第三十九話 救援
第四章 深海突入
第三十九話 救援
「ポート! 撃て!」
ノースの掛け声と共に、ポートが発砲する。
銃弾はマグロ型の海獣の脳天を正確に捉え、その巨体が大きく揺らいだ。
北東エリアでカイたちが戦闘していた頃。
北西エリアでは、第一部隊が深海の探索を続けていた。
「いや〜、すごいね! 二人とも。入隊してから大活躍じゃないか!」
「ありがとうございます、フルードさん」
フルードと呼ばれた男は、緑色に染まった髪を揺らしながら、満足そうに笑う。
「君らが入隊してきて十日ほどか。隊には慣れたかい?」
「はい。隊長たちの手厚いサポートのおかげで、なんとか」
「それはよかった。今後も何かあったら、この僕、第一部隊隊長フルードを頼るといい」
「お気遣いありがとうございます」
ノースは愛想笑いを浮かべながら答えた。
入隊して十日。
ノースとポートはその連携を認められ、今やフルードのお気に入りとなっていた。
まさに期待の新人、といったところだろうか。
「よし、今日はこの辺で……」
フルードが探索を切り上げようとした、その時だった。
「隊長、ご報告が……!」
第二拠点の方角から、一人の隊員がフルードのもとへ駆けてくる。
かなり急いでいるようだった。
「先ほど、第三部隊から応援要請がありました。何でも、複数の海獣が出現したとのことです。それと、隊員が何者かに連れ去られたとも……」
その報告を受け、フルードは顎に手を当て、何やら考え込む。
「妙だな……。海獣は本来、群れでは動かないはず……」
しばらく考えた後、フルードは小さく呟いた。
「やはり……何かが変わり始めているのか?」
「ノースさん! 隊長! 先輩や他のみんなが心配です。助けに行きましょう!」
ポートのまっすぐな瞳が、ノースとフルードへ向けられる。
ノースもフルードの方へ視線を向けた。
フルードは目を閉じ、しばらく考え込んでいたが――やがて目を開く。
そして、決断を下した。
「よし! 総員、第三部隊の救援へ向かう!」
周囲の隊員たちも、隊長の決断に異論はないようだった。
「了解!」
一同が声を張り上げ、拳を突き上げる。
「目指すは北東エリア! 距離があるため、深海用イルカーを使用する!」
そう言ってフルードは、ポケットからイルカをかたどった笛を取り出す。
そして――
ピーッ!
甲高い音が深海に響き渡った。
それからおよそ一分後。
遥か先から、イルカーの群れがこちらへ向かってくるのが見えた。
「おお……!」
ポートとノースはイルカーにまたがる。
キュイッ、キュイッ。
小さく鳴くイルカーの姿に、ポートは思わず頬を緩めた。
「かわいい……」
「それでは出発だ! 僕についてこい!」
そう言って、フルードは先陣を切る。
イルカーを北東エリアへ向けて走らせると、他の隊員たちもその後に続いていった。
「報告を受けてから、だいぶ時間が経っています。もう事態は収束しているのでは?」
そうフルードに耳打ちしたのは、第一部隊副隊長のボアだった。
ボアはノースたちよりも年下である。
しかし、その実力はノースをはじめとする隊員たちからも認められている。
「ああ。海獣の方は、おそらく決着がついているだろう。だが、行方不明になった隊員の捜索は、人手が多い方がいい」
「なるほど……」
しばらく進んでいると、ノースはある違和感を覚えた。
何かがおかしい。
その違和感は、次第に確信へと変わっていく。
「……なんだ、あれは?」
部隊の遥か前方。
そこから、巨大な土の波が押し寄せてきていた。
端が見えないほど横幅は広く、その高さは――実に二百メートルほど。
「なっ……!」
ノースが息を呑む。
それに気づいたフルードも、すぐさま声を張り上げた。
「総員、回避! 回避ーッ!」




