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ブレイブカード  作者: きしと
Enjoy Game
28/36

起死回生


(さて、ユーリはどうでる? 状況は限りなく詰みに近いが……)


 黄昏は思考するユーリの様子を見ながら考えた。


(唯一可能性があるとするならば、氷造の守護者ミミックの効果だ。氷造の守護者ミミックは破壊された時に、墓地にあるユニット以外のカード一枚を、使用回数を一にして手札に加えることが出来る。それで氷結の一閃を手札に加えればまだ目はある)


 黄昏はちらりと、灼界機龍バハムート・フレア・ギアへと目を向けた。


(コネクトは複数のカードを新たな一つのカードにするブレイブカードの機能だ。

 ゲームボーイアドバンス世代には、ロックマ○エグゼのプログラムアドバ○スと言った方が通りがいいか、あれはチップという扱いだったけど、アクションカードゲームとしては最高峰の出来だったよな~)


 横道に思考がそれたところで、黄昏は頭を振った。


(いかんいかん。話がそれた。

 まあそんな風に、手札のカード同士を融合するのがコネクトだ。

 これによって作り出されたカードの残数やHPは、元となったそれぞれのカードの残数やHPによって変化する。

 ……バハムートは死にかけだった、フレアエンチャントは一回分しか残っていなかった。

 つまり、その二つによって生み出された灼界機龍バハムート・フレア・ギアは、既に死に体ってことだ)


 先程と殆どHPが変わらず、あと一回でも攻撃を受ければ倒れてしまいそうな、灼界機龍バハムート・フレア・ギアを見ながら、黄昏は考える。


(だからこちらに攻撃を当てられないようにキカイの効果を選んだ。氷造の守護者ミミックの効果で氷結の一閃を得たとしても、当てられる場所に来なければ意味がない。

 ――そう。問題は、この近づくために如何すればいいか、その一点! ユーリはどんな答えを見つける? どう言った手でこちらに近づく?)


 黄昏はユーリへと視線を戻し、じっくりとその様子を伺う。

 何か行動すれば、直ぐにでも対処が出来るように。


『冷たき凍土の果てに座する守護者よ』


(お! 口上! 氷造の守護者ミミックを召喚するか!)


『領域を侵犯せし、蛮族に鉄槌を齎すため、その姿を現せ!』


「顕現せよ! [氷造の守護者ミミック]!!」


 ユーリの前に光が集まり、やがてそれは氷で出来た大きなミミックを形作る。

 あれこそがスターターデッキ[氷造の守護者]のエースカード、氷造の守護者ミミックだ。


(さあ、どうする?)


 召喚されたミミックとユーリの様子を見守る黄昏。

 そんな中、ユーリは、ミミックの上に飛び乗った。


(ほう?)


 その行動を興味深く見ていた黄昏は、その後のユーリの行動に、度肝を抜かれることになる。

 なんとユーリは、ミミックに食われたのだ。


「え?」


 突然の自爆に、思わず黄昏も、そんな間抜けな声が漏れる。

 だが、黄昏も歴戦のデュエリスト、直ぐさまユーリの意図に気付いた。


「あ――いや、そうか! 不味い! ふ……いや、撃ち落とせ! バハムート!」


 黄昏が一瞬停止していた間に、ユーリは動いた。

 ユーリを飲み込んだミミックが、大きく跳ねて、バハムートへと向かう。

 黄昏の指示を聞いたバハムートは、かなり近づかれながらも、ミミックをブレスで撃ち抜いた。


(駄目だ! 間に合わない! 判断が遅すぎた!!)


 黄昏には見えていた、ブレスによって破壊されたミミック、その中にいることでブレスから守られたユーリが、消えていくミミックから飛び出していく姿が、彼女の手札には、ミミックの効果によって、墓地から手札に加わった氷結の一閃の姿があった。


「これで今度こそ終わり! [氷結の一閃]!」


 バハムートの目の前に飛び出したユーリは、そのまま氷の一閃によって、バハムートを切り抜いた。


 HPがゼロになったバハムートは、今度こそ光の粒子となって完全に消滅していく。

 地面に着地したユーリは、近くに居るはずの黄昏を探した。


「あとは黄昏だけ……!」


 DPが溜まる前に倒さないと、とはやる気持ちを抑えて黄昏を探すユーリ。

 しかし、バハムートが倒される前に既に逃げ出していた黄昏は、かなり離れた場所で、逃げるために全力疾走していた。


(ははは! まさかあんな方法でバハムートを倒すとはやるな~!

 だが、勝負はまだ終わってない。このまま逃げきって、カードをドローさせて貰うぜ!)


 黄昏は固定武器を失っている。

 このまままともにやり合ったら、武器持ちのユーリに瞬殺されるだけだろう。

 頼みの綱は、あと少しで溜まるカードのドローだけ。


(最強デュエリストのデュエルは全て必然! ドローカードさえもデュエリストが創造する! なんてね。みせてやるぜ、俺のデスティニードローってやつを!)


 実際にカードを創造するなんてことが出来るわけではないが、そんな俺ルールご都合ドローによってカードを引くようなつもりで、神引きをしたいと思う黄昏。


 そんな黄昏のデュエルリングが、遂にDPが溜まった事により、光輝いた。


(来た!)


「DPが溜まった! どうやらツキは俺を見放さなかったらしい!」


 足を止めて、ユーリの方向へと振り返る。

 ユーリがドローさせまいと走ってくるが、それよりも黄昏が引く方が速い。


「俺のターン! ドロー!」


〔マジック〕【逢魔が時】回数:6(残数:6)


「う……なっ! 来るのがおせーよ!!!」


 この状況では何の役にも立たないカードを引いて、妙な呻き声を上げたあと、黄昏は心からの本音を大きく叫んだ。


 そしてそんな黄昏の元に、ユーリが迫る。


「ちょ……まっ! ぐあぁああ!」


 ユーリの剣で、たたっ斬られて、HPがゼロになり、エクストラタイムに入る黄昏。


「[リバイブ]!」


『[逢魔が時]をコストにリバイブを発動』


 リバイブが発動し、黄昏のHPが急速に戻って、部位欠損の状態異常が回復していく。


(んだけど回復したところで~!)


「くっそ! 負けるか!」


 果敢にも、剣を握った相手に肉弾戦を挑もうとする黄昏。

 だが、その攻撃はすらりと容易く躱され、返しの刀で切り裂かれた。


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