なんのエラーメッセージ?
「この怒り、奴らに突き刺して貫いてやりたい。」
会ったことのない、全く面識もない3人の女性だが、気の毒という感情はもう遠の昔に突き抜けていた。
結子の全身は、同じ女性としての尊厳を守るために、彼女たちに代わって鬼畜の男たちに処するべき厳罰を下したいという気持ちに包まれていた。
フツ、フツ、フツと沸き立っている情念が支配している。
結子の表情をじっと見つめていた両掌で、テーブルの上で怒りに固められた結子の握り拳をぎゅっと包み込み
「水戸先生。私たち、なんとかして奴ら、特に首謀者親子に鉄槌を喰らわせてやりたいの。」と胸の内を明かした。
結子も
「私もまったく同じ気持ちです。何か私にできることがあれば、全力で協力します。」と応えた。
丸山と伊勢崎も頷きながら
「ありがとう。一人でも仲間がいてくれると心強いわ。」
「そうと決まれば、丸山先生か私の研究室で、4人で時間を合わせて作戦会議を開きましょう。」
助教授の二人は学内に研究室を与えられている。
非常勤講師の横川と結子には、決められた非常勤講師用の専用控室が1日与えられるのだが、その都度臨時に割り与えられる当日のみの部屋でしかない。
結子と同じ非常勤講師なので、週4勤務の横川でも、毎回どの部屋になるかわからない。当日割り当てられた控え室を使うことになっている。
横川の
「水戸先生が、週2勤務だからその時にそれまでそれぞれで集めた情報を持ち寄る形で。」
という言葉を受けて、結子も続ける。
「そうしましょう。
私は、週2勤でもその週2日は、できるだけ長く大学にいるようにしますから、4人で揃わなくても、お3方のうちの誰かとできるだけご一緒させてください。」
流石に乾杯はしなかったが、4人の結束を確認するように、結子の歓迎会は熱を帯びた。
終電の一本前の電車に、丸山と伊勢崎と横川の3人にプラットホームで見送られて、結子は電車に乗り込んだ。
走り始めた電車の窓から、見送ってくれている3人に手を振り、一息ついて鞄からポケットWi-Fiを取り出して電源を入れた。
少し飲みすぎたかな。
熱くなったし。
それにしても許せない。
さっきの飲み会でのいろんな感情を思い出しながら、スマートフォンの画面ロックを解除する。
スマホにWi-Fiマークが表示されない。
「ん?」
ポケットWi-Fiの電源を確認するため一度鞄にしまったポケットWi-Fiを取り出して見る。
ポケットWi-Fiの初期画面に、初めて見る文字が表示されていた。
「HeaLing」
「HeaLing?なんのエラーメッセージ?」
スマートフォンが振動して、画面に初めて見る「3件」と「開く」のアイコン表示された。
不在着信数でもメール受信数でもない。
職業柄セキュリティソフトは、スマートフォンとパソコンと連動させてある。
飲み会でのメンバー待ちの間に受信メールの確認をした時は、パソコンもスマートフォンともに、なにも異常はなかった。




