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34.クロウリーの共闘


思わず声に出したその言葉は、マルティーナとジェイコブの喧嘩を止めるには充分過ぎた。

興味深そうに本を覗いてくるアルノルドと、口論を中断し、こちらに視線を投げかける二人。


「仮説ではありますけど…、悪魔は人の負の感情に上手く取り入り操るとの事で」

「ほうほう、可能性はありますね。不可解な点も、悪魔や魔物…、それに準ずる何かが手を貸していれば」


エリザベスに皆が肩入れしていたのも、納得が行く。

アルノルドは顎に手を添え、一人合点がいった様で頷いている。


「その対策もしないといけませんね」


そう簡単に言ってのけたアルノルドだが、その後は酷かった。


取り憑かれているのならば、祓わなけれはならない。

憑きものを祓うには精神干渉の魔法だが、繊細なコントロールと集中力、魔力量に加えセンスが問われる。


私とワールヴォル兄妹は戦闘魔法の方が得意であった。

精神干渉の様な魔法は苦手であり、弾かれる可能性が高い。

それに引き換え、ジェイコブは戦闘魔法は少し苦手な様だったが、精神干渉や補助魔法の方が得意だった。


だが、力が増幅されているであろうエリザベスに対抗出来るかは微妙なラインで。


「最悪殴り飛ばせばいいわ」

「俺も殴る〜」


脳筋ワールヴォル兄妹が物騒な事を言い出して仕舞う始末。


「エリザベスが死ぬだろう!?」


そして、ジェイコブが必死に止めていた。




結局、まともな解決策を見つける事が出来ず、今日を迎えた。

見かけだけは涼しい顔をしているものの、内心ヒヤヒヤしている。あまりにも脳筋な考えがバレないか。


妖精の力を借りればなんとかなると主張したマルティーナだが、裏を返せば彼女は自分の命と引き換えにするつもりなのは考えるに容易い。

なので、エリザベスに突っ込んで行こうとしたマルティーナの腕を咄嗟に掴んだ。

意味がないのだ。犠牲の上に成り立つものなど。


精神干渉の魔法は苦手だが、そうも言ってられない。

ジェイコブに任せ、私とアルノルドで補助をしよう。それくらいの策しか思い浮かばなかった。


ずっと対峙している訳にもいかない。

ジェイコブに目配せをし、彼が魔力を練り始める。


「リザ」

「あぁもう話しかけないで!裏切り者!」


怒りに満ちた顔をエリザベスはジェイコブに向けている。

黒い魔力は、ジェイコブに狙いを定め襲いかかってきた。


「任せたわよ」


するりと私の拘束から逃れたマルティーナが黒い魔力を弾いていく。

薄い障壁を張り、受け止めるのではなく、弾く事で少ない魔力での防戦が可能になっている。


ジェイコブはエリザベスに魔法を飛ばす。

私とアルノルドは、補助に回る。

マルティーナに無理はさせたくなかったが、彼女が前に立ってくれなければきっと苦戦していたに違いない。


もう少し続きます。

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