ってなんだ?するとノゾミがまともなことを言う。


『ガレス、嘘を把握していることを含めてちゃんと話をした方が良いと思う。アレクの妹さんなんだから』


それもそうか。


「あのさ、サーシャちゃん。アレク許可もらってるって嘘だよね。それどころか君が冒険者をやっていることすらアレクは知らない、そうだね?」


『うぅ、それは、その…』


「隠しても無駄だよ。分かるから。そんなすぐにバレる嘘ついてどうするの?」


『既成事実を作ればクランに入れるって聞いて、それで…』


「既成事実って…何?」


「巷では宵の月に加入するにはクランマスターのガレスさんと関係をもてばいいって噂になってます」


誰だそんなとんでもない噂を流したのは?


『まさか、クラン加入をエサに女を貪っていたなんて、最低だわガレス』


ノゾミが汚物を見るような目で見る。


「ノゾミ、悪乗りするな。そんなわけないだろう」


『でしょうね、その噂が本当ならガレスと関係を持っていない私はクランにいないものね』


『噂は間違っていたんですね…』


「しかし嘘ついてまで…噂が本当だとしたら、オレにヤラれてまでウチのクランに入りたかったのかい?」


『ありきたりな理由ですよ。子供の頃冒険者に憧れていただけです。兄ばかり子供の頃の夢を叶えてズルいです。私は女の子だから冒険者にはなるなって…女性の冒険者だって沢山いるのに。アイシャ姉だって冒険者なのに納得いかないです』


「そうか…まぁアレクを説得できたらクランに入れてやるよ」


『本当ですか!?』


「ああ、いいよ」


ノゾミが怪訝な顔をする。


『ちょっといいの?勝手に決めて。まぁアンタがクランマスターなんだからその権限はあるんだけどさ』


「どうしてもダメならアレクが止めるだろ…えっと、サーシャちゃんとりあえず、空いてる部屋を使っていいらここでアレクを待つかい?」


『はい、そうさせてください!』


こうしてアレクが戻ってくるまでクランハウスにサーシャちゃんを住まわせることになった。


・・・・・・


サーシャちゃんは最初こそ嘘をついていたが、とても良い子でシスティーナさんとルカさんをお手伝いをしながらアレク達を待っていた。


「ねぇサーシャちゃん、巷で流れてる噂って、アレ本当?」


『ええ、本当ですよ。だってラーニャさんやミレーヌさんとも関係を持っているんですよね?あの2人が体を許す理由が分からなくて色々な噂がたってますから』


あー、この国で最強クラスの女性2人だものな。酒の肴にはもってこいの話になっちゃうか。


「その中で有り得そうな噂がクラン加入条件が肉体関係ってことか」


『ええ、妻か恋人がいない女性はガレスさんに体を提供するとこが条件なんじゃないかと噂されてます』


酷い噂が流れたものだな。


「しかしその条件だとアイシャさんまでオレと肉体関係があることなるよな。そんなわけないのに」


『…今、何て言いました?』


おやぁ?可愛いサーシャちゃんが鬼の形相をしているのだが…オレ何か地雷踏んだか?


『アイシャ姉が何ですか?』


「えっ?えーと、妻か恋人がいない人がオレに体を提供することが条件ならアイシャさんもその条件に当てはまるって言ったんだけど…」


『つまり、ウチのヘタレ兄はまだアイシャ姉と恋人関係になってないと。そういうことですか?』


ああ、その話か。ラーニャさんもアレクのヘタレっぷりには霹靂してたな。


「そういうことになるね」


『ふふふ、兄が帰ってきたら話すことが1つ増えましたね。トコトン話そうと思います』


あー、すまんアレク。どうやらオレは地雷を踏み抜いたらしい。強く生きてくれよアレク。


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