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当然のように3人目の二人は実在した

 大学の教務課に出勤の挨拶をすると、受付の職員さんが

「水戸先生、おはようございます。

 今日もよろしくお願いします。」と言いながら、指定の控え室の部屋番号と結子の本日のスケシュールがプリントされている紙とカードキーを渡してくれる。


 指定された控え室に向かう。

 講義を行う教室と同じ建屋内の控え室だからわかりやすい。


 荷物を置いて、持参した荷物からほうじ茶のティーパックを取り出す。部屋に備え付けの湯沸かしポットには、いつもすでにお湯を沸かしてくれている。

 備え付けの湯呑みを一つ取って、ティーパックを入れてお湯を注ぐ。


 ここへ来るようになってからの結子のルーティーンである。


 講義用の資料を整理して、授業に使う資料をまとめて、ノートパソコンの電源を入れる。今日、結子に与えられている学内スケジュールを確認しながら湯呑みのほうじ茶を飲む。

 

「同じ教室で1限目と3限目か。

 丸山先生も今日は、ふたコマ目が空きってメール来てたから、ふたコマ目に丸山先生の研究室に行ってみるかな。

 横川先生と伊勢崎先生は、2限目と3限目と4限目があるっておっしゃってたから、今日はお会いできないかもな。」


 ノートパソコンを電源入れたまま閉じて、教室に持ち込む荷物の入ったカバンにまとめ、カードキーを忘れずに持って8時45分に控室を出る。


 この流れにも慣れてきた。


 教室前に着くと、先ほど挨拶して控え室のカードキーを渡してくれた職員さんが、受講生の入室チェックをしてくださっている。

 再度挨拶を交わして、教室に入ると、もうすでに7割ほど埋まっていた。


 教壇に立って持参した、講義進行プログラム用の自分のパソコンを立ち上げて、講義用に表示するデータの入ったUSBメモリーを、あらかじめ映写器材に接続された教室共有用のパソコンに差し込んで、スライドプレゼンテーションソフトを立ち上げる。

 職員の方がアシスタントについてサポートしてくださるのだが、ほとんど結子が自分でできる作業なので、機器トラブルの問題がなければ3分で完了する。

 ハンドマイクの音量もスライドのポイントを示すポインターも問題ない。


 9時3分。結子の準備は完了した。

 教室はほぼ埋まっている。


 来る時から気になっていた教室の右端最前列の席を見た。

 前回の講義の時にも、最前列の一番右端に座って講義を受けていた、同じ男子が座っていた。

 隣には彼の部屋に一緒にいた女子学生も座っているので、ほっとした。

 結子が持っているものと同じバッグが机の横に吊るされている。


 間違いない。


「出しちゃいな。水戸先生で出してスッキリできたら気持ちいいんでしょ、ね。

 ほら。」


「ああ、由依さんダメだ。ダメだって、ああ由依さん、もう、ああ。」


「いいよ、水戸先生にされてると思って出しちゃいなさい。」


「ああ、ああ、もうだめ、由依さん、由依さ!あ、あ、水戸先生ぃ!」


 先日の帰りの電車の中で見た、脳直受動の映像と音声が、結子の頭の中で鮮明に蘇る。


 男子生徒が後ろの男子生徒に呼ばれて振り返った瞬間、男子生徒から「由依さん」と呼ばれていた女子生徒が

「まさか、それが見えていたの?」という驚きの表情で、結子を見てきた。


 けれどすぐ人懐っこい笑顔に変わって、ペコっと結子に向かって頭を下げた。

 結子も釣られて笑顔で頭を下げたところで、9時10分の始業ブザーが鳴った。


 先日の脳直受動の映像に出てきた他の男子生徒を探すことはできなかった。

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