見張りを置いて、役割を交代しながら、順番に、という手口
イベントサークルの親睦会と称して開かれた学生の飲み会で、睡眠薬を仕込まれたお酒を飲まされた女性3人が眠らされて、無意識のまま無抵抗状態の彼女たちを5人の男生徒が代わる代わる弄び、行為に及んでいる動画や写真を撮られ、その後も関係を強要させられたという忌まわしい出来事だった。
25年くらい前に発覚した、全国的にも知られたある都市部の大学での事件。
発覚した時にはすでに、何年も前からマニュアル化された形に基づいて常習的に行われていて、都市部の有名大学の学生たちが実刑判決を受けて重大な社会的問題として波紋を呼んだ事件である。
あの事件と同じ手口の事件が数年前、この地域の大学でも起きていたようだと、地元だけでなく隣県の地域にまで囁かれた時期があった。
しかし、主犯と目された男生徒が、隣県から国政選挙制度の恩恵で、復活選出された議員の血縁者だったので、積まれた金額に主要な地元マスコミは沈黙したに違いないと揶揄されるほど。
マスコミが一斉に後追い取材をやめてしまったこともあって、都市部の大学の時のような騒ぎにはならなかった、というのと、復活当選さえなければ、というのがSNSを中心としたインターネット界隈での大半の見解だ。
都市部の大学の時のような「初めて暴かれた闇」のようなセンセーショナルなインパクトもない。
むしろ二番煎じに見えてしまうことを、全国的に煽りあげることに労力をかけるよりも、マスコミは何もせずに「ただ黙っていれば貰える」お金で、沈黙したのだろう、と言うのが事件の話を知る人たちの共通認識である。
隣県に住む結子でも、マスコミの沈黙理由も含めて、この話を噂話レベルでは知っていた。
25年くらい前の事件の際も、結子の地元地域選出の国会議員の息子が主犯格の一人らしい、という情報が回ってきたので覚えていて、同じことが隣県の大学でも起きていた、ということと、マスコミの沈黙理由にやり場のない憤りを覚えて、驚きを通り越して心底呆れ果てたので覚えていた。
まさかその大学に、自分が非常勤講師として通うことになるとは思っていなかったし、結子が聞いた時の噂話には、大学名は含まれていなかった。
しかし大学に講師として招かれはじめてすぐの頃、仲良くなった助教授たち女性3人、丸山桃花、伊勢崎園子、横川義果が開いてくれた歓迎会で聞かされて知った。
その事件は、この大学で起きた事件だと。
その際、隣県から選出された国会議員の血縁者だと目された主犯格の男生徒は、25年前の事件当時の主犯格の一人と言われていた奴の息子だということも。
「親子揃ってゲスの極みじゃないですか。」
結子は思わず声に出してしまったほどだった。
「よかった。水戸先生も、私たちと同じ気持ちを持ってくださるんですね。」
「当然じゃないですか。
というか、少なくとも良識ある世の女性なら誰しも、断固として許せない気持ちで同じでしょう。」




