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第122話 好感度UP

エリクサーの精製は一段落し、いまは熟成期間に入っている。4~5日すれば完成と言っていた。

だから暇になったわけだが、珍しくキャロルが自己主張してきた。


『冒険者ギルドに行きたい』


「別に構わないが、何かするのか?」


『ネコ耳やイヌ耳を愛でたい』


ラドン王国は獣人国家だ。ここアルアインは多くの商人が集う街なので人族の方が多くいるように見えるが、バスクよりは遥かに多くの獣人が住んでいる。


「オレも一緒に行こう」


キャロルは後衛だから荒事が発生した場合1人では対応できないだろう…斯く言うオレも紛うことなき後衛なのだが。


『皆で行きましょう。私も興味あるし』


フローラも行きたいらしい。何だかんだ可愛いもの好きなのだろう。結局全員で行くことになった。


・・・・・・


― 冒険者ギルド ー


『あの娘、可愛い…あっちの人、フッサフサだ。触りたい』


獣人には複数の部族がある。猫、狼をはじめ、獅子、虎、狐、兎、などなど。

そして体の獣の部分も個人差がある。耳だけだったり、上半身が獣で体毛フッサフサだったりするわけだ。それを見てウチの女性陣が盛り上がっている。獣人の強みは身体能力の高さにある。パワー型の種族もいるが、やはり一番多いのはスピードが強みとなる種族だ。スピード型の種族は得てして装備が軽装であり、女性は際どい装いな者もかなりいる。良い目の保養である。そんな感じでエロ目線で眺めていたら怖い顔した狐の姉ちゃんに声をかけられた。


『なんでアンタのような奴隷を雇うクズがこのギルドにいるのかしら?メシが不味くなるから出てって欲しいわね』


おお、この"奴隷の主はクズ野郎"ムーブ、久しいな。バスクだとオレにそんなことを言うやつはいないからな。この狐の姉ちゃんのタグはAランク。オレと同じランクならこのでかい態度もうなずける。格好からして魔法使いかな。どうしよう。多分この姉ちゃんだけなら勝てる。だが獣人は同族を大事にする傾向にあると聞いた。オレとこの姉ちゃんが喧嘩になって、ギルドにいる獣人が全員が敵に回ったらさすがに勝てない。

すると周りから野次馬の声が聞こえてくる。


『狐のが揉めてるぜ』


『人族なんて放っておけばいいのにな』


『狐族はプライドが高いから許せねぇんだろうよ』


などなど。獣人が同族を大事にするってのはそういうことか。獣人全体ではなく本当に同族だけなのね…狐の獣人もチラホラいるがちょっとだけ反発してみるか。などと考えていると勝手にウチのメンバーが反発した。


『マスターをけなす言動はいただけないねぇ』

『可愛いけどマスタを悪く言う人は許せない』

『人を見かけで判断しない方がいいな』


狐の獣人が若干怯むが、お決まりの文句を言い返してくる。


『そ、そう言うように事前に奴隷の命令しておいたのだな。卑怯なやつだ!』


やれやれ、ウチのメンバーの機嫌を悪くしないで欲しい。言い争いになりそうな雰囲気だが、リディアが制した。


『皆、落ち着いて…貴女は、ガレス様が奴隷に命じて発言させた言ったけど、私は奴隷ではない。奴隷でない私が言うわね。ガレス様はクズではないわ。ちゃんと奴隷を人間として扱っている。そしてガレス様ほど信用できる人間はそうはいないわ』


狐の獣人は困ったような顔をしているが、引っ込みがつかなくなったのか、さらに暴言を重ねる。


『ふん、貴女はこの男の女なんでしょ?複数の女をはべらすなんて碌な男じゃないわよ』


おいおい、場を制しようとしたリディアもちょっと怒っている感じがするし、オレが何とかするしかないか?そう思っていたところ、ギルドの奥から声がした。


『何を騒いでいる。ギルド内の喧嘩はご法度だぞ』


『ギ、ギルドマスター…』


ギルドマスターは狼の獣人か?


『別に喧嘩してるわけじゃないわよ。ちょっとした忠告をしたら喧嘩を売られただけよ』


この狐、あれで喧嘩を売られた側と言い張るか。これを聞いたメンバーもキレ気味で、普通に反論する。


『はぁ?喧嘩売ってきたのはアンタでしょ。ギルマスに怒られるのが怖いからって嘘をつくのは良くないわ』


『なんですって!?』


女狐とウチのメンバーが盛り上がってる中、ギルドマスターは一瞬オレに目線を向けた。そして女狐に話始める。


『おい、どっちが喧嘩を売ったなんてことはどうでもいいが、喧嘩するなら勝てる相手とするんだな。わざわざ自分より強い相手と喧嘩するなんて馬鹿か?命がいくつあっても足りんぞ』


『なっ!ギルマスはこんな奴に私が劣るというのかっ!』


『ああ、劣る。火魔法が得意なお前との相性も最悪だ』


さすがにギルマスはオレのことに気付いているな。ギルマスがオレの目の前に来る。


『オレは冒険者ギルド アルアイン支部のギルドマスター、グスマンだ。火の愛し子ガレスだな。ウチのギルド所属の冒険者が迷惑をかけてしまいすまなかったな』


周りがざわつく。


『あれが火の愛し子か』

『通りで奴隷を連れているわけだ』

『だからエルフも一緒にいるのか』


引っ込みがつかなくなった女狐は口をパクパクさせている。何か言いたくても言葉が出ないのか?


『ちょっとばかし話がある。すまんがオレの執務室に来てくれ』


ギルマス直々の話?あまりいい予感はしないがちょっとした騒ぎになっていたこの場から抜け出すには丁度いいか。


「承知した」


・・・・・・


『適当に座ってくれ。サルマン商会にお前さんが来ているとは聞いていた。連絡を取ろうとしていたが、偶然ギルドに来ていたみたいだな、丁度良かったよ』


「ちょっと茶を飲みに寄っただけさ」


獣人を愛でるためとは言えない。


「それで要件は?」


『塩漬け案件を1件片付けて欲しい』


塩漬け案件かよ。ここの冒険者は獣人が多いはずだ。獣人の身体能力を持ってしても討伐できない魔物がいるのか?正直、今回戦うつもりはなかったから強敵は勘弁して欲しいのだが。


『獣人に超絶不人気な案件があってな、かと言って人間の冒険者だとしたらAランク、最低でもBランクくらいの実力が必要になる魔物だ。まぁそうは言っても魔物が強いわけじゃない。単純な強さでいえばCランク冒険者でも撃退はできる。ただし異常に素早い。そして切り札が獣人との相性最悪なんだ』


「切り札?」


『討伐して欲しい魔物はソリージョ。ピンチになると屁をこいて逃げるのさ』


そういうことか、嗅覚が鋭い獣人にとっては最悪の相手だな。敬遠されるのも頷ける。


『そのソリージョが敬遠され過ぎてな、群れをなした。山1つ占拠している状況だ。いくら大して強くないと言っても、群れを成すと脅威度が上がる。山の近くの道をよく通る複数の商会から何とかしろという苦情が多くなってきて頭を悩ませていたんだ』


どんだけ数がいるんだろう。


「オレに依頼ってことは燃やしてもいいのか?」


『燃やすのは最終手段にして欲しい。出来れば食料として狩って欲しいってのが本音だ』


「食えるのか?」


『おう、美味いぞ』


ふーん、ソリージョは大して強くないというから、命の危険はなさそうだ。この依頼をこなせば獣人からの受けも良くなるかもしれない。好感度UPのために受けてみるか。


「その依頼受けさせてもらう」







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