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第117話 「プールの幽霊」風紀委員の強襲

「許可は取っています?桜井さん?」

佐々木はそう言ってこころに対し、半分笑いながら聞いた。


「許可は…不要と考えています」

こころは少し言葉を選んで答えた。


「どうして?生徒会の管轄だから?だとしたら、そこにいる人達は?生徒会?見たこと無いけど…」

佐々木はそう言って東一郎たちを指さした。


「私的に学校の空き教室や倉庫を利用して良いと思ってるの?信じられない!」

立花美春はキンキンと響く声で叫んだ。


「この人達は関係ありません。私が利用しても問題ないと思ったからです」

こころは揺るがずにそう言った。


「生徒会の人たちはこの事を知っているのですか?」

「いいえ。知りません」

「はぁ!?知りませんってなに?開き直っているの?」

立花美春は挑発的な言い方でこころに言った。


「教室に残って勉強する事も可能ですが、説明をしながらやりたかったので、この部室を利用したのです」


「それをアナタが勝手に、旧部室棟の空き部屋を利用したってこと?呆れた!そんな好き勝手にできるのが生徒会なの?」

立花美春はそう言ってこころを責め立てた。


「まぁまぁ、立花くん落ち着いて。でも、これって流石に風紀委員としては見過ごせないな。これは生徒会及び先生方にも広く知って貰う必要があるかと思うよ」

佐々木はまるで勝ち誇ったかのような顔でこころにいった。


こころは表情を変えずに、話を聞いていたが特に反論しなかった。


「おい、ちょっと待てよ。なんだよ報告って?別に勉強してるだけで、お前らに何か迷惑かけたのか?」

東一郎は思わず口を出した。


「ほう。ルールをルールと認めず好き勝手に使っても良いとそう言うことを言いたいのですか?」

佐々木は東一郎に対し、自信満々に言った。


「はぁ?別に大したことしてないだろっての。タバコ吸ってただの、悪さしてたならともかく勉強してただけだろ」

「でも、ここは生徒会が管理している部室で一般開放されていません。桜井さんは生徒会役員であることを良いことに、私的利用した事が問題なんですよ!」

佐々木は東一郎に対し自信満々に言い放った。


「あ、あの人確か、生徒会長選挙に出てた人だ」

エマは佐々木を見て思い出したように小声で言った。


「え?そうなの?」

ヤマトはエマに聞いた。


「うん。確か生徒会長選挙に負けたから、そのまま誰も立候補していなかった風紀委員長に立候補して、無投票で受かってた人だよ。確か…」

エマは小声でヤマトにいった。


「ふん。だからこんな生徒会じゃ、任せられないって生徒諸君に伝えなくては!」

佐々木はエマとヤマトの会話が聞こえたのか?急に生徒会批判が目的であると告げたのだった。


「おいおい。ガキじゃねーんだから、逆恨みはかっこ悪いぞ」

東一郎はそう言って佐々木に声をかけた。


「はぁ?アンタ何いってんの?」

それを聞いた立花美春は金切り声で東一郎に言い返した。


「随分失礼だな。君。逆恨み?風紀委員長として学校の風紀の維持に努めてるだけだよ」

「で?何か風紀に引っかかることは?部屋の無断利用と風紀の関係がよくわかんねーだけど?」

東一郎は佐々木の目の前に行くと、見下ろしながら言った。


「随分態度が悪いな。こんな生徒と生徒会の役員である桜井さんは付き合いがあるとはね」

佐々木はそう言って不遜な態度の東一郎を見ていった。


騒ぎが続くに連れて何処からともなく生徒たちが集まって中の様子を伺っていた。本来あまり使われていない旧部室棟にこれだけ多くの生徒が集まることはないため、どうやら風紀委員の誰かが連れてきたのだろう。10名ほどの一般生徒が中の様子を興味深げに見守っている。


「今回の件は、私の独断で行っています。それが校則違反とは思っていませんが、無断の私的利用というのであれば、責は私が負います」

こころは真っ直ぐに佐々木を見据えていった。


「何いってんだよ!こころちゃん!こんな理不尽な言いがかりに、一々反応する必要ないっての!」

東一郎はこころに言ったが、こころは東一郎にニコリと笑顔を向けるだけだった。


「おいおい、なんか凄いことになってね?」

「え?なにアイツラ出来てんの?ショック…」

「勝手に使っていいなら、俺らだって使いたいわ!」

「なんだよ生徒会もやりたい放題じゃん」

後ろに集まった生徒たちは口々に生徒会やこころを批判した。


「生徒会の前代未聞の失態ですよ!さぁ!どうするのですか?」

勝ち誇ったような顔で、佐々木はこころに言い放った。


「さっさと辞めちゃえばいいのよ!」

立花美春は批判的な意見をこころにぶつけた。

後ろに集まった生徒は更に数が増えて1数名ほどいたが口々に言いたいことを言っていた。


こころはギュッと拳を握りしめると、表情を変えずにただ前を見据えていた。

東一郎は佐々木に殴りかからんばかりに、睨みつけていた。

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