40.マルティーナと婚約破棄
ジェイコブは魔力の尽きそうなフラフラした状態でなんとかエリザベスの元に向かい、気を失っている彼女の上半身を抱き上げ、頭を膝の上に乗せた。
私は魔力を込めた球を作ってジェイコブに飛ばす。攻撃力は無い、魔力を渡すと消滅するものだ。
光の球はふわふわと迷いなくジェイコブの元へ向かい彼に触れると消えた。
ジェイコブの顔色がマシになったのを確認して、私は腕を組んでジェイコブを見下ろす。
どうでもいいが私は身長が低いので誰かを見下ろす事はなかなか無い。
「婚約破棄しましょう、ジェイコブ。此処まで拗れたらもう破棄しかないでしょう?」
「あぁ、構わないよ。マルティーナ」
お互い笑顔で、何とも白々しい。
顔に貼り付けた作り笑顔ではなく、心からの笑顔を向け合う私達に困惑の視線が集まる。
これは、大勢の証人の前で行う婚約破棄。
つまらない演目の様なもの。
「切っ掛けは置いといて。私に嫌気が差した貴方はエリザベス嬢と出逢い恋に落ちた」
「エリザベスの吹き込む嘘を信じ、君に辛辣で、最低の態度をとった。間違いない」
すらすらと詰まる事なく言葉が流れる。
きっと今、ジェイコブの手をとれば踊り出しそうな程、この状況で心を通わせている。
私が倒れて、ジェイコブと語り合った日。
私達を繋ぐ運命の糸を二人で解いて真っ直ぐに伸ばした。残念ながら、小指を繋ぐ糸では無かったけれど。
私も、ジェイコブも、小指は他の誰かと繋がっている。そう思えば婚約破棄も必然の事。
運命は目には見えないし、もし仮に見えたとして、それは過去を振り返った時の軌跡の事を指すのだろう。
「私は貴方と添い遂げるつもりは無いわ。二番目なんて惨めだもの」
「君を一番に置くつもりはないからね」
「そう、仕方ないわね。婚約破棄ね」
下らない茶番劇。
「これで晴れて、マルティーナ嬢は婚約者がいない身となる訳だ」
するりと当たり前の様に会話に混じるクロウリー。
背の高いクロウリーは数歩で間を詰めて、私の横に立った。
床に反射する姿を見て、一瞬だけもう少し身長が欲しいと思ってしまった。
私は、クロウリーの胸くらいまでの大きさしか無い。いや、今は関係ない。
クロウリーは長い足を畳み、私の前に跪く。
「私と婚約してください。マルティーナ嬢」
クロウリーの言葉にざわりと会場が揺れる。
表情を動かさなかったのは、事情を知る私とジェイコブ、アルノルド兄さんだけ。
書き始める前に一回、途中で一回、計二回、物語の流れを考えて書き残しているのに全く違う展開になってしまっているのでこの書き方向いて無いのかなーと薄々思い始めてきました…。




