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第114話 「プールの幽霊」正体見たり

東一郎は気がつくとあたりを見渡した。どうやら旧水球部の部室の中のようだ。

部屋は電気がついており普通に明るかった。


「あ、目覚ました?」

明るい声が聞こえると教室に人が入ってきた。


「!!?」

東一郎は声の主を見て思わず絶句した。先程の少女だったからだ。


「ごめんねぇ。ほんのイタズラのつもりだったのが…あはは」

夏服の少女はそう言うとバツの悪そうな笑顔で東一郎に侘びた。


「ちょ、ここは?てか?あれ?俺は??」

東一郎はいまいち混乱したまま、少女の事を理解できずに居た。


「アタシは村山璃子。3年生!よろしくね」

「いや、あれ?」

「ああ、本当にごめんね。アタシはこの旧部室棟に今でも部屋がある軽音楽部なの。ほら軽音って音楽室使える日週1しか無いから、旧部室棟で練習してんの。えへへ」

どうやら勝手に旧部室棟を使っているという事なのだろう。璃子は悪気なく笑っていた。


「ああ、そうなんだ。それはそうと…!?」

東一郎は自分の姿にギョッとした。


下半身に見覚えのない女物のタオルが巻かれていたのだ。


「あー、本当にごめんね」

「え?これ?どういう事?」

東一郎は混乱しながら璃子に尋ねた。


「うーん。なんていうか、漏らしちゃった?」

「は?はあ!?そんな訳ないだろ!」

東一郎は慌てて否定すると、タオルを確認した。タオル以外何も身に着けていなかった。


「あ、大丈夫。今洗って干してあげてるから」

そう言うと璃子は窓の方を指さした。窓枠に東一郎のパンツと制服のズボンが干されていた。


「うそ!?うそだ!嘘だ!」

東一郎は慌てて立ち上がると否定したが、はらりとタオルが落ちかかるのを必死に押さえた。


「だから、ゴメンってば。大丈夫ちゃんと拭いてあげたからもう平気だよ」

「いや、いやいやいや!俺がそんな…」

「ふふん。大丈夫。なんにもイタズラしてないから!」

そう言うと璃子は笑いながら東一郎のお尻をぱちんと叩いた。


「いや、そんな訳ないだろ!俺が!?」

東一郎は信じられない思いをぶつけたいが、まるで少女の恥じらいのような表情で言った。


「アタシもやりすぎたって反省してます。ゴメンね」

璃子はニコリとしながら悪びれること無く謝った。細身の身体で、ショートカットの似合う少し大人っぽい少女だった。


「!!?」

東一郎は恥ずかしさと驚きとが入り混じった複雑な気持ちだったが不思議と怒りの感情はなかった。


「でも男の子って重いんだねぇ。椅子に持ち上げるの大変だったんだから」

璃子は他人事のように東一郎に文句を言った。


「いや、そんなの頼んでないし…ていうか、そもそもアンタのせいで!」

「璃子さんね。アンタじゃなくて!」

「いや、そこ!?じゃあ、その”璃子さん”のせいでこうなったんだろ?なんでそんなマネすんだよ!?」

東一郎は璃子に文句を言おうと思ったがなかなか良い言葉が出てこなかった。


「いや、何か二人慌てて帰っていったでしょ?で、様子伺ってたらちょっとからかいたくなっちゃって…てへ!」

璃子はそう言って下をぺろりと出して自分の頭をコツンと叩いた。


「はぁー。もういいや。でも超焦ったよ!マジで!」

東一郎は悪びれない璃子に呆れつつも、なんだか面倒に感じて、軽めに文句を言った。


「で?どの娘狙ってんの?お姉さんそう言う話聞きたい!」

「はぁ?狙ってねーよ!何いってんの?」

東一郎は慌てて否定した。


「え?マジ?」

璃子はキョトンとした顔をして言った。


「ああ、マジもマジ。俺は別に誰とも付き合っちゃいないし、そう言うの別に良いんだよ」

東一郎はそう言うとフンと鼻で息をして腕組をした。


「それは健全じゃないぞ。若者よ!」

璃子はそう言うと、東一郎のタオルの上から股間をポンと叩いた。


「お!おい!!何すんだよ!」

東一郎は結構本気で文句を言った。


「ふーん。でもあの子達、絶対君のこと好きだよね。かわいそー」

璃子はニヤリと笑うと東一郎の正面にある机に片膝を抱えるように座った。彼女の白い太ももが露わになると、東一郎は思わず目をそらした。


「い、いろいろあるんだよ」

東一郎は璃子の方を向かずに言った。


「ふーん。色々ねぇ…」

璃子はそう言うとマジマジと東一郎の顔を見ると、東一郎の近くに歩いてきた。


「ちょ?な、何?」

東一郎は至近距離に来た璃子に戸惑いながら言った。


「えい!」

璃子は突然、東一郎のタオルをパッと奪い取った。


「ちょ!な、何してんだよ!」

下半身が完全に露出した東一郎は慌ててタオルを奪い返すと、再び必死で隠した。


「うふふふ。カワイイなぁ」

璃子は完全に東一郎を舐めているのが分かった。東一郎も今でこそ高校生だが、転生前は遊び人としてもそれなりにやってきた。


ガキに舐められるてたまるか!?と内心思ったが、グッと我慢した。


「あ!もうこんな時間じゃねーか!」

時計を見て焦った東一郎は思わず声を上げた。時計はもう夜の10:30になっていた。


東一郎はさっと立ち上がると、窓際に干された自分の下着とズボンを取るとパッとタオルを置くとさっさと身につけた。


「きゃ!ダイタン!」

その様子を見ていた璃子は、一瞬下半身が露出した東一郎を見て言ったが、東一郎は完全に無視した。


「うぅ…気持ち悪い…」

まだ全く乾いていない下着とズボンを履いた東一郎は、不快感を露わにした。


「ほらほら。もう少し乾かしたら?」

璃子はのんびりと言った。


「いやいや、”璃子さん”は良いのかよ?こんな時間になっても帰らなくても?」

「うん。親が転勤で引っ越したから、アタシいま一人暮らしなんだよね〜」

「だからってこんな時間まで…」

「そりゃ、普段はこんな時間まではいないよ。あそうだ!ねぇ?だったらウチまでくる?来ちゃう?」

璃子は東一郎の腕を無理やり組むと東一郎の耳元で囁いた。


「ふ、ふざけんな!行くわけ無いだろ!」

璃子の体温を感じる距離感と、腕越しに伝わる彼女の柔らな胸の感覚、そしてあまい香りにクラクラとしながら、東一郎は怒ったような声で言った。完全に手球に取られている。


「真面目だなぁ。あははは」

璃子は可笑しそうに笑うと、突然東一郎の頬にキスをした。


「な!?なに!?」

「君はカワイイね!うふふ」

璃子はいたずらっぽい笑顔で笑った。東一郎は明らかに自分よりも年下の少女にいいようにやられるのに、何も言えなかった。

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