表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/54

11.マルティーナの味方


クロウリーに昼食に誘われ、浮き足だった私は好調だった。

隣に座るクロウリーは、成績優秀。負けない様に私も頑張らなくては、と勝手に息巻いて予習に戻る。


勉強は楽しい。

知らない事を知れる。授業中に教師が零す豆知識や独自の見解。

ついつい教科書にメモをしてしまうので、中々見難い物になっていく。

これもワールヴォル家の特徴。兄達の教科書も私に負けず劣らずの書き込み量だった。


授業はあっという間に過ぎていき、待ちに待った昼休み。

クロウリーと並び立ち、食堂へと向かう。じりじりと焦がす視線が刺さってくる。

私はふとクロウリーを見上げる。


随分と背が高い。

昨日支えられた時に随分とがっしりした身体だな、とは思った。

それとなく全身に目を向けてみる。

兄達と同じ、騎士の身体付きをしている。首や腕は太く、背中は広い。手はゴツゴツとしており、剣だこも軽く開いた手に見えた。


「マルティーナ嬢?」

「すみません。不躾にじろじろと」

「構わないが…何故」

「随分と鍛えてらっしゃるな、と」


不思議そうに唇を尖らせたクロウリーだが、私がワールヴォルだと思い出したのか納得した様に頷いていた。


私も剣を握っていたが、筋肉が付きにくい体質なのか腕も足も細い。

剣だここそあるものの、令嬢らしくないとジェイコブに罵倒されるネタをあげないよう隠している。

手を繋ぐ事などないのでバレる事はない。


「兄さん…、いえ、兄様達みたいに筋肉ががっしり付いて羨ましい、いえ、素敵です」

「羨ましい?」


しっかりと聞こえてしまったらしい。

取り繕った意味は全くない。


「幼少期は兄様達と一緒に剣を振るってましたから」

「ふぅん」


疑いの目が突き刺さる。

今も鍛錬に励んでます、なんて言えない。何のために?と問われて馬鹿にされるのがオチ。


喋っている間に食堂に着いた。

お互いに食べたいメニューを頼んでから、端の方の席に座る。

食堂は広かった。全学年の生徒が入っても余裕はあるが、矢張り混雑している。


「妖精様の恵みに感謝を」

「感謝を」


食前の祈りを唱え、食事を始める。

この国では妖精は昔からの隣人であり、今では失われた友人。

まぁ、ワールヴォル家は妖精の加護を受けている、いわば家族ではあるけど。


「マルティーナ嬢は今も鍛錬に励んでるんだ?」

「ングッ…、にゃ、にゃぜ…?」

「良くそれで誤魔化そうとするね?」


思い切りサンドイッチが変なところに入った。

凄まじい勢いで噛んだが、顔だけは澄ましておく。対称的にクロウリーは少し呆れたようにこちらを見つめていた。


「ふふ、この細腕で剣が握れるとでも?」


自分で言って悲しくなってきた。

クロウリーも可哀想な者を見る目だ。やめて、惨めじゃない。


「悲しくなるなら言わない方が」

「気にしてませんわよ!筋肉がつかない事や身長が伸びない事、その他発育が悪いことなんて!」


主に、胸。


意地を張って胸を張ってみるがささやかな膨らみさえ無いものを張って威厳など出るものか。


それに、私は凄く、身長が低い。凄く。

顔と身長のバランスが合っていない、まるで動く人形の様だ、なんて揶揄される事もある。

十五歳と言うのに、私は十歳児くらいの身長しかない。


ジェイコブにも散々馬鹿にされた。

顔だけ大人びて身体はまるで子供だと。

ジェイコブと私は頭一つぶんくらい身長が違う。


学園でも、よく生徒に紛れてしまう。

紛れるが、何故か目立つ。矛盾が凄い。


そう言えばクロウリーと並んだ時、彼の胸くらいに私の頭の天辺があった。


羨ましい。

筋肉も身長も!


なので私はクロウリーに聞くことにした。


「クロウリー様、包み隠さず教えてください。何を食べたらそんなに身長が大きくなりますか」

「やっぱり気にしているんだな」


こちとら死活問題。

もしかして兄達が過保護なのは私が余りにも小さいから、まだ幼い妹だと思っているのではないだろうか。

あと、ジェイコブが突っかかってくるのは私が幼く見えるから、子供に馬鹿にされている気分になるからではないか。


これって、身長が伸びれば改善できることじゃないかしら?


「今のサイズは可愛らしくていいと思うよ」

「男としては正解ですけど、人間としては不正解です!」


本当に可愛らしいならエリザベスを虐めていると言う根も葉も無い噂が流れたところで誰も相手にしないだろうに。

容姿というのはそれだけ印象に影響する。人は顔では無いと言うが、正直九割顔がモノを言う。


だって、私の顔ってつり目だし、輪郭が細いからキツく見える。


「可愛らしい要素があったら冷血なんて言われませんわ」

「虚言を信じる奴らの方が馬鹿なだけだ」

「信じてくださってますのね」


クロウリーはさも不思議そうに首を傾げた。

さらさらの黒髪が揺れた。


「あんなちまちまやるよりも正面から斬った方が楽じゃないか」

「…わかりますわ!」


思わず力強く肯定する。

周りからの視線は痛いが気にしない。


「それに、昨日君が血を流しているのを見たから」

「あー…」

「あんな婚約者早く捨てればいい」


にこりと微笑むクロウリーの目は全く笑っていなかった。

家族と同じ様に、マルティーナに婚約破棄を勧めてくる。


「まだやり返してませんからね」


だから、まだ婚約破棄はしません。


ざっくり、マルティーナは145以下、クロウリーは185以上くらいの身長です。

幼女可愛い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ