39.マルティーナとエリザベス
エリザベスに周りに積もった黒く染まったガーベラ達。
私が降らせた花は、悪魔に反応して黒く腐る。
かつて、妖精達が悪魔と対立していた時に作られた魔法だ。
悪魔、もしくは悪魔憑きに触れるとたちまち光を失い、黒く腐食するのだ。
酷い異臭を放ち、その存在を浮き彫りにする。
「なによこの花!臭い…!やだやだなんの嫌がらせよぉ!」
「臭いだけで害はないです。ついでにこの場にいる人たちの中にも悪魔憑きがいないか調べようと思いまして」
私は話しながら、ジェイコブに目を向けた。
こめかみから汗を垂らし、歯を食いしばって、ギリギリのところで魔法は繋がっている。
この花が腐った臭いは、人間には異臭だが、悪魔にとっては好みとなる。
悪魔憑きはまだ人間なので、ここで悪魔憑きと悪魔の意思は相反する。
つまり、引き離すまたとない機会が生まれる訳だ。
直ぐに私の考えを理解したジェイコブは最後の力を振り絞り、悪魔とエリザベスを切り離す事に成功する。
深くまで根付いていた悪魔を断ち切った事で、エリザベスは意識を失い、その場に崩れ落ちた。
悪魔を祓ったとは言え、悪魔の手を取った事実は無くなる事は無い。
エリザベスの手首には腕輪の様にぐるりと赤黒い紋様が浮かんだ。
二度と消えることは無く、一生付き纏う事になる。
代償は付き物だ。
悪魔の力を借り受け続けると、最終的には悪魔になってしまう。
妖精にも似た特質がある。
別の種族の魔力を貰い続けると、俗に言う中毒症状が起こり、身体が内部から徐々に変質する。
限界を迎えると、生まれ替わる。孵る。
だから、エリザベスと私はそんなに変わらない。
手を取るものが違っただけで。
もしこの国で、世界で。
妖精を悪とし、悪魔を善と扱っていたとしたら。
立場は逆転していた。
ぐるりと周りを見渡してみて、黒くなった花がないかだけを確かめる。
幸いにもエリザベス一人だけが悪魔を手を組んでいた様だ。
エリザベスから祓った悪魔はさっさと逃げたらしい。
悪魔は隠匿術に長けているので姿を眩ましてしまえば見つけるのは至難の技だ。
とは言え、私は妖精にも孵ってしまったのでもしここに悪魔がいても、干渉できない為、どうこうする事はできないが。
「あと、もう一踏ん張りね」
改めて、姿勢を正す。
「婚約破棄をしましょう」
だってまだ、私とジェイコブは婚約状態のままだもの。
あと2〜3話で終わると思います…!
小話も数話書くつもりなのでお付き合いいただければ幸いです。
本当は書き溜めてからの投稿にするべきかと悩んだのですが前回更新からわりも時間が空いてしまったので更新を優先しました。




