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17.クロウリーと妖精


マルティーナの小さな手に引かれ、気の逸るまま、森へと向かった。

学園の裏に広がる森。森であれば何処でもいいらしく、一番大きな木だと言うのが重要らしい。

すいすいとまるで庭の様に進んでいくマルティーナに着いていくと、一番大きな木へと辿り着いた。


木の根本に、光る場所があり、手を引かれるまま其処へと飛び込むと、見たことのない草木が生い茂る場所に二人並んで立っていた。

キラキラと光る物がたくさん飛んでおり、目を凝らすとそれは妖精だった。


本の挿絵でしか見たことのない。

薄く輝く羽根を持った小さな人型の妖精。人形に羽根が生えて飛んでいるみたいだ。

思わず感激に言葉を詰まらせていると、マルティーナはなんとも嬉しそうに微笑んでいた。


「ティナ、いらっしゃい。見かけない人ねぇ」

「リア。私の友人よ、クロウリー様」


リアと呼ばれた妖精はくりくりとした瞳をこちらに向けた。

頭から足までじっくり値踏みする様に見つめ、満足げに頷く。


「いいわ、加護をかけてあげる」


人差し指を立て、小さな指でくるりと空中に円を描くと私の周りに光がはらはらと落ちてきた。

これが妖精の加護か。感心しているとマルティーナはリアに連れられて何処かへと行ってしまった。


置いてけぼりになった私は辺りを見渡していた。妖精達がわらわらと集まってきた。


「クロウリー、ティナのこと宜しくね」

「無理をしたら、時間が短くなるから」

「ティナの時間を守ってあげて」

「ティナに後悔させたくないから」


妖精達は口々にそう言って少し寂しそうに笑っていた。

ルナにサン、ラル、アン。名前を教えてくれた彼らは見た目も性別もばらばらだった。

一緒なのは、マルティーナの身を案じている事。


マルティーナとリアが戻って来た。私が妖精達に囲まれているのを見て、マルティーナは笑った。


「馴染んだみたいでなによりです」

「あぁ、ありがとう。マルティーナ嬢」


珍しく頬を紅潮させているマルティーナと戻り、学校へと向かう。

荷物を置きっぱなしだったのだ。


荷物を回収し、マルティーナと別れ帰路に着く。

振り返ると、夕焼けの中、しっかりとした足取りで歩くマルティーナの後ろ姿が見えた。銀髪は夕陽に透けている。


「…ん?」


小さな背中に、妖精の羽根に似たものが見えた気がした。

瞬きすると消え、気のせいに違いないと思う反面、何かが引っかかる。


妖精に会って、浮かれているのだろうか。

首を捻りつつ、寮へと足を向けた。


そして、妖精と会って数日経った頃、マルティーナは突然倒れた。


マルティーナは妖精が見えれば加護を受けれると思っているのですが、一応条件はあります。そこらへんもどこかで書きたいです。

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